施工管理の仕事で身につくスキルに関して、知りたい人も多いのではないでしょうか。
施工管理の仕事を通して、多くのスキルが身につくと言われています。また、習得できるスキルは、汎用的なスキルから専門的なスキルまでさまざまです。
施工管理は未経験でも挑戦できると言われていますが、転職前に身につけておくべき知識もあります。
本記事では、施工管理で身につくスキル8選と身につけておくべき知識を4つ紹介します。施工管理技士への転職を考えている人は、参考にしてください。
施工管理の仕事で身につくスキル8選
施工管理の仕事は多岐にわたるため、さまざまなスキルが求められます。身につくスキルは、基本的なPC操作(Word・Excelなど)と事務処理(契約関連・見積もり)から、データ分析、CADを使った設計や図面作成、建築の基礎知識、積算、安全管理、そして関係者との円滑なコミュニケーション能力などです。
具体的に、施工管理の仕事で身につくスキルは主に次の8つです。
- PCの操作
- 事務処理
- 図面の読解力
- 安全管理
- 建築の基礎知識
- スケジュールの組み立て
- マネジメント力
- コミュニケーション力
それぞれについて解説します。
1.PCの操作
施工管理の仕事では、プロジェクトデータや進捗レポートの管理、他にもCADソフトの操作などでPCを使う場面が多くあります。
PCスキルは施工管理で働く人にとって、文書の作成、電子メールのやり取り、データ分析などの業務に不可欠です。
2.事務処理
施工管理の仕事では、工事に関するさまざまな書類を作成したり、行政に提出したりしなければなりません。そのため、現場作業だけでなく、書類作成、契約書の管理、予算作成などの事務処理にも追われるかもしれません。
事務処理を正確に行うことで、工事の進捗や原価、品質、安全などを管理できます。施行管理は書類作成や書類の管理について、効率的な業務が求められるので、業務を通して事務処理スキルが身につきます。
3.図面の読解力
施工管理の仕事では、設計士が書いた図面を元に工事を進めます。また、工事に必要な施工図をCADソフトで作成する場合もあるでしょう。図面を読み解く力があれば、工事の内容や方法、品質や安全の基準などを把握できます。
施工管理の仕事を通して、図面の読解力が身につきます。
4.安全管理
工事現場では、安全が最優先事項です。施工管理の仕事は、工事現場の安全管理が求められます。現場は危険と隣り合わせの環境であり、事故を未然に防ぐための対策が必要です。
施行管理に従事する人は日々、工事現場の危険箇所を把握し、手すりや看板などの設置、安全帯の使用徹底、朝礼での注意喚起などを行っているので、安全管理のスキルが身につきます。
5.建築の基礎知識
施工管理の仕事では、建築に関する法律や規制、技術や材料などの基礎知識が必要です。建築の基礎知識があれば、工事の品質や安全性を確保できるでしょう。
施工管理で働く人は、建築に関する法律や規制に則り工事を遂行するので、建築の基礎知識が身につきます。
さらには、建築に関する資格取得で、スキルの証明もできます。
6.スケジュールの組み立て
施工管理の仕事では、工期を守るために、工程表を作成し、工程管理を行います。工程表を作成するスキルがあれば、機械や労働力、資材などを効率よく運用し、納期に間に合わせられるでしょう。
工事の進捗を効果的に管理するには、スケジュール作成と管理が欠かせません。施工管理の仕事をする人は日々、作業の優先順位を考慮し工程を組み立てているので、スケジュールの組み立てスキルが身につきます。
7.マネジメント力
施工管理の仕事は、工事現場全体を統括し、作業員や関連業者との調整がメインといっても過言ではありません。また、作業員に指示を出したり、トラブルに対応したりして、リーダーシップを発揮します。
施工管理の仕事をする人は、プロジェクトの目標達成に向けてチームを統括しているので、マネジメント力が身につきます。
8.コミュニケーション力
施工管理の仕事では、作業員や関連業者、施主などとコミュニケーションを取るケースが多いです。コミュニケーション力があれば、工事の内容や方法、スケジュールや予算などを円滑に伝達できます。
施工管理で働く人にとって、効果的なコミュニケーションスキルは、情報の共有や問題解決を円滑に進めるために不可欠です。
関連記事:施工管理に必要な能力とは?仕事をスムーズに進めるためのスキルや大切なことを紹介!
