タクシー運転手は、特別な応募条件が少ないため、未経験者でも挑戦しやすい職種です。業界全体でも中途採用者の数が非常に多い特徴があり、年齢に関係なく転職可能です。
しかし、タクシー運転手についてネット検索すると「きつい」「やめとけ」といったネガティブな声も少なからず見受けられます。「本当にタクシー運転手としてやっていけるのか」と、不安に感じる方もいるでしょう。
この記事では、タクシー運転手がきついと言われている理由や、体力面・精神面の負担を軽減する方法を中心に解説します。また、タクシー運転手として収入を安定させる方法なども紹介します。
タクシー運転手がきついと感じる9つの理由
冒頭で解説したように、タクシー運転手への転職に対する声として「きつい」「やめとけ」といったネガティブな声も少なくありません。
なぜタクシー運転手はきついのか、仕事内容の特徴を交えながら、9つの理由について解説します。
[理由1]隔日勤務や夜勤の時間が長くて体力的にきつい
タクシーは、電車やバスなどの他の交通機関が動いていない時間帯に最も需要が高まります。そのため、タクシー業界では「隔日勤務」や「夜日勤」という働き方があります。
隔日勤務とは、1日で2勤務分まとめて働く勤務形態で、15〜19時間ほどタクシーに乗務します。労働基準法で最低3時間の休憩が義務付けられているものの、1日中働き続けるのは精神的・身体的な負担が大きいと言えるでしょう。
しかし、厚生労働省では「ハイヤー・タクシー運転者の改善基準告示」で、拘束時間などについて以下の通り細かく基準を設けています。
- 1ヶ月の拘束時間:隔日勤務は262時間以内、日勤は288時間以内
- 1勤務の拘束時間:隔日勤務は22時間以内、日勤は13時間以内
- 勤務間の休息時間:隔日勤務は22時間以上、日勤は9時間以上
また、隔日勤務後は必ず休みとなるため、月の勤務回数は12〜13回ほどです。働き方に慣れる必要はあるものの、自分の時間を作りやすいといった魅力があります。
夜勤に関しては、8時間勤務で長時間労働ではないものの、昼夜逆転するため生活リズムを崩しやすいと言えるでしょう。また、夜間は視界が悪く周辺の状況を確認しにくくなるため、細心の注意が求められます。
関連記事:タクシー運転手の隔日勤務はつらい?労働時間の実態を徹底検証
関連記事:隔日勤務とは?タクシー運転手の勤務体系や休憩・休日、メリットデメリット
[理由2]給料が低く生活に余裕が持てない
タクシー運転手がきついと言われる理由の1つに給料の低さもあります。タクシー業界では「歩合制」が一般的であり「固定給+歩合給制度」で支給額が決定します。
真面目に取り組んでいたとしても、顧客数や移動距離が少ない場合、収入が下がってしまいます。特に、深夜や早朝に人通りが少ない地方は、稼ぎにくい傾向です。
ただし、収入を安定させるコツを身につければ、一定以上の売り上げを確保しやすくなります。また、売上次第で転職後すぐに高収入を目指せることは、タクシー運転手ならではの魅力と言えます。
[理由3]収入が毎月安定しないため不安が大きい
タクシー運転手は、収入を安定させるのが難しいと言えます。前述の通り歩合制が主流であるのに加えて、業界特有の繁忙期と閑散期が存在するためです。
乗客が多くなるのは、年末年始やゴールデンウィークといった帰省ラッシュや観光シーズンで、イベントがなく、雨の少ない季節は乗客が少なくなります。
定期的に勤務地周辺で開催されるイベントや地域の特性を理解し、乗客を見つけるコツを習得することで、売り上げを安定させやすくなります。
[理由4]体力的に消耗しやすく、精神的なストレスも多い
タクシー運転手は体力的・精神的な負担が大きい職種です。冒頭で説明した隔日勤務のばあいは特に、一回の勤務時間が20時間前後と非常に長く、昼夜逆転の生活で体調を崩す方も少なくありません。
また、急いでいる方やお酒に酔っている方を搬送する場合、接客には細心の注意が求められます。道路状況や交通状況など、運転手が悪くない理由でクレームを受けることも珍しくありません。
クレーム対応のコツを学び、負担を軽減させることが大切です。
[理由5]乗客からのクレームでストレスが溜まる
乗客からのクレームでストレスが溜まることは、タクシー運転手ならではのきつさと言えるでしょう。タクシーの利用客には急いでいる方が多く、最短で目的地まで送り届けなければなりません。
