不動産業界にはさまざまな業種や職種があり、業務内容は多岐に渡ります。
中には専門的な知識や技術が求められる仕事や、資格を保有していないと従事できない業務もあります。
これから不動産業界を目指す上で、関連資格を取得していれば転職や就職も有利に進められるでしょう。
今回は不動産業界で活躍しやすい資格について、詳しく解説していきます。
不動産業界で活躍するには宅建士の資格が必要
不動産業界に含まれている業種や職種は数多く、取り扱う物件はもちろん、業務内容も職種ごとに異なります。
不動産業界と聞くと、専門的な知識が必要とされるイメージがあり「活躍するには資格を取得する必要があるのでは?」と考える人もいるでしょう。
ここでは、不動産業界に挑戦する上で資格は必要なのか、不動産業界の仕事内容を踏まえて解説していきます。
無資格でも活躍はできる
不動産業界に挑戦する場合、目指す職種にもよりますが、入社する段階で資格を取得しておく必要は基本的にありません。
不動産業界には大きく分けて以下のような業種があります。
【建築(ディベロッパー・企画職)】 不動産開発を行う業種で、マンションや商業施設といった不動産の建築工事はもちろん、土地の取得や資金の調達、マーケティングまで全てが事業に含まれます。
【賃貸】 不動産を所有している貸主の代わりに、物件を借主に仲介する仕事です。 物件の説明や案内を行い、入居に関する契約も担当します。
【不動産売買】 自社で建てたマンションや戸建て住宅を法人や個人に販売したり、賃貸業務と同じように不動産所有者に代わって物件を販売したりもします。
自社で建築から行う場合には、設計や物件管理業務もこなさなければなりません。 【不動産管理】 マンションやビルといった、規模の大きい施設で管理業務を行います。
賃貸マンションであれば、施設内にある設備のメンテナンスやトラブル発生時の対応、住民とのやり取りがメイン業務です。 商業施設の場合には、所有者から依頼を受けて同じような業務を請け負います。
これらの業種では営業・事務・技術職などさまざまな業務があり、資格を必要としないものもあります。
イメージとしては、不動産業界で働いてみて、気になる職種があれば経験を積みながら資格取得を目指す流れです。
仲介業では宅建士が必須になる
全ての業務で資格は必要とされませんが、最終的に行う賃貸契約や専門技術を要する業務では、資格保有者でないと従事できない仕事があります。
仲介業を例にすると、不動産を代わりに売買したり、賃貸契約をしたりする場合には、宅建免許(宅地建物取引士)が必要です。
仲介業に関わる全ての業務で必要というわけではありませんが、宅建士が在籍していなければ、宅建業を営むことはできません。
まずは、事務作業や営業補助の役割をこなし、最終的には宅建士の資格取得を目指す流れとなります。
関連記事:宅建資格を取得するメリット5選|役に立たないと言われるのは本当?
不動産業界で年収アップにつながりやすい関連資格|10選
不動産業界に転職する上で、必須となる資格はないものの、業務の幅を広げる上で必要となる資格は職種ごとにあります。
ここでは、保有していると不動産業界で活躍しやすい資格について、仕事内容や難易度、取得メリットを解説していきます。
宅地建物取引士
不動産業界に関する資格の中でも特に知名度の高い資格で「宅建士」と呼ばれることが多いのですが、正式には「宅地建物取引士」と言います。
宅建士の主な業務内容には、土地や建物を売買する際に、専門的な知識を用いてのアドバイスがあります。
契約の際に顧客が不当な契約を結んでしまわないように、適切な助言を行う存在です。
不動産取引の中で、宅建士にしかできない独占業務が3つあります。
・重要事項の説明
・重要事項説明書(35条書面)への記名押印
・契約書(37条書面)への記名押印
この他にも、不動産取引に関するさまざまな業務で知識を活かせる資格です。
宅建資格の合格率は、令和4年度試験で17%となっており、毎年15~18%ほどで推移しています。
決して高い数字ではありませんが、受験条件に特別な内容はなく、ゼロからの挑戦でも十分取得可能と言えるでしょう。
宅建士の資格は前述した通り、独占業務もあり不動産業界では非常に需要の高い資格です。
資格取得できれば、資格手当による収入アップはもちろん、キャリアアップを目的とした転職も可能となります。
参照元:一般財団法人 不動産適正取引推進機構|試験実施概況(過去10年間)
関連記事:宅建資格の合格率は?試験に合格するために必要な勉強時間や費用を解説
マンション管理士
マンション管理士は、マンションの維持や管理に必要な措置のアドバイスやコンサルティング業務を行います。
具体的な仕事には以下のようなものがあります。
・マンション管理規約の作成
・マンション管理費や修繕積立金の管理
・住民間のトラブル解消をするための交渉
・修繕工事の計画作成や工事会社の選定に関するアドバイス
マンションを取り扱う不動産会社や不動産管理会社に勤務しますが、経験を積んで独立・開業する人もいます。
マンション管理士試験の合格率は令和4年度試験で11.5%であり、毎年10%前後で推移しています。
不動産関連の資格でもトップレベルの難易度である一方で、特別な受験条件はなく、経験を積みながら勉強すれば誰でも合格を狙えます。
資格を取得すれば、資格手当が付くため収入を上げられるでしょう。
また、マンション管理士はマンションの運営や維持に欠かせない存在であり、管理会社で重宝されやすく、転職の際に有利になります。
経験を積みながら他の資格を取得するなどすれば、独立・開業も目指せます。
