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タンクローリー運転手に必要な7つの資格|取得方法やキャリアパスについて

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タンクローリー運転手に必要な7つの資格|取得方法やキャリアパスについて

「タンクローリーの運転手になりたいけれど、どんな資格を取得したらいいのかな...」タンクローリーの運転手を目指している方であれば、このような悩みも抱えているのではないでしょうか。

一般的に必要とされている資格には「大型免許・けん引免許・危険物取扱者」などがあります。

本記事では、タンクローリー運転手に必要な7つの資格と取得方法、キャリアパスについて詳しく解説します。効率的に資格を取得したい方は、最後までチェックしてみてください。

この記事のまとめ

  • タンクローリー運転手になるには「大型一種免許」「牽引免許」「危険物取扱者」の取得が大前提
  • 多くの場合危険物用ローリーが使用されている
  • タンクローリー運転手の平均年収は約485万円

タンクローリー運転手が必要な7つの資格

タンクローリー運転手が必要な7つの資格

タンクローリーの運転手になるには、以下のような資格取得が必要です。

  1. 大型免許
  2. 牽引(けんいん)免許
  3. 危険物取扱者
  4. 毒物劇物取扱責任者
  5. 高圧ガス移動監視者
  6. フォークリフト運転技能者
  7. 運行管理者資格

それぞれ解説します。

大型免許

タンクローリー運転手になるためには「大型一種免許」の取得が大前提です。実際、ほとんどの求人募集で「大型一種免許」は必須条件となっています。

取得費用約25万〜35万円
取得期間1〜3か月
受験資格・満21歳以上
・中型、普通、大型特殊のいずれかの運転免許を所持
・免許取得から運転経歴が通算3年以上
合格率・一種:92.6%※
・二種:59.7%※
難易度★★☆☆☆
参照元:運転免許統計令和3年版|警視庁
参考元:運転免許試験の受験資格についてのご案内|三重県警察
参考元:入所をご検討の方へ|東播自動車教習所
※令和3年度の合格率

タンクローリーはその名のとおり、大きなタンクを積んだ大型車両で、ガソリンや灯油などの液体を大量に運搬します。そのため、大型一種免許がなければタンクローリーは運転できません。

大型一種免許の合格率は、92.6%と比較的高いため、教習所の指導に従えば問題なく取得できるでしょう。

在職中の方でも、仕事終わりの時間や休日をうまく活用すれば、1〜3か月程度で取得できます。

大型免許に関しては大型免許の取得条件は?方法・費用・難易度もの記事で詳しく解説しているので、あわせて確認してみてください。

牽引(けんいん)免許

タンクローリーは、基本的に大型のタンクを牽引して走行するので、タンクローリードライバーを目指す場合、牽引免許は必須です。

取得費用約10万~15万円
取得期間1〜2か月
受験資格・満18歳以上
・視力が両眼で0.8以上
・一眼でそれぞれ0.5以上
・三桿法の奥行知覚検査器により3回検査し、平均誤差が2センチメートル以下
・大型、中型、準中型、普通、大型特殊、第二種免許のいずれかの運転免許を所持
合格率81.6%※
難易度★★☆☆☆
参照元:運転免許統計令和3年版|警視庁
参考元:けん引免許試験(直接試験場で受験される方)|警視庁
参考元:入所をご検討の方へ|東播自動車教習所
※令和3年度の合格率

牽引免許では、後方に牽引するタンクを安定させながらカーブやバックをする技術が求められます。

高度なスキルが必要で難しい操作ですが、教習所では初心者向けの丁寧な講習が用意されているため、それほど心配する必要はありません。

試験の合格率は81.6%と高いので、教習所で繰り返し練習すれば十分合格を目指せるでしょう。

大型免許と同時に牽引免許を取得する方も多いため、教習所で手続きを行う際はあわせて相談してみてください。

牽引免許に関する詳細は【試験対策】牽引免許の難易度は?種類や取得費用、必要な場面についてで確認できます。

危険物取扱者

タンクローリーはガソリンや軽油、灯油など、指定された危険物を運ぶため、大型免許や牽引免許だけでは運転できず、危険物取扱者の資格が必須となります。ただし、企業によっては入社後の取得で問題ない場合もあります。