施工管理の主な仕事内容
施工管理の仕事内容は、工程管理、品質管理、原価管理、安全管理の4つに大きく分類されます。詳しくは以下の通りです。
工程管理
工程管理では、スケジュールに基づいてプロジェクトを計画し、必要な資材や重機の手配をおこないます。工事が予定通り進むよう、進捗を常に把握し、遅延やトラブルがないように調整するのが役割です。
品質管理
品質管理は、使用する材料や工事の仕上がりが規定の基準を満たしているか確認する業務です。適切な品質を確保しないと、後々問題が発生するリスクが高まります。
そのため、現場の作業者とのコミュニケーションをしっかりとり、スムーズに作業が進むよう調整する能力が必要です。
原価管理
原価管理では、予算内でプロジェクトを完了させるために費用を管理するのが仕事です。材料費や人件費を把握し、進行状況に応じてコストの調整をおこないます。時には予算内に収めるため、臨機応変な判断が必要となる場面もあります。
安全管理
安全管理は、作業員や現場の安全を確保するための業務です。事故を未然に防ぐため、定期的な機材点検や作業員の健康状態の確認、現場周辺の安全対策をおこないます。
関連記事:
・施工管理のやりがいと魅力とは?未経験者におすすめできる3つの理由
・建築施工管理の仕事がきつい・辛い8つの理由とは?解決方法も解説
施工管理の仕事がおすすめな4つの理由
施工管理の仕事でキャリアを積めば、多くのスキルが身につきます。また、施工管理の仕事に就くメリットは、他にもあります。施工管理の仕事がおすすめな理由は次の4つです。
- 需要が高く将来性がある
- 学歴や経歴に関係なく活躍できる
- 他業種でも使える幅広い知識と経験が得られる
- 安定した高い収入が得られる
それぞれについて解説します。
需要が高く将来性がある
建設業界は人手不足が深刻で、施工管理の需要は高まっています。建設業就業者のうち、 60歳以上の割合が約25%を占める一方、29歳以下は全体の約12%です。
2024年問題に加えて、2025年には大阪万博が開催されるなど、今後も多くの工事が予定されており、施工管理の需要はますます高くなる一方です。
建設業界の人手不足を改善すべく、国土交通省および厚生労働省は人材確保のために、2024年度の予算に100億円超の要求をしています。
参考:建設業の人材確保・育成に向けて(令和6年度予算概算要求の概要)|国土交通省
学歴や経歴に関係なく活躍できる
施工管理の職務は、専門的なスキルや実務経験が求められる一方で、学歴や経歴に関係なく活躍できます。建設業界未経験者でも、施工管理への転職は可能です。現場での経験や実績が重要視されるため、頑張り次第でステップアップが可能です。
新たにキャリアをスタートさせる人々にとってポジティブな点であり、異なるバックグラウンドを持つ人々がこの分野で成功できます。
また、多くの企業では、施工管理技士などの資格取得を支援しており、キャリア形成のステップもあります。
他業種でも使える幅広い知識と経験が得られる
施工管理の仕事では、建築や土木、電気や設備など、さまざまな専門分野の知識が必要です。加えて、施工管理の業務を通して、PC操作、マネジメント力やコミュニケーション力などの汎用的なスキルも身につきます。
施工管理の仕事を経験して得られる知識や経験は、他の業種でも通用する場合が多いです。
安定した高い収入が得られる
施工管理の仕事は、責任のある仕事だからこそ、高い収入が得られます。2022年の施工管理の平均年収は620.4万円であり、2023年の施工管理を含めた全体の平均年収は414万円でした。施工管理に従事する人の年収は全体よりも200万円ほど高いです。
施工管理の仕事は資格や経験によって、さらに年収が上がる可能性もあります。安定した需要と高い市場価値から、施工管理の仕事は比較的安定した高収入を期待できる職種と言えるでしょう。
参考:建築施工管理技術者 - 職業詳細 | job tag(職業情報提供サイト(日本版O-NET))
