電気設備に関する工事や点検などを行う電気工事士。
電気工事士の年収がいくらなのか気になっている人もいるのではないでしょうか?
この記事では電気工事士の平均年収や給料の実態や仕事内容、収入アップのコツについて解説します。
電気工事士の平均年収・平均給料
電気工事士の平均年収や給料について、年代別や雇用別、企業規模別に解説します。
電気工事士の平均年収は約426万円
国税庁が発表した令和2年分民間給与実態統計調査によると、電気工事士の平均年収は426万円でした。
全産業の平均年収は433万円なので、電気工事士は若干低い金額です。
しかし、あくまで平均年収のため、取得している資格や所属している企業などによっては平均年収よりも大幅に稼いでいる人もいます。
以下では年代別や雇用形態別などの平均年収を紹介するので、ぜひ参考にしてください。
年代別
電気工事士の年代別平均年収や給与を表にまとめました。
年齢 | 平均年収(男性) | 平均年収(女性) |
~19歳 | 約180万円 | 約173万円 |
20~24歳 | 約216万円 | 約203万円 |
25~29歳 | 約268万円 | 約243万円 |
30~34歳 | 約341万円 | 約287万円 |
35~39歳 | 約403万円 | 約322万円 |
40~44歳 | 約450万円 | 約334万円 |
45~49歳 | 約488万円 | 約361万円 |
50~54歳 | 約554万円 | 約408万円 |
55~59歳 | 約543万円 | 約405万円 |
60~64歳 | 約295万円 | 約224万円 |
男女ともに50代をピークに上がり続けています。20代と比較すると男性は約300万円、女性は約200万円年収がアップしています。
キャリアやスキルアップとともに大きく年収が上がっていくからです。
男性と女性を比較すると100万円以上の差があります。
60代で急激に下がっているのは、企業によって定年後に嘱託としてアルバイト雇用しているためでしょう。
雇用形態別
電気工事士の平均年収を正社員と正社員以外の雇用別に分けて紹介します。
雇用形態 | 平均年収 | 月収換算 |
正社員 | 約433万円 | 約36万円 |
正社員以外 | 約232万円 | 約19万円 |
正社員の平均年収は電気工事士の平均年収とほぼ同じ金額です。正社員以外(派遣社員やパートなど)は232万円と大幅に低い金額となります。
資格や階級などさまざまな理由がありますが、ボーナスがあることも大きな差の理由でしょう。
企業規模別
電気工事士の年収は企業規模によっても異なります。
ここでは従業員数が10人以上100人未満、100人以上1,000人未満、1,000人以上の3つのカテゴリーに分けて紹介していきます。
従業員数 | 年齢 | 平均月収 | 年間賞与額 |
10~99人 | 52歳 | 約40万円 | 約97万円 |
100~999人 | 43歳 | 約39万円 | 約157万円 |
1,000人以上 | 39歳 | 約42万円 | 約183万円 |
企業が大きいほど平均月収、年間賞与額ともに高いです。特に賞与の金額に大きな差が生まれています。
月収も企業が大きいほど、若手の時から高い給与が与えられていることがわかります。
経験年数別
一般企業でも経験年数が多いほど、給料は上がる傾向にあります。電気工事士の場合について紹介していきましょう。
※金額は厚生労働省が発表している賃金構造基本統計調査の所定給与額や年間賞与を参考に計算したものです。
経験年数 | 平均年収 |
0年 | 約280万円 |
0~4年 | 約345万円 |
5~9年 | 約410万円 |
10~14年 | 約460万円 |
15年以上 | 約540万円 |
経験年数が5年ごとに50~60万円程度上がっています。4年目までは年収300万円台と高額ではありませんが、5年目以降は30万円以上の月収を見込めるでしょう。
地域別
電気工事士の平均年収は地域ごとでも大きく変わります。地方でそれぞれどれくらい異なるのか比較した表を作成しました。
地方 | 平均年収 |
北海道・東北 | 367万円 |
甲信越・北陸 | 380万円 |
関東 | 428万円 |
東海 | 401万円 |
関西 | 409万円 |
中国 | 363万円 |
四国 | 381万円 |
九州・沖縄 | 365万円 |
参考:求人ボックス
関東や関西など都市部ほど平均年収が高い傾向にあります。
都道府県で見ると、東京が一番高く471万円でした。一番低いところは鳥取県の315万円と東京と比較すると150万円以上の差があります。
