施工管理技士の取得を検討しているけど、資格の概要がよくわからないと感じている人もいるのではないでしょうか。
施工管理技士は建設業界に欠かせない存在と言われており、将来的にも需要の落ちない職種と言われています。
資格を取得するには所定の実務経験を満たし、試験に合格しなければなりません。
また、施工管理技士の資格は7種類に分かれているため、それぞれの役割などをきちんと理解しておくことが大切です。
この記事では施工管理技士の資格一覧や受験資格、試験の難易度について解説します。施工管理技士の取得を検討している人は、ぜひ参考にしてください。
施工管理資格の役割と主な仕事内容
施工管理技士は、建設工事の品質や安全、工程などを管理する専門的な知識とスキルを証明する国家資格です。建設業に従事する際に重要な役割を果たし、施工現場で管理業務を遂行するのに必要です。
具体的に、施工管理技士は、建築・土木・電気・管工事など、特定の分野での施工管理を担当します。
施工管理の仕事内容は、大きく分けて5つです。
- 工程管理
- 原価管理
- 安全管理
- 品質管理
- 環境管理
施工管理技士は、建設現場で中心的な役割を果たし、建物やインフラの建設工事全体の監督・指導に貢献しています。
関連記事:施工管理とは?具体的な仕事内容をわかりやすく解説|クロスワーク・マガジン
施工管理資格一覧
施工管理技士の資格は大きく分けて7種類です。
- 建築施工管理技士
- 建築機械施工管理技士
- 土木施工管理技士
- 電気工事施工管理技士
- 電気通信施工管理技士
- 管工事施工管理技士
- 造園施工管理技士
それぞれの資格について解説します。
建築施工管理技士
建築施工管理技士は、建築物の施工に向けて総合的な管理を担う資格です。建築施工管理技士は、ビルや住宅などの建設工事で、設計図どおりに安全かつ効率的に建物を完成させる全体的な計画・管理業務を遂行しています。
関連記事:人気が高い1級建築施工管理技士とはどんな資格?受験資格や試験内容、難易度から勉強方法まで紹介!
建築機械施工管理技士
建築機械施工管理技士は、建設現場で使用される機械の管理や操作を専門とする資格です。建築機械施工管理技士は、クレーンやブルドーザーなどの建設機械の効率的な運用を確保し、作業の安全性と生産性の向上に重要な役割を担っています。
土木施工管理技士
土木施工管理技士は、道路・橋・トンネル・ダムなどの土木工事を担当する資格です。土木施工管理技士は、インフラ整備の工事現場で、設計図に基づき安全かつ効率的に工事を進める計画・管理業務を遂行しています。
電気工事施工管理技士
電気工事施工管理技士は、建物内外の電気設備の施工に携わる資格です。電気工事施工管理技士は、電気配線・照明設備などの設置やメンテナンスを管理し、電気設備が安全に動作するように工事を進める役割を担っています。
関連記事:土木施工管理技士の年収は約400〜700万円|年収アップと仕事内容
電気通信施工管理技士
電気通信施工管理技士は、通信設備の施工管理を担当する資格です。電気通信施工管理技士は、インターネット・電話回線・ネットワーク設備の設置や保守を実施して、正確に動作するように管理しています。
管工事施工管理技士
管工事施工管理技士は、給排水・ガス配管などの設備の工事を担当する資格です。管工事施工管理技士は、配管の設置や修理、メンテナンスなどを行っています。
関連記事:【2024年版】1級管工事施工管理技士の試験概要|資格取得の方法、勉強のコツ
関連記事:2級管工事施工管理技士とは|資格取得の方法と勉強のコツ
関連記事:管工事施工管理に実務経験は必須?級別の受験資格やメリット
造園施工管理技士
造園施工管理技士は、庭園や公園の設計・施工に携わる資格です。造園施工管理技士は、美しい景観を作り出すと同時に、自然環境に配慮した設計を行っています。
関連記事:施工管理技士の資格の種類は1つだけじゃない!それぞれの資格や仕事内容について紹介します
施工管理資格の難易度
施工管理技士の資格は種類に加えて、それぞれ2級と1級が存在します。
施工管理資格の合格率について、2級と1級に分けて見ていきましょう。
2級施工管理技士