乗客が理想とする道順で目的地へ向かわなかったり、渋滞に巻き込まれてしまったりすると、理不尽なクレームを受けることもあるでしょう。
また、深夜帯はお酒に酔った乗客も多く、暴言を吐かれることも珍しくありません。プロの運転手として割り切り、ストレスを溜め込まないコツを習得しましょう。
[理由6]夜勤や不規則勤務が家族生活に悪影響を与える
隔日勤務や夜勤の場合、生活リズムが不規則であることからご家族をお持ちの方はプライベートとの両立が難しいかもしれません。
特に隔日勤務の働き方の場合、勤務時間が長いため、家族と好きなタイミングで過ごせず、家族生活に悪影響を及ぼす場面も多くあります。また、昼夜逆転してしまうと、子供の学校行事や家族イベントに参加しにくくなります。
ただし、隔日勤務中には3時間の休憩が取れるため、勤務終了後に外出することも可能です。1回の勤務時間は長いものの、月の出勤回数は12〜13回ほどであるため、プライベートの時間も確保しやすいと言えます。
[理由7]乗客の命を預かるプレッシャーがある
タクシー運転手は、乗客を安全に目的地まで送り届ける責任があり、運転には大きなプレッシャーが伴います。特に天候が悪い日には注意が必要です。
運転中の接客も大切な仕事の1つであり、適切に対応しつつ周囲の状況に注意を配らなければならないため、精神的な負担も大きいと言えるでしょう。
こまめに休憩を取りながら、心をリフレッシュさせることが大切です。
[理由8]事故に遭遇する可能性がある
タクシー運転手として働くうえで、最も注意が必要なのが交通事故です。前述の通り、乗客の命を預かっており、自身がケガするリスクも伴います。
どれだけ注意を払っていても、避けられない事故に巻き込まれる可能性もゼロではありません。交通事故により免許停止になった場合、運転手として働けなくなるリスクもあります。
プライベートでの運転にも注意が必要であり、安全運転に対する意識を強く保ち続ける必要があります。
[理由9]犯罪被害に巻き込まれる可能性がある
タクシーは密室空間であるため、犯罪に巻き込まれるリスクが少なからずあります。特にお酒に酔った乗客は、些細な言動がきっかけで暴力や恐喝などのトラブルへ発展しやすいため、注意が必要です。
また、過去には金銭目的の強盗被害も実際に起きています。こうした状況を受けて、タクシー会社では、防犯カメラの設置や緊急時に迅速に通報できる体制の整備が進められています。
関連記事:タクシー運転手に転職するのはきつい?後悔・失敗などの実際の声も
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タクシー運転手の長時間労働による体力的・精神的負担を軽減する方法
タクシー運転手は隔日勤務で働く方が多く、その場合、長時間労働による体力的・精神的負担が大きいと言えます。この問題は、以下のポイントを意識することで軽減できるでしょう。
- 運転中にできるストレッチで体の負担を軽減する
- 休憩中に車内で仮眠を取り疲労を回復させる
- 空き時間に休憩所で体を動かす習慣をつける
- 車内の環境を整え姿勢を保ちやすくする
- クレーム対応のコツを学んでストレスを減らす
実際にタクシー運転手として働く人の声も交えながら、各ポイントについて解説します。
運転中にできるストレッチで体の負担を軽減する
タクシー運転手は、長時間同じ姿勢で運転するため、肩こりや腰痛、血流の悪化など、体にかかる負担が大きくなりがちです。
このような負担を軽減するために、運転中の信号待ちや休憩時間を利用してこまめにストレッチすることで、体の負担を軽減できます。現役ドライバーが行っている具体的なストレッチ方法は、以下の通りです。
- 首や肩のストレッチ:ゆっくりと首を前後左右に動かし、肩を上下にすくめる動作を数回繰り返す。
- 腰や背中のストレッチ:背筋を伸ばし、肩甲骨を引き寄せるように腕を後ろに引く。
- 手首や指のストレッチ:片方の手で指を伸ばしたり、手首を軽く回す。
これらのストレッチは、信号待ちなどちょっとした時間で簡単にできます。こまめに行うことを意識しましょう。
休憩中に車内で仮眠を取り疲労を回復させる
長時間にわたり運転していると、眠気を感じることがあります。タクシー運転手は休憩時間に決まりがないため、疲れが溜まっていると感じたタイミングで仮眠を取り、負担を軽減しましょう。
