タクシーやバスの運転手は常に人材が不足しており、今も数多くの求人が出ています。
未経験者を歓迎している求人もあることから、今後ドライバー職への転職を検討している方もいるのではないでしょうか。
旅客運送業界で働く上で必須となるのが「二種運転免許の取得」です。
自動車教習所で学びながら取得することとなりますが、仕事をしながら二種免許の取得はできるのか気になる方もいるでしょう。
今回は仕事をしながらの二種免許取得について、詳しく解説していきます。
二種免許は仕事しながら取得できるのか?
二種免許は旅客運送業に就職する上で必須と言える資格であり、運転する車両に関係なく取得する必要があります。
結論からお伝えすると、仕事をしながら二種免許を取得することは可能です。
ただし、自由に自動車教習所に通えるわけではないため、簡単ではなく取得のコツを知っておかなければ失敗する可能性も少なからずあります。
試験の難易度や受かるコツに関しては次章以降で詳しく解説するので、まずは二種免許の種類や一種免許との違い、二種免許が活かせる職種についてご紹介していきます。
一種免許と二種免許の違い
車両を運転する際に必要となる普通運転免許は、一種と二種に分かれています。
一種免許とは自家用車を運転するための免許であり、車両サイズによって複数種類に分かれています。
これに対し、二種免許はお金をもらって乗客を運ぶために必要な免許です。
二種免許に関しても運転する車両のサイズによって種類が分かれているため、転職を検討している職種に合った免許を取得する必要があります。
二種免許の種類
二種免許は車両サイズによって5種類に分かれています。
・中型第二種免許:マイクロバスなど送迎バスに使用されるタイプの車両
・大型第二種免許:観光バスや路線バスなど大型の車両
・けん引第二種免許:けん引タイプの車両
・大型特殊第二種免許:除雪車やフォークリフトといった特殊車両
一般的なドライバー職で必要となるのが普通・中型・大型第二種免許です。
けん引第二種免許や大型特殊第二種免許は、国内で活かせる仕事は少ないと言えるでしょう。
二種免許を活かせる仕事
二種免許はさまざまな車両における旅客運送時に必要な免許であり、取得後には以下のような仕事に就くことが可能です。
・タクシー運転手:一般タクシー、ハイヤー、介護タクシー
・運転代行業
バスの運転手にはさまざまな種類がありますが、大型第二種免許を取得することにより、全てのバス運転手に転職可能です。
タクシー運転手の場合は普通第二種免許を取得すれば、会社に関係なく運転手として活躍できます。
ただし介護タクシーの場合は、乗り降りの際など介助作業もあることから「介護職員初任者研修(旧ホームヘルパー2級)」も取得しておく必要があります。
二種免許を仕事をしながら取得する方法
基本的に、二種免許は自動車教習所に通いながら取得する流れとなります。
ただし、誰でもすぐに取得を目指せるわけではなく、免許の取得条件を満たしておく必要があります。
ここでは二種免許の受験資格や試験内容、合格基準について解説していきます。
二種免許の受験資格
二種免許を取得するためには運転する車両の一種免許を取得している必要があり、取得後3年以上経っていることが条件です。(免許停止期間を除く)
そのため取得年齢は最低でも21歳以上となり、適性の条件は以下の通りです。
・10メートル離れた位置から90デシベルの警音器の音が聞き取れること
・三桿法の奥行知覚検査器で3回検査を行い、平均誤差が2㎝以下であること
第一種免許に関しても種類ごとで取得条件があるため、これから運転免許を取得する場合は調べておくようにしましょう。
参考元:警視庁|大型二種・中型二種・普通二種免許試験(直接試験場で受験される方)
関連記事:二種免許の取得条件とは?費用・期間・方法をまとめて解説
二種免許の試験内容
二種免許を取得するには、自動車教習所に通いながら学科や技能の授業を受けます。
その後学科試験・技能試験に合格し、旅客者講習と応急救護処置講習を受講することで、二種免許を取得できます。
ここでは各試験の内容について解説していきます。
学科試験
二種免許の学科試験概要は以下の通りです。
・問題数:95問
・合格点数:90点以上で合格(100点満点中)
学科試験は、免許の種類に関係なく共通問題となっています。
普通二種免許であってもバスに関する問題などが出題されるため、乗車を希望する車種以外の知識に関しても覚えておく必要があります。
技能試験
二種免許の技能試験概要は以下の通りです。
・合格点数:90点以上で合格(100点満点中)
二種免許の技能試験は、教習所内でS字型やV型の旋回と縦列駐車か方向転換のいずれかが試験となります。
路上試験では、指定コースを走行しながら乗客の乗り降りを想定した停車を行います。
運行中の事故は乗客の命にも関わるため、厳しく採点されやすく、一種免許よりも難易度は難しいと言えるでしょう。