取得費用約0.4万~0.7万円
取得期間1〜6か月
受験資格・丙種、乙種は誰でも受験可能
・甲種では一定の資格が必要
合格率・甲種:34.1%※
・乙種(第4類):33.2%※
・丙種:49.7%※
難易度★★★☆☆
参照元:試験実施状況|一般財団法人 消防試験センター
参考元:危険物取扱者試験|一般財団法人 消防試験センター
※令和3年度の合格率

実技試験はなくマークシート方式なので、テキスト教材をしっかり読み、過去問題を解いていれば十分合格は目指せるでしょう。

筆者自身も取得している資格ですが、過去問を80点以上取得できるまで繰り返し勉強して、合格できた過去があります。

学習を進める際は、解答を丸暗記するのではなく「なぜこの答えになるのか」を意識しながら進めるとよいでしょう。

危険物取扱者の資格について詳しく知りたい方は危険物取扱者の難易度は?資格の種類や勉強時間についての記事を参考にしてみてください。

毒物劇物取扱責任者

タンクローリードライバーとして働くには、毒物劇物取扱責任者の資格も必要です。

取得費用約1万~1.3万円
取得期間1〜6か月
受験資格満18歳以上であれば誰でも受験可能
合格率・一般:37.2%※
・農業用薬品:25.0%※
・特定品目:66.7%※
難易度★★★★☆
参照元:毒物劇物取扱者試験|東京都保健医療局
※令和6年度の合格率

タンクローリー運転手はガソリンや軽油など、石油プラントからガソリンスタンドに運ぶイメージが強いですが、工業製品や農薬、塗料などの毒物・劇物の運搬もあります。

そのため、毒物・劇物の運搬をする場合は、危険物取扱者資格とは別に毒物劇物取扱責任者資格を取得しなければいけません。難易度としては、危険物取扱者より少し難しくなりますが、その分年収アップが目指せます。

まずは【乙種第4類】危険物取扱者資格の資格を取得し、その後のキャリアアップとして毒物劇物取扱責任者の資格取得を目指すのがおすすめです。

高圧ガス移動監視者

高圧ガス移動監視者は、タンクローリーで規定量以上の高圧ガスを運搬する際に必要な国家資格です。

取得費用約1.5万~1.6万円
取得期間1~2日間
受験資格年齢や学歴などの制限はない
合格率約89%
難易度★☆☆☆☆
参考元:高圧ガス移動監視者講習|高圧ガス保安協会

高圧ガス移動監視者が監視する高圧ガスには、次のようなものがあります。

  • 特殊高圧ガス
  • 可燃性ガス・酸素ガス

高圧ガスは工場施設やプラント施設など、多くの場所で使用されています。そのため、大型高圧ガスのタンクローリードライバーの求人は、ガソリンや軽油を取り扱うタンクローリー求人同様に需要が高いです。

明確なデータはありませんが、高圧ガス移動監視者の合格率は約8〜9割と言われており、比較的簡単に取得できます。

高圧ガス移動監視者を取得するだけで、運搬できる物品の幅が広がるので、転職範囲を広げる意味でもおすすめの資格です。

高圧ガス移動監視者の講習内容は高圧ガス移動監視者とは?講習日の日程や難易度、過去問対策についての記事で解説しています。

フォークリフト運転技能者

フォークリフト運転技能者の資格は必須ではありませんが、取得することで荷物の積み下ろし作業がスムーズになり、現場での評価も上がりやすくなります。

取得費用約2万~5万円
取得期間・2~4日間
・講習時間は11~31時間、経験により変動
受験資格18歳以上であれば誰でも受講可能
合格率約95%
難易度★☆☆☆☆
参考元:フォークリフト免許について|拝島フォークリフト教習所

タンクローリードライバーの仕事では、液体を運搬するだけでなく、固体の製品や機械部品などの積み下ろし作業が発生する場合もあるので、フォークリフト資格があると仕事に役立ちます。

筆者も過去に、ガソリンスタンドやプラント施設、工場などで仕事を経験しましたが、フォークリフトを使う場面は、ホースの積み下ろしや工場内にある資材の移動など、予想以上に多くありました。