必要以上に寝すぎてしまうと、深い眠りに入ってしまい、眠気が残りやすくなります。理想的な仮眠時間は20〜30分程度と言われており、短時間で頭をスッキリさせる効果があります。
車内で仮眠を取る際には、背もたれを倒してリラックスした体勢を取るようにしましょう。
空き時間に休憩所で体を動かす習慣をつける
空き時間を休憩所ですごす場合は、体を積極的に動かす習慣をつけましょう。タクシー運転手は長時間座りっぱなしで運転するため、血流が悪くなりやすく、腰や肩に負担がかかります。以下の運動がおすすめです。
- スクワット:下半身の筋肉を鍛えられて、血流を促進する効果もある。10回程度の軽いスクワットだけでも効果を得やすい。
- 背伸び運動:両手を頭上に上げ、背筋をしっかりと伸ばす。全身の血行を良くして、肩や腰の緊張を和らげる効果がある。
- 腕回し運動:肩や腕をゆっくり回す。肩関節を動かすことで、長時間の運転で硬くなった肩周りがほぐれてリラックスできる
プライベートでも、体を動かす習慣を作ることで、日頃の運動不足を解消しやすくなります。
車内の環境を整え姿勢を保ちやすくする
体への負担を軽減するために、適切な姿勢を保つことが大切です。以下のポイントを意識しましょう。
- シートの位置と角度の調整:シートの位置は、ペダルを踏みこんだ際に膝が軽く曲がる程度に調整する。角度は少し後ろに傾けて、背中がしっかりと支えられるようにする
- ハンドルの位置と持ち方:ハンドルの位置は、腕が無理なく伸ばせる位置に調整する。ハンドルを握る位置は、9時15分の位置が理想
この他にも、腰をサポートしてくれるクッションを活用するなどして、体への負担を軽減させましょう。
クレーム対応のコツを学んでストレスを減らす
理不尽なクレームによる精神的な負担を減らすためには、日頃から適切な接客を心掛けることが大切です。加えて、気持ちの切り替え方を身につけることも重要と言えます。
気持ちを切り替える方法は、人によって異なりますが「一度休憩を取る」「次の乗客が見つかるまで気分転換として音楽を流す」といった声がありました。
また、過度に親しげに対応すると「馴れ馴れしい」と感じられてしまったり、無関心になりすぎると「不愛想」と思われたりする可能性があるため、思いやりのある接客スキルを身につけることも大切です。
タクシー運転手の不安定な収入を安定させる方法
タクシー運転手は歩合制を導入している会社が多く、毎月一定以上の売り上げを維持しなければ安定した収入は得られません。一定以上の売り上げを達成し、さらに高収入を目指すためには、以下のポイントを意識しましょう。
- 固定給や保証給のある会社を選ぶことで収入を安定させる
- 複数の配車アプリを活用して、仕事の機会を安定的に確保する
- 流し営業だけでなく予約や固定客を活用し、安定した収入源を確保する
- 人気エリアや特定のエリアに定着して安定的に乗客を確保する
- 労働時間や勤務スケジュールを調整し収入の波を減らす
どのポイントも、経験に関係なくすぐに取り入れられるため、できそうなものから実践してみましょう。
固定給や保証給のある会社を選ぶことで収入を安定させる
タクシー会社の給与形態には「A型賃金」「B型賃金」「AB型賃金」の3種類があります。
- A型賃金(固定給+歩合給+賞与):一定の収入が保証されている一方で、歩合率が低いため、売上が多くても給与に反映されにくい。
- B型賃金(完全歩合制):固定給がなく、一定の収入が保証されていない一方で、歩合率が高く売上次第で高収入を目指しやすい。
- AB型賃金(固定給+歩合給+歩合賞与):固定給により一定の収入が保証されており、売上の一部が賞与に積み立てられるため、売上が高くなるほど賞与が高くなる。
未経験で売上を維持できるか不安な場合は、固定給が含まれるA型賃金またはAB型賃金が最適と言えるでしょう。売上を上げる自信があり、高収入にこだわりたい人はB型賃金がおすすめです。
求人の給与形態を確認し、自分に合ったものを探してみましょう。また、一人暮らしを予定している場合は、寮があるタクシー会社を選ぶことで、家賃の出費を減らせます。
複数の配車アプリを活用して、仕事の機会を安定的に確保する
近年は、簡単にスマートフォンからタクシーを呼べる配車アプリが多く誕生しています。具体的には「Uber」「DiDi」「GO」などがあり、これらを活用することで、乗客を見つけやすくなります。