地理試験
二種免許の取得とは別の試験となり、タクシー運転手として「東京・神奈川・大阪」のエリアで働く方は地理試験に合格しなければなりません。
都市部は地方と比べて道路が密集しており交通量も多いことから、別途試験が追加されました。
具体的な試験内容は以下の通りです。
・タクシー事業に係わる法令、安全及び待遇:45問
合格基準はいずれも80%以上の正答率となります。
二種免許の合格基準・難易度
警視庁が公表している「令和4年運転免許統計」によると、第二種免許の合格率は以下の通りです。
・中型第二種免許:79.3%
・大型第二種免許:63.6%
合格率自体は低くはないとは言えますが、実技試験の合格点は第一種免許よりも10点高く設定されており、学科試験もより広範囲で知識を学ぶ必要があります。
関連記事:二種免許の取得は難しい?最短8日で取れるって本当?費用や勉強のコツ
二種免許を仕事しながら取得するのにかかる費用と期間
運転免許を自動車教習所で取得する場合、合宿と通学と2つの方法があります。
通学を選択した場合は教習所にもよりますが、二種免許の取得費用相場は以下の通りです。
・中型第二種免許:26万円前後
・大型第二種免許:17~45万円(入校時の所持免許による)
・大型特殊第二種免許:10万円前後
・けん引第二種免許:10万円前後
まずは近くの教習所で料金をリサーチするようにしましょう。
二種免許を仕事しながら取得する3つのコツ
二種免許の試験内容などについて解説してきましたが、仕事をしながら取得する場合は自由にスケジュール調整ができず、一気に学ぶことが難しいと言えます。
そのため、仕事をしながら二種免許を取得するには、3つのコツを意識しながら効率良く学ぶ必要があります。
・焦って取得しようとしない
・卒検の日程をチェック
ここでは3つのコツについて、具体的な注意点も踏まえて解説していきます。
期間を空け過ぎない
運転技術を身に付けるには繰り返し練習して体に操作のコツを覚えさせることが大切です。
そのため、技能講習に関してはなるべく期間を空けすぎないようにしましょう。
期間が空きすぎると覚えかけていた運転のコツを忘れてしまい、効率良く運転スキルを身に付けられません。
焦って取得しようとしない
仕事をしながら教習所に通う場合、焦って取得しようとしないことも大切です。
二種免許を取得するまでには、技能・学科講習ごとに定められた授業数を必ず受けなければならず、頑張ればすぐに取得できるわけではありません。
早く取得したいからと前半で頑張りすぎてしまうと、次第に疲れてきてしまい、後半の通学ペースが遅くなるようなことにもなりかねません。
通学ペースにもよりますが、趣味感覚で楽しみながら学んでいきましょう。
ちなみに、普通二種免許取得にかかる日数は通学の場合で20日前後となります。
仕事をしながら取得する場合は2ヶ月前後が目安です。
卒検の日程をチェック
教習所で講習を受ける日程は都度相談しながら決められますが、卒業検定に関しては教習所側が決定します。
そのため、卒業検定の日程はある程度前からおおよその期間を設定して、時間を空けられるようにしておきましょう。
卒業検定にかかる時間はその日の受験者数にもよりますが、2~4時間程度と考えておくといいでしょう。
二種免許を仕事しながら取得するなら活用したい支援制度
時間や費用の問題で、どうしても仕事をしながら教習所に通うのが難しい場合には、先に転職してしまい会社の「二種免許取得支援制度」を利用するのがおすすめです。
近年はどの職種もドライバー不足が深刻化しており、未経験者で二種免許を持っていない方でも応募できる求人が多くあります。
資格取得支援制度の内容は会社によって異なり、所定の年数働き続ければ取得費用を負担してくれるケースや、毎月の給料から少額ずつ天引きされるケースがあります。
資格取得支援制度に関しては、求人の福利厚生欄に記載してあるため、チェックしてみましょう。
関連記事:二種免許でできるタクシー以外の仕事5選
関連記事:牽引免許の取得難易度はどれくらい?試験内容や仕事内容を解説!
関連記事:二種免許の取得に補助金を活用する方法とは?注意点も解説
二種免許を仕事しながら取得する方法についてのまとめ
今回は二種免許を仕事しながら取得するコツについて解説してきました。
二種免許はバスやタクシー運転手として働く上で必須となる資格です。
自動車教習所に通いながら取得する流れとなり、仕事をしながら通う場合は1~2ヶ月かけて取得するのが一般的です。
どうしても仕事をしながら教習所に通うのが難しい場合は、転職後に会社の資格取得支援制度を利用して二種免許を取得することもできます。
転職したい企業がある場合には、求人詳細で支援制度についてチェックしてみるようにしましょう。
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