フォークリフト免許の合格率は公開されていませんが、約95%以上は合格できると言われています。

筆者自身、フォークリフト運転技能者の資格取得をしていますが、同時期に受講した方は全員合格していました。フォークリフトは、難易度が低い割に現場で役立つ資格です。

また、フォークリフト運転技能者の資格取得を支援してくれる企業も多くあるため、求人に応募する際にあわせて聞いてみるとよいでしょう。

運行管理者資格

将来的にタンクローリードライバーから運行管理の仕事も考えている場合、運行管理者資格の取得も一つの選択肢です。

取得費用約0.7万円
取得期間1〜5年
受験資格・運行の管理に関して1年以上の実務経験をしている
・実務の経験に代わる講習を終了している
合格率・貨物:32.9%※
・旅客:30.7%※
難易度★★★★☆
参考元:自動車運送事業の運行管理者になるには|厚生労働省
参考元:受験概要|公益財団法人 運行管理者センター
参照元:令和6年度第1回試験の合格発表|公益財団法人 運行管理者センター
※令和6年度の合格率

とくにタンクローリー運転手の場合、運搬するのが危険物であるため、より安全な運行管理が求められます。

そのため、一般的な貨物だけをトラックしか管理した運行管理者では、タンクローリーの業務に対応するのはかなり難しいでしょう。

また、運行管理者資格の合格率は約30%前後と低めであり、1年以上の実務経験が必要なため簡単には取得できません。

しかし、一度取得してしまえば、将来的にタンクローリードライバーから管理者になったり、独立したりなどキャリアの幅は広がります。

タンクローリードライバーを1年以上経験して、運行管理側の仕事にキャリアチェンジを考えた場合は取得を目指してみましょう。

運行管理者に関しての詳細が知りたい方は【2024最新】運行管理者の資格更新は基本ない|返納条件や紛失時の対処法をあわせてチェックしてみてください。

次章では、タンクローリーの用途別分類について解説します。

関連記事:タンクローリー運転手はきつい?平均年収や必要な資格、将来性について

そもそもタンクローリーとは?3つの用途別分類

そもそもタンクローリーとは?3つの用途別分類

タンクローリーは、以下3つの用途別に分類されています。

  • 危険物用ローリー
  • 高圧ガスタンクローリー
  • 粉粒体運搬車ローリー

それぞれ解説します。

危険物用ローリー

危険物用ローリー

危険物用ローリーは、ガソリンや化学物質など、危険物を安全に運搬するために特別に設計されたタンクローリーです。

主な運搬物と必要な資格は、以下のとおりです。

  • 運搬物:ガソリン、軽油など
  • 必要な資格:危険物取扱者、大型自動車免許、牽引免許など

危険物用ローリーのタンクは楕円形で、重心が低く安定性が高い設計がされています。

また、使用されている材料には、錆びにくくて強度の高い「高張力鋼」が利用されているケースがほとんどです。

そのほかにも、静電気を防ぐ「ローリーアース」が使用され、火災や爆発を防止できる構造になっています。

タンクローリードライバーとして働く場合、ほとんどのケースで危険物用ローリーを運転するため、大きな事故を起こさないためにも、車両の構造をしっかりと理解しておきましょう。

高圧ガスタンクローリー

高圧ガスタンクローリー

高圧ガスタンクローリーは、LPガスや液化窒素といった高圧ガスを安全に運搬するために作られた特殊な車両です。

高圧ガスタンクローリーが運ぶ主な運搬物と必要な資格は、以下のとおりです。

  • 運搬物:LPガス(液化石油ガス)、液化窒素など
  • 必要な資格:高圧ガス移動監視者、大型自動車免許、牽引免許など

高圧ガスを運搬するタンクローリーは、通常の車両と比べて強度や安全性がとくに求められます。基本的には、貯蔵する際にガスを加圧して液体化するので、高圧ガス保安法に基づいた構造で製造されたタンクを使用します。

液化ガスの種類によっては、圧力以外に温度や化学変化などに耐えられるタンク素材、構造が必要です。このため「ハイテン」と呼ばれる高張力鋼が高圧ガスタンクローリーには、使用されています。