アプリによって利用者層や利用人数が異なるため、複数のアプリを使い分けることが大切です。
流し営業だけでなく予約や固定客を活用し、安定した収入源を確保する
乗客を見つける方法の1つに流し営業がありますが、場所や時間帯によっては思うように乗客が見つからないこともあります。このような事態をできるだけ減らすためにも、予約や固定客を増やして売り上げを安定させましょう。
定期的に利用してもらえる固定客を増やすには「またこの運転手さんにお願いしたい」と思ってもらうことが大切です。
丁寧な運転だけでなく、車内での適切な会話を通じて信頼関係を築いていきましょう。名刺がある場合は、積極的に渡してリピート利用を促していくのも効果的です。
人気エリアや特定のエリアに定着して安定的に乗客を確保する
タクシー運転手として安定した売上を確保するには、乗客を見つけやすい場所を中心に営業することが大切です。具体的には都市部のビジネス街や観光地、駅周辺などがあります。
各場所で利用者数が増える時間帯が異なるため、効率的に流し営業を行いながら乗客を見つけていきましょう。また、大規模なイベントの後は他の公共交通機関が渋滞しやすく、タクシー需要が増加します。
近くでイベントが開催されていないか、定期的にチェックすることが大切です。
労働時間や勤務スケジュールを調整し収入の波を減らす
タクシーの需要は曜日や時間帯によって大きく変わります。売り上げを安定させたい場合は、稼ぎやすいと言われる時間帯に勤務を組むようにしましょう。
具体的には、深夜から早朝にかけてがおすすめです。電車やバスが動かなくなる時間帯から、タクシーの利用者が増加します。早朝は通勤需要が高まるため、乗客を見つけやすくなります。
関連記事:タクシー運転手が稼げる理由とは?給与相場や稼ぐコツ
タクシー運転手で年収600万円超えは8%未満
職業情報提供サイトjobtagが公表した、令和5年度におけるタクシー運転手の平均年収は419万円です。また、北海学園大学が行った個人タクシー運転手の調査によると、年収区分ごとの割合は、以下の通りでした。
年収区分 |
全体の割合 |
年収300万円未満 |
10.3% |
年収300万円~ |
30.9% |
年収400万円~ |
37.9% |
年収500万円~ |
13.1% |
年収600万円~ |
7.8% |
年収500万円を超えているのは、全体の2割ほどであることが分かります。
一方で、年齢層によっては比較的高い収入も期待できます。例えば、40代前半(40〜44歳)の平均年収は562万円と、年収600万円に近い水準です。このことからも、経験や工夫次第で高収入も目指せる職業と言えるでしょう。
効率的な営業方法や、適切な勤務形態を選びつつ、向上心を持って取り組めば年収600万円も十分目指せる範囲と言えるでしょう。
出典:タクシー運転手・職業情報提供サイトjobtag|厚生労働省
参考:不況と規制緩和のもとでのタクシー運転手の状態|北海学園大学
タクシー運転手の1日のスケジュール
タクシー運転手は隔日勤務が主流であるものの、夜勤や日勤もあり、1日のタイムスケジュールが異なります。
ここでは、3つのパターンに分けてタクシー運転手のスケジュールを紹介します。
事例1:隔日勤務の場合
タクシー運転手の勤務形態として一般的である隔日勤務は、タクシー会社によって出社時間が異なります。日本交通株式会社が公表している1日の流れは以下の通りです。
- 午後2時:出社後、アルコール検査を行い、車両点検を進める
- 午後3時:出庫する
- 午後8時:夜に備えて仮眠や食事をする
- 午後9時:営業を再開する
- 午前0時:会食などが終り帰宅する乗客を輸送する
- 午前3時:出勤需要に備えて仮眠や食事をする
- 午前5時:営業を再開する
- 午前10時:営業所に戻り、タクシーの点検や洗車を行い、業務日誌を作成する
隔日勤務の場合、最低3時間の休憩が義務付けられています。休憩を取るタイミングに決まりはなく、その日の状況によって運転手が決定します。
事例2:昼日勤の場合
昼日勤とは、一般的なサラリーマンと同じく朝に出勤して夕方まで働く勤務形態です。隔日勤務ではないため、労働時間は8時間となります。
日の丸交通株式会社を例にすると、以下のスケジュールで1日が進みます。