令和5年度における2級施工管理技士の合格率は次のとおりです。
受験者数 | 合格者数 | 合格率 | |
一次検定 | 129,551人 | 65,416人 | 50.4% |
二次検定 | 75,891人 | 40,834人 | 53.8% |
このように、2級の合格率は、一次・二次ともに50%ほどです。合格率を踏まえると、2級の難易度はそこまで高いわけではありません。
一次検定ではマークシート方式ですが、二次検定ではマークシートと記述式の両方が存在します。また、大問5問のうち、記述式が3問です。
1級施工管理技士
令和5年度における1級施工管理技士の合格率は次のとおりです。
受験者数 | 合格者数 | 合格率 | |
一次検定 | 99,488人 | 43,361人 | 43.5% |
二次検定 | 65,585人 | 27,933人 | 42.5% |
このように、1級の合格率は、一次・二次ともに40%ほどです。したがって、合格率を踏まえた1級の難易度は、高いと言えるでしょう。
1級も2級同様に、二次検定ではマークシートと記述式の両方が存在します。
参考:技術検定の受検者数、合格者数の推移|国土交通省
参考:物流・建設・製造特化の求人サイト「クロスワーク」(2024年8月時点の情報)
関連記事:施工管理技士の資格難易度は?全業種の合格率や勉強方法のコツを紹介
施工管理資格を取得する4つのメリット
施工管理の資格を取得するメリットは主に4つです。
- 年収が上がる
- 主任技術者や監理技術者になれる
- 専任の技術者になれて評価が高まる
- 好待遇の会社へ転職しやすくなる
それぞれのメリットについて解説します。
年収が上がる
施工管理資格を取得すると、年収が上がる可能性が高まります。施工管理の資格は、建設現場での専門知識と経験の証明につながるでしょう。
その結果、企業からの評価が高まり、昇給やボーナスの増加が期待できるだけでなく、年収のベースライン自体が高く設定されるケースがあります。
また、2級に加えて1級の施工管理資格を取得すると、さらに高い収入を得られる可能性が高くなるでしょう。
主任技術者や監理技術者になれる
施工管理資格があれば、主任技術者や監理技術者として働けるようになります。
具体的には、工事現場では主任技術者の設置が必要です。さらに、請負金額4,500万円以上の工事では、監理技術者の登用が義務化されています。
したがって、施工管理資格があれば、自身の市場価値向上につながるでしょう。
専任の技術者になれて評価が高まる
専任技術者の設置は、建設業許可の要件となっています。また、専任技術者は建設工事に関する請負契約の適正な締結やその履行確保のために置かれるもので、常時その営業所に勤務していなければなりません。
専任技術者になるには、施工管理資格が必要となります。
専任技術者として認定されると、職場での評価が一層高まります。そのため、施工管理資格があれば、高い評価を得られる可能性が高まるでしょう。
好待遇の会社へ転職しやすくなる
施工管理の資格があれば、好待遇の会社へ転職しやすくなるかもしれません。先ほどから紹介しているとおり、主任技術者・監理技術者、さらに専任技術者になるには施工管理資格が必要です。
そのため、施工管理技士は、転職市場で非常に価値があり、多くの企業が資格を持つ人材を求めています。特に、専門性が高く経験豊富な施工管理者は、建設業界全体で高い需要があり、より良い条件での転職が可能となります。
施工管理資格の保有により、自身のキャリアパスを自由に選択できる幅が広がり、より満足度の高い職場環境を見つけやすくなるでしょう。
関連記事:施工管理として独立すると年収はいくら?メリット・デメリットも|クロスワーク・マガジン
施工管理資格の受験資格
施工管理技士は、2級と1級のそれぞれに受験資格が設けられています。
- 2級試験の受験資格
- 1級試験の受験資格
それぞれの受験資格について解説します。
2級試験の受験資格
施工管理資格の試験は第一次検定と第二次検定の2つです。第一次検定の受験資格は、試験実施年度末時点で満17歳以上です。