高圧ガスタンクローリーは、危険物用ローリーと同じく運転するケースが多いため、車両構造をしっかり理解しておきましょう。

粉粒体運搬車ローリー

粉粒体運搬車ローリー

粉粒体運搬車ローリーは、セメントや砂などの粉末体を専門に運ぶタンクローリーです。

工事現場や工場で活用する車両で、効率よく大量の粉粒体を運べるのが大きな強みです。主な運搬物と必要な資格は、次のとおりです。

  • 運搬物:セメント、砂、灰など
  • 必要な資格:大型自動車免許、牽引免許など

セメントや砂などを普通のトラックで運ぶのは難しいですが、粉粒体運搬車ならしっかり密封されているため、粉が飛び散る心配がなく安全に運べます。

現場に到着したら空気圧で一気に運搬物を降ろすことができるため、建築現場や工場でも重宝されています。

危険物用ローリーや高圧ガスタンクローリーに比べて運転する機会は少ないかもしれませんが、車両構造を理解しておくと将来的に役立つでしょう。

次章からは、タンクローリー運転手に必要な関連資格を効果的に勉強する方法を解説します。

関連記事:タンクローリーの最大容量は3万リットル以下|タイプ別の構造と容量一覧

参考元:タンクローリー乗務員|職業提供サイトjobtag

タンクローリー運転手の資格を効果的に取得する勉強方法

タンクローリー運転手の資格を効果的に取得する勉強方法

タンクローリー運転手(ドライバー)に関する資格を効果的に取得する勉強方法は、以下の5つです。

  • 法令を体系的に学習する
  • 実技講習で積極的に反復操作を行う
  • 過去問題を徹底的に解いて実際の出題形式に慣れる
  • 特定の業務手順や運行管理をシミュレーション活用する
  • リスト化して多くの情報や法令を効率的に暗記する

効率よく資格取得したい方は、最後まで読んでみてください。

法令を体系的に学習する

タンクローリードライバーの資格を取得するには、法令を体系的に学習することが大切です。

タンクローリーで運ぶ物質は危険物や毒物、劇物である場合が多く、安全に運行するためには、法律を理解したうえで業務に取り組まないといけません。

具体的に各関連資格で覚えるべき法令は、以下のとおりです。

資格名関連法令名
大型免許・道路交通法
牽引(けんいん)免許・道路交通法・道路運送車両法
危険物取扱者・消防法
毒物劇物取扱責任者・毒物及び劇物取締法・化学物質管理法
高圧ガス移動監視者・高圧ガス保安法
フォークリフト運転技能者・労働安全衛生法
運行管理者資格・道路運送法・貨物自動車運送事業法

各資格に関連する法令をまずは把握し、1日30分程度からでもいいので学習をはじめてみましょう。毎日コツコツ継続して覚えるのが、資格取得の近道になるはずです。

実技講習で積極的に反復操作を行う

タンクローリー運転手に関する実技講習がある資格は、反復操作を行うようにしましょう。

実技講習と試験がある関連資格は、次のとおりです。

  • 大型免許
  • 牽引(けんいん)免許
  • フォークリフト運転技能者

大型車両や牽引車両、フォークリフトなど、はじめて運転するうちは操作に戸惑うかもしれません。しかし、一般的な車両と同じように繰り返し操作していくと、自然に運転スキルは身につきます。

そのため、自分から練習中は積極的に質問し、講師にアドバイスを求める姿勢も非常に大切です。資格をスムーズに取得するためにも実技講習中は、反復練習を心がけるようにしてみてください。

過去問題を徹底的に解いて実際の出題形式に慣れる

過去問題を徹底的に解く習慣を身につけておくと、出題形式にも慣れ、タンクローリー運転手(ドライバー)に必要な資格を取得しやすくなります。

筆者自身、危険物取扱者やフォークリフト運転技能者などの資格を保持していますが、過去問題を繰り返し解いたことで、出題された問題の80%以上に正解できた経験があります。

実際、多くの資格予備校でも「過去問題集」はよく使用されています。

そのため、試験までの期間は過去問題集を手に入れ、実際の出題形式に慣れるところからはじめてみましょう。

一度解いて終わりにせず、何度も繰り返して解くことで自然に答えを覚えられます。

特定の業務手順や運行管理をシミュレーション活用する

タンクローリー運転手(ドライバー)の各種資格を取るためには、実際の業務手順や運行管理をシミュレーション形式で練習してみるのもおすすめです。

タンクローリーを運転するには、運行の手順や安全対策など、色々なことを覚えなくてはいけません。

そのため、知識だけでなく「現場でどのように資格を活かすか」を考えることが効率化につながります。シミュレーション形式は、実践的なスキルも身につくため記憶に定着しやすいです。