- 午前7時:出社後、点呼を行い車両点検を進める
- 午前9時:出庫して営業活動を始める
- 午後11時:休憩で昼食をとる
- 午後12時:営業を再開する
- 午後16時:帰庫して洗車や業務日報の作成を作成後、退社する
昼日勤は、お昼休憩が1時間前後で、月の休日数は約8日となります。タクシー会社によっては、1時間単位で出勤時間を調整できるため、希望する勤務時間がある場合は事前に確認しておきましょう。
事例3:夜日勤の場合
タクシーは深夜や早朝に需要が高まるため、夜勤もあります。豊玉タクシー株式会社の1日の流れは以下の通りです。
- 午後5時:出社後、始業点検を行う
- 午後6時:出庫して営業活動を始める
- 午後11時:休憩で食事をとる
- 午前0時:営業を再開する
- 午前3時:帰庫して洗車や業務日報の作成を作成後、退社する
夜日勤も、他の職種の夜勤と休憩時間や月の休日数に大きな違いはありません。日中よりも夜間の方が需要が高いため、高収入を目指したい場合は夜勤が最適と言えるでしょう。
タクシー運転手はきついだけじゃない|仕事内容とやりがい
タクシー運転手は隔日勤務や歩合制など、他の職種にはない特徴があり、きついと感じることがある一方で、大きなやりがいを感じられる職種でもあります。
転職後に「きつい」「辞めたい」と感じないように、仕事内容について詳しく理解しておくことが大切です。ここでは、タクシー運転手の仕事内容とやりがいについて解説します。
タクシー運転手の仕事内容
タクシー運転手は、タクシーで乗客を目的地まで安全に送り届けるのが仕事であり、具体的には以下の業務をこなします。
- 乗客を見つけるための営業:所定のエリアを走行する流し営業や駅、観光地などで待機して乗客を見つける付け待ち営業を行う。
- 乗客の送迎:乗客が乗車する際には、ドアの開閉やトランクルームへの荷物の積み込みを行う。乗客のリクエストなどに応じて道順を調整する。
- 料金の精算:料金メーターを発車時に設定し、目的地に到着した後に料金の精算を行う。現金やカード、電子マネーといったさまざまな支払い方法に対応し、必要に応じて領収書を発行する。
- 車内や車外の清掃:座席やフロアマットなど、車内全体を定期的に掃除して清潔さを保つ。近年は、車内の消毒や除菌シートの配置など、衛生面への配慮が必要。
- 車両の点検や整備:タイヤの空気圧や各種ライトの点灯、エンジンオイルの有無などを発車前に確認し、事故や故障を防ぐ。
- 勤務報告と売上管理:運転時間や売上、走行距離などを日報にまとめて業務内容を報告する。
この他に、子供の習い事への送迎や、妊婦の急な体調不良に対応する送迎サービスを独自で行っているタクシー会社もあります。
関連記事:バス運転手とタクシー運転手はどっちがいい?年収や仕事内容の違いも
タクシー運転手としてやりがいを感じる時
タクシー運転手として働く中で、やりがいを感じるシーンには、主に以下の内容があります。
- 乗客を最短かつ安全に目的地まで送り届けた際に「ありがとう」と感謝の言葉をもらえた時
- 固定客としてリピートされるようになり、ドライバーとして信頼されていると実感できた時
- 過去に身につけた地理知識で、予定よりも早く目的地へ送り届けられた時
- 目標の売り上げを達成できた時
この他にも、地域や観光地の魅力を十分に伝えられて、乗客の旅行をサポートできた時といった声がありました。
タクシーは、高齢者や妊婦、小さな子供のいる家族など、特別なサポートが必要な人々にとって、安心して利用できる移動手段です。生活インフラとして地域社会を支えています。
関連記事:「タクシードライバーは楽しい」と思える7つの理由
関連記事:【成功例】タクシー運転手が転職してよかったと感じる瞬間|8選
きつくても充実して働けるタクシー会社の特徴|4選
タクシー運転手としての働き方は、会社によって異なります。運転手として長く働き続けるためには、働きやすい環境の整った会社を選ぶことが大切です。
ここでは、充実して働けるタクシー会社の特徴について解説します。
1.日勤(昼勤)である
長時間勤務をなるべく避けたい場合は、日勤のあるタクシー会社を選ぶようにしましょう。タクシー業界では隔日勤務で働く乗務員が多いですが、日勤や夜勤に対応している会社もあります。