第二次検定では、第一次検定合格に加えて、3年以上の実務経験が必要です。ただし、1級の第一次検定に合格している場合は、実務経験が1年以上あれば第二次検定を受験できます。
また、令和10年度までは、旧受験資格を満たした上での第二次検定に挑戦も可能です。旧受験資格は、学歴によって必要な実務経験が異なるので注意しましょう。
1級試験の受験資格
1級の試験も第一次検定と第二次検定の2つあります。第一次検定の受験資格は、試験実施年度末時点で満19歳以上です。
第二次検定では、第一次検定合格に加えて、5年以上の実務経験が必要です。もしくは特定実務経験1年以上を含む計3年以上、監理技術者補佐として1年以上の場合も第二次検定を受験できます。
また、令和10年度までは、旧受験資格を満たした上での第二次検定に挑戦も可能です。旧受験資格は2級同様、学歴によって必要な実務経験が異なるので注意しましょう。
参考:令和6年度より施工管理技術検定の受検資格が変わります|国土交通省
関連記事:1級建築施工管理技術検定の申し込み方法と勉強のコツ
施工管理資格に関するよくある質問
施工管理資格に関するよくある質問は次のとおりです。
- 施工管理資格を取得するのに必要な勉強時間は?
- 施工管理資格の将来性は?
- 施工管理資格の年収は?
それぞれの質問について解説します。
施工管理資格を取得するのに必要な勉強時間は?
2級施工管理技士の資格を取得するには、一般的に100時間から300時間ほどの勉強時間が必要と言われています。ただし、合格に必要な勉強時間は、個々の実務経験や学歴によって異なるでしょう。
具体的には、試験の現場経験豊富な人は3か月前、経験が浅い人は半年前をめどに勉強し始めるとよいと言われています。
関連記事:施工管理の仕事はなくなる?AI導入による建築業界への影響とは|クロスワーク・マガジン
施工管理資格の将来性は?
建設業界全体的に人材が不足しており、施工管理資格の将来性も高いでしょう。
ただし、施工管理の需要が高まっている一方で、入職者数が減少している傾向にあります。施工管理を含む建築・土木技術者等の有効求人倍率は2019年時点で5.91、2020年時点で4.88でした。つまり、1人の就業者に対して5社程度の求人があります。
弊社が運営する物流・建設・製造特化の求人サイト「クロスワーク」を確認すると、施工管理の求人は未経験を歓迎していたり条件として普通免許の取得に限定したりするケースが多い状況です。
施工管理資格の年収は?
施工管理技士の年収は400万円から600万円ほどと言われています。
令和5年賃金構造基本統計調査を踏まえたデータによると、建築施工管理技術者に限定した平均年収は632.8万円です。
したがって、施工管理技士として高年収を目指せる可能性は十分にあるでしょう。
参考:建築施工管理技術者 - 職業詳細 | job tag(職業情報提供サイト(日本版O-NET))
関連記事:施工管理として独立すると年収はいくら?メリット・デメリットも
実務経験を積みながら施工管理資格の取得を目指してみよう
この記事では、施工管理資格の種類や受験要件、取得難易度などについて解説してきました。
施工管理資格は次の7種類に分かれています。
- 建築施工管理技士
- 建築機械施工管理技士
- 土木施工管理技士
- 電気工事施工管理技士
- 電気通信施工管理技士
- 管工事施工管理技士
- 造園施工管理技士
2級施工管理技士の受験資格は、試験実施年度末時点で満17歳以上です。また、第二次検定では、第一次検定合格に加えて、3年以上の実務経験が必要です。
さらに、1級を受験する場合は、試験実施年度末時点で満19歳以上を満たしておかなければなりません。第二次検定では、第一次検定合格に加えて、5年以上の実務経験が必要です。
もしくは特定実務経験1年以上を含む計3年以上、監理技術者補佐として1年以上の場合も第二次検定を受験できます。
また、施工管理技士の合格率は2級が一次・二次ともに50%ほど、1級は一次・二次ともに40%ほどで推移しています。
これから施工管理資格の取得を検討しているのであれば、チャレンジしてみてはいかがでしょうか。
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