参考:日本のビジネスパーソンの平均年収は?平均年収ランキング(平均年収/生涯賃金)【最新版】 |転職ならdoda(デューダ)
施工管理になるなら身につけたい基礎知識4選
施工管理の仕事をするなら、資格取得だけでなく、現場での実務に役立つ幅広い基本知識を身につけておくべきです。今後、施工管理の仕事をするなら、特に、身につけておくべき基礎知識は次の4つです。
- 積算(せきさん)
- 測量(そくりょう)
- 施工業務(せこうぎょうむ)
- 地盤調査(じばんちょうさ)
それぞれについて解説します。
積算(せきさん)
積算は、建築や土木工事に必要な資材、労力、機材などを適切に算定し、総合的なコストを見積もる作業です。工事の予算策定や資材の配分に関するプロセスで行われます。
積算は単価積算と概算積算の2つです。単価積算はそれぞれ詳細な工種ごとの算出に使用され、見積書や契約書の作成に必要です。概算積算は大まかな全体の算出に使用され、工事の企画や予算の策定に用いられます。
積算はプロジェクトの収益性に影響を与える重要な業務です。積算のスキルを身につけるには、積算ソフトの使い方や積算基準の理解が必要です。また、現場の状況や市場の動向に目を向けることが求められます。
測量(そくりょう)
測量は、地形や建築物の位置関係を計測し、結果を数値や地図に表す作業です。基準点の設定や工事の計画に必要な正確な情報を提供します。
具体的な測量手法は、水準測量、三角測量、平面測量、GPS測量などです。測量は工事の品質や安全性に大きな影響を与えます。
測量のスキルを身につけるには、測量機器の使い方や測量計算の方法を習得しましょう。また、測量の精度や信頼性を確保するためには、規則や基準に従うことが大切です。
施工業務(せこうぎょうむ)
施工業務は、プロジェクトの企画から完了までのすべての工程を総称する言葉です。進捗管理や品質管理、予算管理などが含まれます。
工事の受注から引き渡しまでのプロセスを管理し、工事の日誌や写真、検査表などの書類を作成します。
施工業務のスキルを身につけるには、工事の知識や経験はもちろん、コミュニケーション能力やリーダーシップ能力も必要です。また、施工業務の効率化や改善のためには、ITツールやAI技術などの活用も重要です。施工業務の遂行や管理は、工事の成功や満足につながります。
地盤調査(じばんちょうさ)
地盤調査は、建物の安定性を確保するために土地の強度や特性を判断する調査です。また、地盤改良の必要性や方法の判断などの際にも、地盤調査が実施されます。
調査の種類には、静的貫入試験、動的貫入試験、ボーリング調査、地中レーダー調査などがあり、結果は地盤調査報告書や地盤診断書にまとめられます。
関連記事:
・施工管理に向いている人・向いてない人の特徴は?転職失敗しないために知っておくべきこと
施工管理技士への転職に有利になる7つの資格
施工管理技士への転職に有利になる資格は次の7つです。
- 建築施工管理技士(1・2級)
- 土木施工管理技士(1・2級)
- 電気工事施工管理技士(1・2級)
- 管工事施工管理技士(1・2級)
- 造園施工管理技士(1・2級)
- 建設機械施工技士(1・2級)
- 電気通信工事施工管理技士(1・2級)
施工管理技士の資格があると、主任技術者や監理技術者になれます。主任技術者や監理技術者は、工事の品質や安全に関する責任者です。また、施工管理技士などの有資格者は、経営事項審査で技術力評価に5点を追加されます。点数の追加は、公共工事の受注のために有益です。
ちなみに、経営事項審査とは、公共工事の発注機関が、建設業者の経営や技術を評価する制度です。経営事項審査の結果は、公共工事の受注に影響します。
それぞれについて解説します。
建築施工管理技士(1・2級)
建築物の建設に関わる工事の管理をする資格です。建物の設計図に沿って、工事の進行や品質や安全面の担当をします。
土木施工管理技士(1・2級)
