近年はコロナウイルスの流行も収まってきたことにより、タクシーやバスの利用者が元に戻りつつあります。
一方で、旅客運送業界では運転手不足が深刻化しており、転職するのであれば今が大きなチャンスと言えます。
そのため、これからドライバー職に転職を考えている人も少なくありません。
旅客運送業で運転手をするには二種免許が必須となりますが、取得できればタクシー運転手以外の職種でも資格を活かすことが可能です。
今回は、二種免許を持っていれば従事できる、タクシー運転手以外の職種について詳しく解説していきます。
現役の運転手はもちろん、これから二種免許を取得して転職しようとしている方はぜひ参考にしてみてください。
タクシー以外の二種免許を活かせる仕事5選
二種免許を取得すれば従事できる、運転系の職種は主に5つあります。
・介護タクシーの運転手
・路線バスの運転手
・貸切バスの運転手
・ハイヤーの運転手
どの職種も運転がメイン業務となりますが、具体的な仕事内容や流れが異なります。
ここでは各職種の仕事内容を中心に解説していきます。
運転代行サービスの運転手
運転代行サービスの運転手は、体調不良や飲酒などの理由で運転できなくなった依頼者の代わりに、車を目的地まで運転する仕事です。
目的地に到着した後は、そのまま依頼者の車を置いていくこととなります。
そのため、帰り用の車を随伴して運転する人も必要なことから、2人1組で仕事を行います。
仕事では自家用車を運転するため、普通自動車二種免許が必要です。
タクシー運転手のように、駅や繁華街で付け待ち営業や流し営業をすることはなく、運転代行の依頼があるまでは営業所で待機します。
運転代行では毎回運転する車が異なるため、さまざまな自家用車の運転経験が求められますが、転職時に特別な条件はありません。
運転代行運転手のメリット・デメリットは以下の通りです。
・日払いも可能
・いろんな車を運転できる
・待機中はある程度自由に過ごせる
・酔っ払ったお客様が多く、接客が大変
・昼夜逆転するため生活リズムが乱れやすい
・パートナーと仕事をするため、1人で黙々と仕事に打ち込めない
運転代行職は正社員だけでなく、アルバイトの求人も多く副業として働く人も少なくありません。
最近では運転代行アプリなどで集客しやすくなってきていることもあり、経験を積み個人事業主として運転代行サービスの運転手を行う人もいます。
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介護タクシーの運転手
介護タクシーの運転手は、身体の不自由な方や障がいを持つ人の移動を専門にサポートを行います。
介護タクシーの運転手として働く場合、運転業務のほかに利用者の乗り降りの介助も行うため、二種免許とは別に「介護職員初任者研修(旧ホームヘルパー2級)」を取得する必要があります。
ちなみに介護タクシーの中には福祉タクシーというものがあります。高齢者や障がいを持つ方を対象に搬送を行うものの、こちらは介助作業は一切行わないため介護職員初任者研修の資格は必要ありません。
運転する車両は、利用者が車いすに乗ったまま乗り降りできる機能などが搭載されているため、機能を利用する際の操作方法も理解しておく必要があります。
勤務先は介護タクシーを運営する事業所や介護施設があり、中には経験を積んだ上で個人事業主として開業する人もいます。
今後更に少子高齢化が進むと予測されていることから、需要が高く将来性のある職種の1つと言えるでしょう。
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路線バスの運転手
路線バスの運転手は、決められたルートにある停留所で乗客を乗せながら、最終目的地まで向かう仕事です。
通勤通学など多くの人が利用しており、人々の生活に欠かせない移動手段となります。
運行中は運転するだけでなく、乗り降りのサポートや必要に応じて乗り換えの案内などのアナウンスも行います。
混雑時は車内で立っている人も多く、少しのブレーキでも転倒してしまいやすいため高度な運転スキルが求められる仕事です。
路線バス運転手には、以下のようなメリット・デメリットがあります。
・社会貢献度が高い
・収入が安定しており、長期的に活躍しやすい
・会社内の人間関係でストレスが溜まらない
・勤務時間が長い
・事故のリスクがあり責任が大きい
・クレームが多い
路線バスは多くの人が利用しており、交通インフラに欠かせない乗り物と言えます。
お客様との距離も近く、社会貢献を実感しやすい職種と言えるでしょう。
またタクシー運転手のように歩合制ではなく、毎月収入が安定しており需要も高いため、長期的に働き続けられます。
勤務中は1人で仕事をこなすため、車内の人間関係で揉めるようなこともありません。