転職先の実践から覚えてみたり、資格講座で学んでみたりシミュレーション形式で効率的に勉強してみましょう。

リスト化して多くの情報や法令を効率的に暗記する

タンクローリー運転手ドライバーに必要な資格取得の勉強には、情報や法令をリスト化して効率的に暗記するのもおすすめです。

資格を効率的に取得するには、法令や規則など、多くの情報を覚えなくてはいけません。

しかし、いきなり法令や規則などを暗記しようとすると、覚えなくてはいけない箇所が膨大すぎて、どこから手をつけていいのかわからなくなります。

このようなときに役立つのが「リスト化」です。学生時代を思い出してもらえばわかりますが、算数の九九を覚える際も同じような方法をしていた方も多いはずです。

算数の九九を覚えていた頃を思い出しながら、自分専用のオリジナルリストで効率的に覚えてみてはいかがでしょうか。

タンクローリー運転手資格の難易度と合格率

タンクローリー運転手資格の難易度と合格率

ここからは、タンクローリー運転手ドライバーに必要な資格の難易度と合格率について解説します。

難易度

タンクローリー運転手(ドライバー)に関連する資格を難易度別に並べると、次のとおりです。

資格名難易度
フォークリフト運転技能者★☆☆☆☆
高圧ガス移動監視者★☆☆☆☆
牽引(けんいん)免許★★☆☆☆
大型免許★★☆☆☆
危険物取扱者★★★☆☆
毒物劇物取扱責任者★★★★☆
運行管理者資格★★★★☆
参考元:運転免許統計令和3年版|警視庁
参考元:試験実施状況|一般財団法人 消防試験センター
参考元:毒物劇物取扱者試験|東京都保健医療局
参考元:令和6年度第1回試験の合格発表|公益財団法人 運行管理者センター
※1.令和3年度の合格率
※2.令和6年度の合格率

タンクローリードライバーになるには、大型免許や牽引免許、危険物取扱者などの資格が必要です。

それぞれの難易度は異なり、講習を受講するだけで取得できる資格もあれば、しっかり学習しないと合格できない資格もあります。

たとえば、フォークリフト運転技能者や高圧ガス移動監視者は講習を受講するだけで、ほとんどの方が資格取得できます。

一方、危険物取扱者や毒物劇物取扱責任者、運行管理者資格は難易度が高いため、事前に勉強しないと合格はできないでしょう。

まずは難易度が低い資格から段階的に取得し、タンクローリー運転手としてのキャリア形成に取り組んでみてください。

合格率

タンクローリードライバーに関連する資格を合格率順に並べると、次のとおりです。

資格名合格率
フォークリフト運転技能者・約95%
大型免許・一種:92.6%※
・二種:59.7%※
高圧ガス移動監視者・約89%
牽引(けんいん)免許・81.6%※1
危険物取扱者・甲種:34.1%※1
・乙種(第4類):33.2%※1
・丙種:49.7%※1
毒物劇物取扱責任者・一般:37.2%※2
・農業用薬品:25.0%※2
・特定品目:66.7%※2
運行管理者資格・貨物:32.9%※2
・旅客:30.7%※2
参照元:運転免許統計令和3年版|警視庁
参照元:試験実施状況|一般財団法人 消防試験センター
参照元:毒物劇物取扱者試験|東京都保健医療局
参照元:令和6年度第1回試験の合格発表|公益財団法人 運行管理者センター
※1.令和3年度の合格率
※2.令和6年度の合格率

タンクローリードライバーに必要な資格の合格率はそれぞれ異なりますが、しっかり準備すれば合格は十分可能です。

表のとおり、フォークリフト運転技能者の合格率が約95%と最も高く、次いで大型一種免許が92.6%、高圧ガス移動監視者の約89%となっています。

一方、危険物取扱者や毒物劇物取扱責任者、運行管理者は約30%前後と少し難易度があがります。しかし、どの資格も計画的に勉強と練習をすれば十分取得できる資格です。

まずは合格率が高い資格から確実に取得していき、タンクローリードライバーとしてのキャリアを築いていきましょう。

タンクローリー運転手の資格取得にかかる時間と費用

タンクローリー運転手の資格取得にかかる時間と費用

ここでは、タンクローリー運転手ドライバーに必要な資格取得にかかる時間と費用について、それぞれ紹介します。

必要な期間

タンクローリードライバーに関連する資格の取得期間の目安は、以下のとおり各資格によって異なります。

資格名取得期間の目安
運行管理者資格1〜5年
毒物劇物取扱責任者1〜3か月
危険物取扱者1〜3か月
大型免許1〜3か月
牽引(けんいん)免許1〜3か月
フォークリフト運転技能者2~4日
高圧ガス移動監視者1~2日