また、子供の送り迎えといったプライベートに合わせて、1時間単位で出勤時間を調整できる会社もあるため、希望がある場合は事前に伝えておくと良いでしょう。
2.設備が充実している
勤務で使用する設備が充実していると、運転手が安全に乗務できるだけでなく、日々の業務をスムーズに進めやすくなります。具体的には、以下の設備があります。
- 車内の防犯、安全設備:防犯カメラやGPS、ドライブレコーダーの搭載など
- 休憩所や仮眠スペース:長時間の休憩でもしっかり休息をとることができる
- メンテナンス設備:自社整備工場があると、車両が故障した際に迅速に対応できる
一人暮らしの場合は、寮が完備されているかも重要です。これらの設備は、求人票やタクシー会社のホームページで調べられます。
3.ノルマがない
ノルマがないタクシー会社で働くと、精神的な負担が減り、自分のペースで仕事ができるため、気軽に働けます。
ノルマがある場合、毎月一定の売上を達成しなければならず、大きなプレッシャーとなります。特にタクシー運転手は、時間帯やエリアによって売上が大きく変動するため、安定してノルマをクリアするのが難しいのが現状です。
ノルマがなければ、運転手は無理をせず自分のペースで働けるため、精神的なストレスが軽減されます。また、ノルマ達成のために焦って次の乗客を探す必要がなくなり、安全運転や乗客への丁寧な接客に集中できるというメリットもあります。
結果として、乗客からの信頼が高まり、リピーターが増えることで安定した収入に繋がるケースもあるでしょう。
ただし、ノルマがなくても、歩合率や給与体系は会社ごとに異なるため、転職を検討する際には、歩合給の仕組みや給料体系について事前に採用担当者に確認しておくことが大切です。
4.業績が好調
タクシー運転手以外にも共通する部分ですが、業績が好調なタクシー会社で働くと安定した収入と安心感が得られ、仕事に集中できます。業績が好調なタクシー会社は経営が安定しているため、社員に対する待遇もよいでしょう。
たとえば、固定給が高かったり、ボーナスが相場より高めに支給されたりします。 また、業績がよいタクシー会社は多くの予算を割けるため設備も充実しており、最新の車両やシステムの導入も進めています。
この他にも、未経験で転職する場合は、教育や研修制度が充実しているかも重要です。資格取得支援制度の有無や、入社後の流れについてリサーチしておくようにしましょう。
近年は、転職予定の人向けに企業の口コミサイトが複数存在します。気になるタクシー会社がある場合は、職場の雰囲気や働きやすさについて調べてみるのもおすすめです。
タクシー運転手きついに関するよくある質問
最後はタクシー運転手のきつさや適性に関する、6つのよくある質問に答えていきます。
- タクシー運転手に向いてる人と向いてない人の特徴は?
- タクシー運転手は何歳まで働ける?
- タクシー運転手の離職率はどのくらい?
- タクシー運転手の年収は低いですか?
- なぜタクシー運転手は不足しているのでしょうか?
- タクシー運転手は誰でもなれますか?
タクシー運転手の適性や離職率などについて理解しておくことで、転職後のギャップをなくせます。
タクシー運転手に向いてる人と向いてない人の特徴は?
タクシー運転手に向いているのは、以下のような特徴がある人です。
- 人と接するのが好きで丁寧な接客に自信がある人
- 運転が得意で長時間の乗り続けることに抵抗がない人
- 自分で物事を判断するのが好きな人
タクシー運転手は、乗客との距離が近いため、会話をする機会が多く、丁寧な接客が求められます。そのため、「人と話すのが好き」「接客経験がある」という方に向いているでしょう。実際、タクシードライバーは未経験でも接客経験があり、人柄がよいという理由で転職に成功した方は多数います。
一方で、以下の特徴がある方はタクシー運転手に向いていないと言えます。
- 運転が苦手で事故や違反の経験がある人
- 1人で仕事するのが苦手な人
- 高収入よりも安定した収入を重視したい人
タクシーの仕事は、ちょっとした油断が事故に繋がる可能性があり、乗客の命を預かる立場でもあるため、運転が苦手な方には向いていません。勤務中は一人で過ごすことが多いため、みんなと協力して仕事をこなしたい方にも向いていないと言えます。
関連記事:タクシー運転手に向いている人の特徴|求められるスキル、現役運転手の声も
タクシー運転手は何歳まで働ける?
