近年では、大手物流会社がインターネット通販サイトから仕事を受ける量を減らしたり、一個あたりのコストを増やしたりと、日本経済の中でも際立って「物流コスト」について 報道されることが増えてきました。実際、物流コストは荷主や依頼者から年々削減を要請され、それに相反し、燃料費や人件費は年々高騰し物流事業者の社内努力での物流コスト削減は難しくなってきました。今回はその物流コストについての基礎知識と事例を紹介します。
物流コストに含まれるものとは
まずはじめに物流コストに含まれるものについて説明をしていきます。単に物流コストといっても、実はとても細かいところまで物流コストはかかることがわかると思います。
輸配送費
輪配送は物流を行う上で必然的にかかってくる費用です。単に燃料費が高い、人件費がかかるからといって削減を諦めていてはダメです。まず輸配送は「輪送」と「配送」に分けられます。配送はカスタマーまでの輸送のことを指します。輪送とは物流事業社内での輸送のことを指します。お客様に見えない「輪送」とお客様まで運ぶ「配送」の中でも「輪送」部分は物流コスト削減する上で大幅に削減を目指すべきポイントになります。この部分は、社内でいかに同じ方面に向けてまとめて効率よく運ぶことができるかのアイデア勝負なところでもあります。
検品作業などの人件費
検品作業などを依頼されると、基本的には人件費がかかります。物流コスト削減するために一人だけ雇用しても稼働できる時間は決まっているので、ある程度の人数を見込んでおかなければなりません。この部分も単に1単価あたりのコストを削減してお客様に出すだけでは赤字になるだけなので、しっかりと人件費を考慮する必要があります。
商品管理費
見落とされがちな項目になるかもしれませんが、商品管理費も大きな物流コストの一部になります。商品管理費とは会社によって異なるかもしれませんが、利益となる部分という意味では同じだと思います。しかしながら、物流コスト削減のために、削ってしまうとこの部分で細かい経費部分を賄いきれなくなるおそれがあるため注意が必要です。
倉庫の光熱費・維持費
仮にこのサイトを物流会社の営業の方が見ているとしっくりこないかなと思いますが、倉庫にかかる光熱費や税金、維持費は途方もない金額になります。先ほど列挙した項目より見えにくい項目で、これも物流コストの一部になります。税金等はすぐに削減することは難しいかと思いますが、光熱費は使用する照明を蛍光灯からLEDに変えたり、電力会社との契約の種類を変えるなど様々な方法で削減することが可能です。
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物流コストを削減するポイントとは
ここでは、物流コストを削減するポイントとアイデアを紹介していきます。
作業全体のスムーズな流れを維持することで人件費を抑える
人件費は絶対に必要経費であり、削減できないものと思っていませんか。
確かに人件費はすぐに削減は難しいですが、作業の流れを再構築するだけで費用を抑えることができます。例えを挙げるとすると、倉庫でトラックの荷物を積卸した時、保管する場所まで決めておけば、一旦全ての荷物を下ろしてから保管場所に移動するより工数が減り、効率的に動くことができるかもしれません。
また、人がものを移動させるときに何回も同じところを往復させたり、倉庫の端から端まで動かせるより近くでものを動かせるような動線にすることによって少しの無駄が大きな無駄な作業になるのを防ぎ、人件費を抑え最終的には物流コストの削減につなげられます。
商品の回転を良くすることで管理費を抑える
商品の在庫が多いと保管コストなどが多くかかります、また商品を探したり古い商品から出荷するのにも、そこで無駄な費用がかかりがちです。物流コストの増加に直結するので大事な削減ポイントになります。在庫は多いほど安心ではなく、効率よく商品を出荷するために仕入数を削減するなどで管理費を抑えましょう。
作業の一部をIT化することで手作業を削減する
今でも出荷伝票や納品伝票等を手で書いてないでしょうか。もちろん手で書くことが早くて楽で誰にでもできるので物流コスト削減と考えているとそれは間違えです。書く人は楽でも、それを社内で管理するとなると莫大な紙の処理が発生し、それに多くの人件費がかかります。また、保管するのにも、保管場所を確保するにのも費用が発生します。紙の部分は簡単にIT化して物流コストの削減に繋げられます。初期費用は高く物流コストを削減したいのに余計な費用は払いたくないと導入に躊躇する方もいるかと思います。しかし、ITを導入することにより、経営者が見えていなかった、伝票起こし・整理・管理の作業時間が大幅に削ることができるので、最終的には削減することが可能になります。次節で具体例を挙げます。
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物流コスト削減の成功事例
具体的な物流コスト削減事例を挙げていきます。今回は2例を挙げていきます。
①アロン化成株式会社「出荷支援システムにより現場と事務作業の効率アップ」
アロン化成株式会社の売上の7割は管材事業で、代理店に納品や、直接工事現場に納入しております。工事現場に納品するとき工事を止めないためにミスのない納品が必須となります。
管材の品目数は数万以上あり、度々ミスが起きていたこともありました。
そこで、アロン化成株式会社はIT化をし、出荷支援システムを導入しました。主には製品にバーコードを貼り、出荷ミスを減らしたり、製品と保管位置を紐付けしピッキングにかかる時間の削減をしました。
さらには、IT化により出荷時のルート指示や、配送オーダーなども必要人員が削減でき、配送ミス削減しつつ物流コストも削減できました。
システム管理することにより倉庫の稼働率をあげられ、より多くの商材を取り扱え業績向上にもつながりました。
(参考文献:物流コスト削減.com 『出荷支援システムの全面展開で、現場と事務作業の効率が大幅にアップ』 http://www.logistics-costdown.com/success01.html)
②株式会社日本ホールマーク「在庫管理の課題解決により管理費を大幅削減」
株式会社日本ホールマークはグリーティングカードのデザイン企画、製造、販売を行う会社です。
取扱商品は2000〜2700アイテムと時期により大幅に変動します。時期により取扱商品が変わるのに加え、新製品が開発されるので時期に合わせ倉庫内のロケーション移動が行われます。
そのため、現状では在庫の担当者がいないと製品を探すのに苦労していました。
そこで、IT化を導入し、システム上で在庫の位置をわかるようにしたのに加えて、ハンディターミナルを活用し、ピッキング、検品作業を担当者でなくとも出来る様にしました。
単に物流コストを削減するのではなく、在庫位置の見える化によって現場での行動を効率化することができました。
(参考文献:物流コスト削減.com 『商品特性に由来する在庫管理の課題解決と、大きな出荷波動へのスムーズな対応を実現。』http://www.logistics-costdown.com/success06.html)
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まとめ
今回は物流コストに含まれるもの、物流コスト削減のポイント、実際の物流コスト削減の成功例を取り上げました。物流コストといっても内訳は様々ですが、削減にはIT化が重要な役割を担っていることがわかったかと思います。「商材位置の見える化」やシステム化により「配送ルートの効率化」、さらには「伝票管理の簡易化」、「配送ミスの削減」など単に物流コストを削減するだけではなく、様々な効率化を目指せ、さらには労働環境の改善にも繋がってきます。物流コスト削減に向けて今回の事例を参考にしてみてはいかがでしょうか。
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