タンクローリードライバーの必須資格になっている大型免許や牽引免許は、個人の状況によっても異なりますが、仕事を続けながらでも1〜3か月程度で取得できます。

大型免許と牽引免許は求人募集の必須条件になっているケースも多いため、計画的に取得するようにしましょう。

その他資格に関しては、企業負担で入社後に取得できるケースもあります。転職時に必要な資格から計画的に取得するようにしましょう。

必要な費用

タンクローリードライバーに必要な資格の費用は、次のとおりさまざまです。

資格名取得費用応募条件の有無
大型免許約25万〜35万円・必須の場合が多い
牽引(けんいん)免許約10万~15万円・必須の場合が多い
高圧ガス移動監視者約1.5万~1.6万円・必須でない場合が多い
・一部の企業で支援制度あり
運行管理者資格約0.7万円・必須でない場合が多い
・一部の企業で支援制度あり
フォークリフト運転技能者約2万~5万円・必須でない場合が多い
・一部の企業で支援制度あり
毒物劇物取扱責任者約1万~1.3万円・必須でない場合が多い
・一部の企業で支援制度あり
危険物取扱者約0.4万~0.7万円・場合により必須
・一部の企業で支援制度あり

求人応募の必須条件となっているケースが多い大型免許と牽引免許では、合計で約35万〜50万円もの費用が必要です。

このため「こんなにもお金がかかるのか…」と不安になる方も多いでしょう。

しかし、一部の企業では資格取得の支援制度を設けていたり、職業訓練校の給付金制度が利用できたりと金銭面をカバーできるケースもあります。

そのため、利用できそうな制度や支援があれば積極的に活用するようにしてみてください。もし、一人でわからない方は、転職エージェントやハローワークなどに相談してみるのがおすすめです。

弊社が運営している「ドライバーキャリア」でも随時、タンクローリー運転手をはじめ、ドライバーとして転職を目指している方に求人紹介を行っています。

資格取得支援を導入している企業様をご提案するなど、希望に合わせた転職支援を実施しています。ぜひお気軽にご活用ください。

タンクローリー運転手資格取得後のキャリアパス

タンクローリー運転手資格取得後のキャリアパス

タンクローリー運転手(ドライバー)になるための資格取得後は、一人ひとりキャリアパスが異なります。

ここからは、キャリアパスの事例について6つ紹介します。

  • 地域の物流会社や大手運送企業で専門運転手になる
  • 運送業の運行管理者や安全管理者に昇進する
  • 運転手教育や安全指導を行うトレーナ・教育職になる
  • 国際的なタンクローリー運転手として従事する
  • 自らの運送業を起業し、独立した事業主として活動する
  • 運送業界における政策形成や安全基準の策定に関わる

地域の物流会社や大手運送会社で専門運転手になる

タンクローリードライバーに必要な資格を取得できれば、地域の物流会社や大手運送会社で専門的な運転手として働き、安定した職場に就職できます。

実際、求人の数をみていても危険物を運ぶタンクローリードライバーの需要が高まっているのがわかります。

地域密着型の仕事で安定したい方は、必要な資格を取得して求人を探してみましょう。

運送業の運行管理者や安全管理者に昇進する

タンクローリードライバーとして経験を積むと、将来的には運行管理者や安全管理者などの管理職へ進む道が開けます。

運行管理者や安全管理者は、物流業界で欠かせない役割です。とくにタンクローリーで運搬するものは、危険物や劇物、高圧ガスなど、一般的な荷物と取り扱いが異なります。

そのため、タンクローリー運転手に関連する資格をすべて取得して、運転現場のスキル両方を持っている方は、管理者としてのキャリア形成も十分に目指せるでしょう。

運転手教育や安全指導を行うトレーナー・教育職になる

タンクローリーの資格を取得した後、タンクローリー運転手として経験を積んでいけば、運転手の教育や安全指導を行うトレーナーとして活躍するキャリアも目指せます。

運輸業界では安全・教育が重視されており、トレーナーの需要も高いです。まずはタンクローリー運転手として経験を積み、次のステップとして教育職を目指すのも一つの選択肢です。

国際的なタンクローリー運転手として従事する

タンクローリードライバーとして経験を積めば、海外で働くチャンスも広がります。

また、危険物取扱者資格や高圧ガス移動監視者資格を持っていれば、国際的な危険物輸送に挑戦でき、アジアや中東など仕事の幅も広げられるでしょう。

もし、海外でタンクローリードライバーとしてのキャリアアップや新しい経験を求めるなら、国際的な舞台で挑戦してみるのも選択肢の一つです。

自らの運送業を起業し、独立した事業主として活動する

タンクローリー運転手として経験を積んだ後、自分で運送業を起業して独立するのも一つの選択肢です。独立すれば自分のペースで仕事が選べるので、働き方が自由になり収入アップも期待できます。