資格別
電気工事士には第一種電気工事士と第二種電気工事士と2つの資格があります。この2つの平均年収の違いについて紹介しましょう。
資格 | 平均年収 |
第一種電気工事士 | 454万円 |
第二種電気工事士 | 396万円 |
参考:求人ボックス
電気工事士は第二種よりも第一種の方が難易度は上がるため、年収にも差が生まれてしました。第一種と第二種の違いについては後述しますが、簡単に言うと電気工事ができる規模が異なります。
平均年収は上記の通りですが、第一種の場合、700万円以上の年収を稼ぐ人も少なくありません。
関連記事
・電気工事士の資格の取り方を紹介!第一種・第二種の違いについても細かく解説します
電気工事士が年収を増やすコツ
電気工事士の年収を上げるためのコツをいくつか紹介していきましょう。
第一種電気工事士の資格を取る
年収を上げる方法として、第一種電気工事士の資格取得がおすすめです。上記の資格別平均年収で紹介したように、第一種電気工事士と第二種電気工事士では60万円近くも年収に差があります。
第一種と第二種の違いは主に担当できる電圧の差です。
第一種は高圧電力(電圧が1,000V以上)の電気設備の施工、保守、点検などが行えます。第二種が担当できる電圧は低圧電力(1,000V以下)です。
低圧電力は一般用家庭電気工作物を指すため、作業範囲が限られます。第一種は高度な設計や施工に携われるので、必然的に年収も高くなります。
第一種電気工事士の資格を取得するためには3年以上の実務経験が必要です。
電気工事施工管理技士の資格を取る
年収を上げる方法として、電気工事士とは別に新たな資格を取得する方法があります。
電気工事施工管理技士とは建物や設備の電気工事をする際、現場の工事管理を行うことができる資格です。
この資格を持つことで、建物の電気設備工事に関する予算管理や行程管理、品質管理など工事全般に携わることができます。
電気工事施工管理技士は電気工事に関する資格の中でも重要性が高く、また平均年収も500万円を超えているため、電気工事士よりも稼げる資格です。
第三種電気主任技術者の資格を取る
電気工事施工管理技士以外の資格として第三種電気主任技術者の資格を取ることもおすすめです。
第三種電気主任技術者とは電験三種とも呼ばれる資格です。第一種、第二種の資格があり、その中で第三種は最も難易度が低いため、扱える電圧に制限があります。
しかし、電験三種を取得することで建物や設備の電気設備の保守や点検、修理や、改良などが行えるようになります。
電気工事に関する専門的な知識や技術を持つほか、安全かつ適切な保守管理が行えるようになるので、希少価値のある人間になることができるでしょう。
資格手当がつく場合もあるため、年収アップが期待できます。
スキルアップやキャリアアップも目指す人は取得しておきたい資格です。
キャリアを積む
年収を上げる方法として、キャリアを積んでいくことが重要です。上記の経験年数別平均年収で紹介したように、初年度と10年のキャリアがある人では200万円近く年収に差があります。
単に長く在籍していれば年収が上がるわけではありません。10年の間にさまざまな現場で経験を積み、技術と知識を蓄えていくことで会社からの信頼も厚くなり、任される仕事が多くなります。
そうなれば必然的に給料や役職は上がっていくでしょう。
現場監督になる
現場監督になることも年収を上げる方法の1つです。
現場監督は現場責任者であるため、月収アップやボーナスアップが期待できます。
現場監督になるには、技術や知識だけでなく、コミュニケーション能力が必要です。中間管理職であるため、会社と部下の間で上手く立ち回るスキルが必要になります。
工事単価の高い企業で働く
電機業界の大手企業で働くことも年収を上げる方法です。大企業ほど工事単価が高いため、給料も高くなります。
上記の企業規模別平均年収で紹介したように、従業員の数が多いほど若手のうちから高い年収をもらえます。
業界動向サーチが発表した2021年-2022年版電気通信工事業界の平均年収ランキングの上位5位を紹介しましょう。
順位 | 企業名 | 平均年収 |
1位 | ダイダン | 937万円 |
2位 | コムシスHD | 897万円 |
3位 | きんでん | 887万円 |
4位 | 東邦電気工業 | 805万円 |
5位 | NECネッツエスアイ | 803万円 |
独立起業する
独立起業し個人事業主として働くことで高い年収を稼ぐことが可能です。自分の裁量で仕事ができるので、上手くいけば年収を自分で調整することもできるでしょう。