一方で利用客が多い分クレームも多く、停留所への到着時間などが原因で乗客とトラブルになるようなケースも珍しくありません。
路線バスは大型車両となるため、大型二種免許が必要です。
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貸切バスの運転手
貸切バスの運転手は乗客を目的地まで運送するのが仕事です。貸切であるため、停留所で乗り降りのサポートを行うような業務はありません。
主な乗客は修学旅行などの団体客となります。
貸切バスは中距離〜長距離の運行が多いため、乗客が長時間の移動でも快適に車内で過ごせるような配慮が求められます。
目的地が遠方である場合は、泊まり込みでの仕事となることも珍しくありません。
貸切バス運転手のメリット・デメリットは以下の通りです。
・お客様から感謝の言葉をかけてもらえる
・さまざまな場所に行ける
・スケジュールが決まっていて残業が少ない
・長時間運転が当たり前で大変
・不規則な勤務体制になることもある
・土地勘のない場所での運転が多い
貸切バスは長い時間乗客と一緒にいることから、無事に目的地に到着した際には感謝の言葉をかけてもらえます。
業務をこなす中で、人々の生活の役に立っている実感を得やすいと言えるでしょう。
旅行での利用が多く、さまざまな観光スポットに向かうため、運転中の景色も楽しめます。
一方で、長距離運行が多いため長時間の運転が当たり前となります。
目的地によっては雪が降っているなど路面状況も変わることから、運転には細心の注意が必要です。
また、依頼者のスケジュールに合わせて動くので、早朝や夜間の運転となる日もあります。
行き先や旅行の日程を確認しながら、最善のルートを調べなければなりません。
路線バスや貸切バスを紹介してきましたが、この他にも幼稚園までの送迎などを行うマイクロバスの運転手もあります。
マイクロバスの場合、中型車両が多いため中型二種免許が必要です。
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ハイヤーの運転手
ハイヤー運転手は、タクシー運転手と同じ仕事のように思われがちですが、利用者や運用形態が異なります。
ハイヤーは貸切の送迎車であり完全予約制となります。
利用者は会社役員や海外VIPとなっており、個人のお客様を乗せる時よりも更にきめ細やかな接客スキルが求められる仕事です。
完全予約制であるため、街中で車両を運転しながら営業するようなことはありません。
依頼があった日に関しては、事前に依頼者の秘書と1日のスケジュールを共有してもらった上で送迎を行います。
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関連記事:タクシーとハイヤーの違いとは?料金制度や利用方法・車種など
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タクシー以外の仕事にも活かせる二種免許とは
ここまで二種免許を活かせるタクシー運転手以外の職種について解説してきましたが、途中で説明した通り、車両によって必要な二種免許は異なります。
そのため転職したい職種に合わせた二種免許を取得しなければ、運転手としての仕事には従事できません。
ここでは、二種免許の目的や種類を解説していきます。
旅客運送契約の遂行に必要な免許
二種免許とは旅行運送契約を遂行する上で必要な免許であり、以下のような場合に取得しなければなりません。
・タクシーやバスなどの車両を使用し旅客運送のために運転する場合
そのため乗客から賃金を受け取らずにバスなどを運転する場合、二種免許は必要ありません。
例えばバスの回送運転や試運転であれば、大型一種免許でも運転が可能です。
二種免許の種類
前述した通り、二種免許は運転する車両によって5つの種類があります。
・中型二種免許:マイクロバス
・普通二種免許:ハイヤー、介護タクシー、タクシー
・大型特殊二種免許:フォークリフト、除雪車
・けん引二種免許:トレーラー型車両
先ほど紹介したドライバー職に関しては、普通〜大型のいずれかの二種免許を取得する必要があります。
大型特殊やけん引二種免許は、スキー場などで除雪車を利用した旅客運送や、遊園地で電車の形をした乗り物に人を乗せるような場合に必要ですが、ほとんど需要はないと言えるでしょう。
二種免許の受験資格
二種免許を取得するには種類に関係なく、各一種免許の取得をしてから3年が経過している必要があるため、最低でも年齢は21歳以上となります。
ただし、2022年5月13日に道路交通法が改正され「受験資格特例教習」を修了すれば、一種免許を取得後1年で二種免許に挑戦できるようになりました。
年齢に関しても最低19歳以上となります。