とくに危険物取扱者甲種や毒物劇物取扱責任者の比較を保持している方は、業界でも重宝され、安定して仕事を得やすいでしょう。

将来的に独立したいと考えている方は、関連資格を取得して現場の経験を積み、一歩ずつ独立への道を進んでみてください。

運送業界における政策形成や安全基準の策定に関わる

タンクローリー運転手として経験を積んだ後、業界全体の政策形成や安全基準の策定に関わるキャリアも選択肢として選択できます。

とくに危険物輸送では、現場を知っている方が基準を作ることで、現場のタンクローリー運転手が仕事がしやすいようにルールが構築できます。

将来的に運送業界における政策形成や安全基準の策定に関わる仕事をしたい方は、運輸安全委員会への転職を検討してみてはいかがでしょうか。

タンクローリー運転手の仕事内容や平均年収

タンクローリー運転手の仕事内容や平均年収

ここでは、タンクローリー運転手の仕事内容や平均年収について詳しく紹介します。

仕事内容

タンクローリードライバーは、ガソリンや高圧ガスなどの危険物を安全に運搬する仕事です。ガソリンや高圧ガスなど引火性のある危険物を運搬するため、日々の業務には細心の注意が求められます。

以下ではタンクローリードライバーが1日に行う業務の例として、ガソリンスタンドや工場へ配送する流れを紹介します。

時間仕事内容
5:00〜5:30・出社・健康、アルコールチェック
・運行前点検点呼
・スケジュール確認
・危険物取扱者免状等の確認
・イエローカードの確認
・荷物の積み込み
・車両点検
5:30〜7:30・出発(目的地まで運転)
7:30〜8:30・目的地に到着
・納品書確認
・荷卸しの油種と数量確認
・アース、消火器準備
・荷卸し開始
8:30〜15:50・次の目的地へ出発
・輸送を繰り返す(1日2~4回の配送)
・輸送を繰り返す(荷卸し時の立会と安全確認)
・帰社・車両清掃、点検・業務報告・点呼
15:50〜16:00・退社
参照元:タンクローリー乗務員|職業提供サイトjobtag

上記のとおり、危険物の運搬では安全が最優先されるため、出社から退社までのスケジュールには厳格な点検と確認作業が含まれます。

また、各配送先での積み込み・荷下ろし時にはコンタミ(混油)や漏油事故防止のため、消防法に基づき取引先の担当者と相互に確認を実施します。

なお、勤務時間や取り扱う商材は企業によって異なるため、転職先の採用担当者に確認しておきましょう。

平均年収

タンクローリー運転手の平均年収は「職業提供サイトjobtag」によると、全国平均で約485万円です。弊社「ドライバーキャリア」を利用して転職した方の年収も、以下のとおり全国平均に近い水準です。

2tタンクローリー運転手年収400万円〜
大型タンクローリー運転手年収500万円〜
※ドライバーキャリアで転職した方の場合
参照元:タンクローリー乗務員|職業提供サイトjobtag

2tタンクローリー運転手の年収は約400万円ですが、大型タンクローリーになると500万円以上が一般的です。

とくに大型免許があると、1〜2年目で未保有の方に比べ年収が100万円ほど高くなるケースもあります。

持っている資格や扱える商材が増えると、資格手当や昇給のチャンスが広がり、長期的に収入アップも期待できます。

まずは「けん引免許」「危険物取扱者(乙4)」など、タンクローリードライバー必須の資格を取得し、年収アップを目指しましょう。

タンクローリー運転手資格に関するよくある質問

タンクローリー運転手資格に関するよくある質問

タンクローリー運転手資格に関するよくある質問について、6つ紹介します。

  • タンクローリー運転手の仕事内容は?
  • タンクローリー運転手の平均年収はどのくらい?
  • 未経験からタンクローリードライバーになるのはきつい?
  • タンクローリーの仕事はAIでなくなるのか?
  • タンクローリードライバーは丙種免許で運転できる?
  • タンクローリーの2024年問題とは?
  • 未経験で入社後、いきなり運転しないとならない?

タンクローリー運転手の仕事内容は?