しかし、独立は簡単ではありません。技術だけあれば成功するものではなく、営業力が必要です。経営をしてみたい、自分の力だけでやってみたいという人は独立を目指してみましょう。
関連記事:電気工事施工管理の平均年収はいくら?収入アップのコツも解説
電気工事士の仕事内容
電気工事士が行っている仕事について解説していきます。具体的にどういった電気工事を行っているのか見ていきましょう。
エアコン取替工事
エアコン取替工事とは、家電量販店やネット通販などで購入したエアコンを交換する仕事です。家庭や企業で古いエアコンと購入したエアコンの交換や配管パイプの設置、室外機の配置などを行います。
屋内・外配線工事
屋内・外配線工事とは、建物内や外部に電気を供給するための電気配線システムを設置する工事のことです。
建物内のかべや天井、床などに配線を作るほか、スイッチやコンセントなども取り付けます。設計から担当する場合もあります。
ビル管理
ビル管理とは、ビルや施設の電気設備の維持管理や修繕工事を行うものです。
例えば、電気設備の定期点検や保守作業などを行い、もし異常や故障があれば修理をします。スプリンクラーなどの消防設備や非常用照明といった緊急用設備の点検も行います。
電気工事士に関してよくある質問
最後に電気工事士に関するよくある質問をまとめました。
電気工事士に向いている人の特徴は?
電気工事士に向いている人の特徴は主に下記の3つです。
①安全意識の高い人
電気工事士は常に感電の危険性があります。また、配線方法を間違えると火災が発生する恐れがあります。
工事は高所で行う場合もあるので、常に危険と隣り合わせです。そのため、慎重で安全意識の高い人が向いていると言えます。
②コミュニケーション能力がある人
電気工事士はチームを組んで工事を行うことがあります。大規模な工事の場合、電気工事士以外に大工さんなど建築関係の人とも連携を取る必要があります。
安全かつ円滑に仕事を進めるには報連相が重要になるので、コミュニケーション能力がある人が向いています。
③細かい作業が好きな人
電気工事士は配線や配管作業など細かい作業を繰り返し行うため、集中力が必要になります。
火災のような事故が起きないように慎重かつ丁寧に作業を行うので、細かい作業が好きな人に向いています。
電気工事士で年収1,000万円は稼げる?
結論から言えば可能です。
簡単ではありませんが可能性がある方法としては、「独立する」もしくは「大手企業に就職する」の2つです。
上記で紹介したようにダイダンやコムシスHDといった企業の平均年収は1,000万円近くあるため、昇格していけば十分に可能でしょう。
電気工事士はやめとけと言われる理由は?
電気工事士の給料はいいけどもやめとけと言われることがあります。その理由は主に下記の3つです。
①肉体労働だから
屋外の作業の場合、夏は暑く、冬は寒い状況で仕事をしなければいけません。また、重い物を運んだり、危険な高所での作業があったりと体力が必要な仕事です。
常に危険と隣り合わせであることから、精神的にも疲れるということでやめとけと言われるのでしょう。
②繁忙期は激務になる
電気工事士はエアコンの取替工事の多い6~8月が1年の繁忙期です。朝から夜まで1日中移動と工事を繰り返すので、かなり忙しく感じます。
人の家庭に入って作業を行う緊張感のために、きついと感じる人も少なくありません。
③見習い時は給料が安い
電気工事士は一人前と見なされるまでに大体5年ほどかかると言われています。それまでは給料が安いため、やめとけといわれることがあります。
給料が高いと聞いて就職した人は給料を見てビックリするかもしれません。
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・電気工事士はやめとけ?資格を活かせる仕事や将来性を徹底解説
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まとめ
電気工事士は危険かつ肉体労働で、繁忙期は激務になりますが、需要がなくならない安定した職種です。
また、業務独占資格であるため、持っているだけでも大きな強みになります。
大手企業への就職や独立を行えば、年収1,000万円以上を狙える魅力的な仕事です。
電気に興味のある人や安定した仕事につきたい人などはぜひ電気工事士を目指してはどうでしょうか。
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