タクシー運転手は、60〜65歳を定年としている会社が多いものの、その後も嘱託や契約社員として働き続けることも可能です。
75歳を上限としているタクシー会社が多く、特別な持病などがない限り、長く働き続けられる職種です。ちなみに個人事業主となる個人タクシーの場合は、75歳までとなります。
関連記事:【必見】40代でもタクシードライバーに転職できる|求められるスキル、成功のコツ
タクシー運転手の離職率はどのくらい?
東京ハイヤー・タクシー協会が公表したデータによると、新卒入社したタクシー運転手の離職率は約10%で、他の産業平均が約30%であることを踏まえるとかなり低いと言えます。
「きつい」「やめとけ」といったネガティブな声もありますが、仕事に慣れると「楽しい」「思ったより稼げた」という声もあり、活躍し続けている方は多くいます。
参考:タクシー乗務員採用に向けての取り組み|一般社団法人 東京ハイヤー・タクシー協会
タクシー運転手の年収は低いですか?
令和5年度におけるタクシー運転手の平均年収は、419万円です。同年度における全産業の平均年収は460万円であるため、全体平均と比べると30万円ほど安いことが分かります。
ただし、あくまでも平均であり年収500万円以上を目指すことも十分可能です。「タクシー運転手の不安定な収入を安定させる方法」で紹介した内容を意識して、理想の年収を目指しましょう。
関連記事:タクシー運転手の平均年収は約361万円|給料の仕組みや年収アップのコツ
出典:タクシー運転手・職業情報提供サイトjobtag|厚生労働省
なぜタクシー運転手は不足しているのでしょうか?
タクシー運転手が不足している原因の1つに、労働環境の厳しさがあります。長時間や夜間勤務が多く、体力的な負担が大きいことから若い人材が集まりにくくなっています。
また、収入が歩合制に左右されるため、利用者が少ないエリアでは安定した収入が得にくいことも関係していると言えるでしょう。
直近では、新型コロナウイルスの世界的な流行により、外出する人が減少し、タクシー需要が大幅に減少したことも影響しています。安定した収入を確保できないため、多くの運転手が転職しました。
これを受けてタクシー会社では、労働環境の整備や福利厚生の充実など、人材確保を目的とした取り組みが積極的に進められています。
タクシー運転手は誰でもなれますか?
タクシー運転手として乗務するには、普通第二種免許が必要です。二種免許は普通第一種免許を取得後、3年の運転経験が必要であるため、一種免許を取得して3年(21歳以上)が経過していない場合は、応募できません。
また、過去に交通違反を繰り返していたり、重大な事故を起こして免許取り消しになっていたりする場合、適性がないと判断されてしまい、不採用になる可能性が高くなります。
ただし「特例教習」を受講することで、普通第一種免許を取得後、1年(19歳以上)で二種免許を取得できます。
関連記事:タクシー運転手の資格取得は難しい?二種免許の取得条件や費用を解説
タクシー運転手はきついだけでなくやりがいもある
タクシー運転手は、隔日勤務が一般的で長時間労働になりやすく、歩合制を導入している会社が多いことから、収入を安定させるのが大変といったきつさがあります。
ただし、隔日勤務では3時間以上の休憩が必ず設けられており、過度な労働が発生しないよう細かくルールが定められています。
収入に関しても、営業方法や接客スキルを身につけていくことで、一定の売上を作れるようになり、繁忙期には高収入を目指すことも可能です。
タクシーの仕事は、各地域に欠かせない交通手段であり、手に職をつければ長く働き続ける将来性の高い職種の1つです。
仕事に慣れるまでは大変な側面もありますが、働き方や個人の頑張り次第では未経験からでも高収入を目指せる魅力的な仕事です。タクシー運転手への転職を検討している方は、きつさや魅力の両方を事前に理解したうえで、検討してみてはいかがでしょうか。
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