また、技能試験や学科試験とは別に適性試験を受け、以下の基準を満たさなければ免許交付とはなりません。
・青、青、黄色の識別ができること
・三棹(さんかん)法の奥行知覚検査器にて2.5mの距離で3回検査を行い、平均誤差が2㎝以下であること
・10m離れた場所から警音器の音が聞こえること
・その他運転に支障をきたす障がいがないこと
意識障害が発生するような持病がある方も、運転手として従事できない可能性があるため、該当する方は医師に相談してみましょう。
二種免許の試験科目
二種免許の試験科目は2種類あります。
・技能試験:教習所内のコースと実際の路上で行われ、減点方式で80点以上が合格
学科試験に関しては共通問題となっており、バスの運転手を目指していたとしても、タクシー運行に関する問題なども出題されるため注意が必要です。
技能試験に関しては縦列駐車・方向転換・鋭角コースの中から2つをランダムで受けます。
路上運転では乗客を乗せることを想定した試験内容となっており、停車や転回を行います。
二種免許の合格ライン
二種免許の合格ラインは学科試験が90点以上で、技能試験は80点以上となります。
一種免許よりも難しいと言えますが、自分の苦手な運転を知った上でしっかり練習すれば合格を目指せます。
ちなみに、警視庁が発表した「令和4年運転免許統計」によると、二種免許の合格率は以下の通りです。
・中型二種免許:79.3%
・普通二種免許:54.1%(AT限定は59.4%)
関連記事:二種免許の取得は難しい?最短8日で取れるって本当?費用や勉強のコツ
二種免許の受験資格の緩和でタクシー以外を選ぶ人は増える?
二種免許の受験資格や試験内容について解説してきましたが、2020年に「道路交通法の一部を改正する法律」が成立しており、施工日は2年を超えない範囲と盛り込まれています。
その後、正式な施行日が2022年の5月13日からと定められました。
新たな道路交通法では、二種免許に関する受験資格が緩和されています。
ここでは受験資格の変更内容や、緩和されることとなった背景について解説していきます。
従来の二種免許の受験資格
従来の二種免許の受験資格は、一種免許を取得してから3年以上経っている必要があり、最低年齢は21歳以上です。
この他では適性検査を受けた上で、項目ごとの基準を満たす必要があります。
二種免許の受験資格の緩和内容
新しい道路交通法では「受験資格特例教習」を受けた人に限り、二種免許の受験資格が一種免許を取得してから1年以上経っていることとなりました。
そのため最低年齢も19歳以上となります。
この緩和内容は普通二種免許だけでなく、大型二種免許にも適用されます。
ちなみに、受験資格特例教習の具体的な内容としては、年齢要件に関する特例を受けるために座学や実車の教習を7時限以上受ける必要があります。
また、経験年数要件に関する特例を受けるためには、旅客自動車の運転に必要な技能に関する座学や実車の教習を、29時間以上受けなければなりません。
参考元:警視庁|第二種免許等の受験資格の見直しについて(令和4年5月13日)
受験資格が緩和された背景
タクシーやバスの運転手は運転している間、お客様の命を預かることとなるため、安全運転に関する高い運転技術や知識が求められます。
しかしながら、一種免許を取得後3年以上経っていなければならないという条件は、未経験から挑戦しようとしている人にとっては大きな壁となっていました。
運転手不足が深刻化していることもあり、これらの問題を解消するために改正が行われたという背景があります。
関連記事:二種免許の取得に補助金を活用する方法とは?注意点も解説
タクシー運転手になるハードルは下がる
道路交通法が改正されたことにより、運転免許を一切持っていない人であっても最短1年後には挑戦できるようになりました。
これにより、中途採用求人に対する応募者は増加すると予測されています。
また、19歳から二種免許取得を目指せるようになったため、これまでは難しかった高校生などの新卒採用も可能となります。
関連記事:個人タクシーになるまでの流れを詳しく紹介!開業したい方は必見です!
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二種免許でできるタクシー以外の仕事についてのまとめ
今回は二種免許取得により従事できる、タクシー運転手以外の職種について解説してきました。
普通二種免許を取得すれば、介護タクシーやハイヤーの運転手に従事できるようになります。
中型・大型二種免許を取得すればマイクロバスによる送迎や路線バス・観光バスの運転手にも転職可能です。
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