道路や橋や河川などの公共施設の建設に関わる工事の管理をする資格です。地盤の状態や工事のスケジュールや品質や安全をチェックします。
電気工事施工管理技士(1・2級)
電気の配線や設備の工事の管理をする資格です。電気の設計図に沿って、工事の進行や品質や安全面を担当します。
管工事施工管理技士(1・2級)
水道や空調やガスなどの配管の工事の管理をする資格です。配管の設計図に沿って、工事の進行や品質や安全をチェックします。
造園施工管理技士(1・2級)
公園や庭園などの緑地の工事の管理をする資格です。緑地の設計図に沿って、工事の進行や品質や安全をチェックします。
建設機械施工技士(1・2級)
ショベルカーやクレーンなどの建設機械の操作や管理をする資格です。建設機械の正しい使い方やメンテナンスを行い、工事の効率化に貢献します。
電気通信工事施工管理技士(1・2級)
電話やインターネットなどの通信の工事の管理をする資格です。通信の設計図に沿って、工事の進行や品質や安全をチェックします。
参考:建設業法における配置技術者となり得る国家資格等一覧|国土交通省
施工管理で身につくスキルに関するよくある質問
施工管理でスキルを身につけるにあたって、よくある質問は次の3つです。
- 施工管理はおとなしい人でも問題なくできますか?
- 施工管理の何がきついですか?
- 施工管理職になるには何が必要ですか?
それぞれについて解説します。
施工管理はおとなしい人でも問題なくできますか?
施工管理はコミュニケーションが重要な仕事ですが、おとなしい人でも問題なくできます。ただし、自分の意見や指示をしっかり伝えることや、職人さんや関係者との信頼関係を築くことは必要です。
おとなしい人でも、自信を持って仕事に取り組めば、リーダーシップや交渉力は身についていくでしょう。
施工管理の何がきついですか?
施工管理のきついところは、工期や予算の厳しさ、突発的な事故やトラブルの対応、残業の多さや休日出勤などが挙げられます。
施工管理の仕事は責任が大きく、プレッシャーのかかる仕事です。しかし、その分やりがいも大きく、完成した建物に誇りを持てる仕事でもあります。
また、工事の進め方や効率化の工夫について、アナログ中心の建設業界でITを積極的に導入するなどできれば、きつさを少しは軽減できるかもしれません。
施工管理職になるには何が必要ですか?
施工管理の仕事は、学歴以上に経験や実績が求められます。しかし、建設業界全体的に、高齢化が進んでいるなどの背景から、人材不足が大きな問題です。そのため、未経験でも施工管理に挑戦できるでしょう。
さらに、施工管理としてキャリアを築きたいのであれば、施工管理技士の資格があると望ましいです。施工管理技士は、施工管理のスキルを証明する国家資格であり、2級と1級があります。
施工管理技士2級があれば、専任技術者ならびに主任技術者として働けます。さらに、施工管理技士1級があれば、監理技術者になれます。
施工管理技士の資格を持っていれば、転職の際にも有利になるでしょう。施工管理技士の資格取得に向けて、施工管理の現場経験、ならびに基礎知識や法律などの勉強が必要です。勉強により、施工管理に必要なスキルや知識が身につくでしょう。
関連記事:土木施工管理は女性でもなれる?メリット・デメリットも紹介
施工管理で身につくスキルにについてのまとめ
今回は、施工管理の仕事を通して身につくスキルや施工管理職に就くにあたって身につけておくべき基礎知識などについて紹介しました。
施工管理の仕事を通して、PC操作などの汎用的なスキルから、建設業界の専門知識まで習得可能です。さらに、マネジメント力やコミュニケーション力は、他業界でも役職が上がるにつれて求められます。
多くのスキルが身につく施工管理の仕事は、需要が多く、未経験からでもキャリア形成できると言われています。また、他業種・他職種と比較して、高収入であるのも特徴です。
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