タンクローリー運転手は、危険物や高圧ガスなどを運搬する責任のある仕事です。おおまかな仕事内容は、以下のとおりです。

  • アルコール検査や車両の点検をする
  • 指定の場所まで荷物を積み込む
  • 荷物を指定の場所まで運搬する
  • 荷下ろしをする

働く時間は、転職する企業により日中・夜間さまざまです。入社前には、仕事内容と労働する時間帯を確認しておきましょう。

タンクローリー運転手の平均年収はどのくらい?

タンクローリー運転手の平均年収は、令和5年時点で485.3万円です。日本全体の平均年収461万円と比較すると約24万円高く収入面では安定した職業と言えます。

ただし、保有資格や年齢、地域などによっても異なるので、求人に応募する前には収入面の確認をしておきましょう。

参照元:タンクローリー乗務員|職業提供サイトjobtag
参照元:1年を通じて勤務した給与所得者|国税庁

未経験からタンクローリードライバーになるのはきつい?

未経験からタンクローリードライバーになるのは、たしかにきついと感じる部分もあります。しかし、研修が充実している企業を選んだり、関連資格を取得したりすれば、未経験でもタンクローリー運転手は目指せます。

タンクローリーの仕事はAIでなくなるのか?

結論からいうと、令和6年時点ではAIによってタンクローリードライバーの仕事がなくなるのは考えにくいです。

たしかに自動運転の動きは出ていますが、タンクローリーは多くの危険物や毒物を取り扱うため、完全自動で管理することは現在のところ考えにくいでしょう。

タンクローリードライバーは丙種免許で運転できる?

危険物取扱者丙種と普通免許があれば、タンクローリーの運転自体は可能です。

ただし、運転できるのはガソリンスタンドや工場でよく利用されてる小型のタンクローリーのみに限ります。

また、危険物取扱者丙種は「ガソリン・灯油・軽油・重油」のみしか取り扱えないので、運転時には注意しておきましょう。

タンクローリーの2024年問題とは?

タンクローリーの2024年問題とは、働き方改革関連法に基づき、2024年4月1日から実施されている年間960時間に残業制限される問題の総称です。

詳しい内容は2024年問題の解決策|物流・運送業界の中小企業にできることに記載しているので、あわせて確認してみてください。

参考元:物流の2024年問題|全日本トラック協会

未経験で入社後、いきなり運転しないとならない?

タンクローリー運転手の経験がない方は、基本的には1〜3か月(手厚い会社では6か月)の研修や横乗りを経て、独り立ちするケースが一般的です。

一人で運転するまでの期間は、未経験者と経験者で以下のような違いがあります。

研修の流れ未経験者経験者
研修期間・1〜3か月(手厚い会社では6ヶ月)・数日〜1か月
座学・1〜2日間の座学研修(安全知識・運行ルール)
・3日〜1週間の安全運転講習を行う会社もある
・1〜2日間の座学研修が中心
横乗り研修・先輩ドライバーと同乗し、配車手順や車両点検、危険物取り扱いについて学ぶ・既存業務に慣れるためのサポートをしてもらう
独り立ち・研修終了後に独り立ち・短期間で独り立ち(基準を満たした場合)

このように未経験者の場合、いきなり一人で運転することはないため、転職時に特別心配する必要はないでしょう。

関連記事:2024年問題の解決策|物流・運送業界の中小企業にできること

タンクローリー運転手の効率的な資格取得方法を理解しキャリアアップの基盤を固めよう

タンクローリー運転手の効率的な資格取得方法を理解しキャリアアップの基盤を固めよう

タンクローリー運転手になるには、大型免許や牽引免許、危険物取扱者など、いくつかの資格が必要です。資格取得はハードルが高く感じるかもしれませんが、正しい手順を踏んで計画的に取り組めば問題ありません。

しかし、「資格取得の費用がない...」「転職活動する時間がない...」など、悩みがつきない方も多いはずです。

もし、このような悩みがある方は、タンクローリー運転手の業界に詳しい転職エージェントに相談するのがおすすめです。

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この記事を書いたライター

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高坂 勇介

工業高校で電気技術・機械制御・自動車工学を専攻。卒業後、複数業種を経験したのち、大手プラントメーカーで非破壊検査、造船メーカーで品質・工程管理に従事。物流業者への発注業務も多数経験。現在は製造・建設業界で培った12年の知識と経験を活かし、転職専門ライターとして活動中。

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