参照元:公益財団法人 マンション管理センター|令和4年度マンション管理士試験の結果について
賃貸経営不動産管理士
賃貸経営不動産管理士は2007年にできた資格であり、業務管理者の要件となる国家資格です。
近年では持ち家ではなく、賃貸住宅を借りて生活する人が増えてきており、賃貸経営不動産管理士は、賃貸住宅の契約や管理に関するトラブルを防止する役割を担っています。
具体的には以下のような業務を行います。
・入居者募集に関するアドバイス
・物件周りの市場調査
・賃貸住宅や関連設備の維持管理
・入居者のトラブル対応
・家賃の収納業務や改定
・原状回復工事の対応
賃貸住宅を所有するオーナーにとっては、不動産資産の効率的な活用を手助けしてくれる存在であり、今後も需要は高まっていくと予想されます。
ちなみに200戸以上の賃貸住宅では、管理業務を行う上で業務管理者の設置が義務付けられています。
この業務管理者として従事できるのは、宅建士か賃貸経営不動産管理士の有資格者のみです。
賃貸経営不動産管理士試験の合格率は令和4年度で27.7%であり、難易度的にはそこまで難しい資格ではないと言えるでしょう。
賃貸経営不動産管理士試験の受験資格は特にありません。
賃貸不動産経営管理士を取得することで、業務の幅を広げられるのはもちろん、賃貸トラブルに対して的確に対応できるようになります。
参照元:一般社団法人賃貸不動産経営管理士協議会|令和4年度 試験結果
土地家屋調査士
土地家屋調査士は不動産登記の専門家であり、以下のような業務を行います。
・筆界特定の手続き代理
・土地の境界に関する争いの民間紛争解決手続きの代理
・表示に関する登記の審査請求手続きの代理
・表示に関する登記の申請代理
・不動産の測量及び調査
表示に関する登記の申請代理業務は、土地家屋調査士しかできない独占業務です。
令和4年度の土地家屋調査士試験の合格率は9.6%と低く、資格試験偏差値も64と、難関資格と言えるでしょう。
土地家屋調査士は「表示に関する登記」が独占業務であり、需要が安定しています。
資格取得後に経験を積めば独立・開業を目指すことも可能です。
業務の幅を広げるには他の資格も取得する必要はありますが、将来的にも長く活躍できる資格と言えます。
参照元:法務省|令和4年度土地家屋調査士試験の最終結果について
不動産鑑定士
不動産鑑定士とは、土地や建物といった不動産の評価を行うのが仕事であり、不動産業界だけでなく金融業界や専門サービス業でも活躍できます。
また、不動産に関する知識を活かし、土地や建物の有効活用についてのコンサルティング業務も行えます。
毎年公表される地価公示でも、土地の評価は不動産鑑定士が行うため、地方自治体といった機関からの依頼も珍しくありません。
不動産鑑定士試験は短答式試験と論文式に分かれており、どちらも含めた合格率は10%未満と非常に低い数値となっています。
不動産鑑定士が行う不動産鑑定は独占業務であり、今後も仕事がなくなることはないと考えられます。
不動産に関する運用方法のアドバイスやコンサルティング業務もあり、将来性は高いと言えるでしょう。
資格を取得できれば高収入を目指すことも可能です。
厚生労働省が公表している「2019年度賃金構造基本統計調査 」によると、不動産鑑定士の平均年収は約754万円でした。
参照元:国土交通省|不動産鑑定士試験
参照元:e-Stat 政府統計の総合窓口|賃金構造基本統計調査
管理業務主任者
管理業務主任者とは2001年にできたばかりの資格で、知名度はさほど高くありません。
管理委託契約に関する管理事務報告や、重要事項の説明を行う際に必要な資格です。
管理業者に関しては、管理組合30組合につき1名の管理業務主任者を設置する義務があるため、一定の需要がある資格と言えます。
また、以下の業務は全て管理業務主任者しかできない独占業務です。
・管理受託契約書への記名、押印
・管理受託契約に関する重要事項説明書への記名、押印
・管理受託契約に際しての重要事項の説明
・管理組合に対しての管理事務に関する報告
この他には事務所でのマンション管理に関するルールや資料の作成、理事会や総会への出席、マンション住人への対応を行います。
管理業務主任者試験の合格率は令和4年度試験で18.9%となっており、毎年20%前後で推移しています。
合格率は低めですが受験する上で特別な条件はなく、試験問題のほとんどが基本的な内容であることから、しっかり勉強すれば合格を狙える資格です。
管理業務主任者は新築・中古に関係なくマンション管理に欠かせない存在であるため、今後も需要がなくならず、将来性の高い職種と言えます。
参照元:一般社団法人 マンション管理業境界|令和4年度 管理業務主任者試験について
FP(ファイナンシャルプランナー)
FP(ファイナンシャルプランナー)とは、家族状況・支出入・負債・保健・資産といったあらゆるデータを基に総合的な資産設計を行います。
長期的な資産設計には、不動産の相続や税金、住宅ローンが大きく影響することから、不動産会社でも重要のある資格です。
マイホームの購入や不動産投資を検討している顧客に対し、アドバイスやコンサルティングをします。
顧客の不安や疑問を解決できるかによって、不動産取引の契約が変わるため、非常に重要な存在と言えるでしょう。
FPは1~3級まであり、入門編となる3級の合格率は2023年5月の試験で約88%となっています。
まずは3級から取得して、経験を積みながら2級や1級の取得を目指しましょう。
FPの資格を取得すれば不動産にとどまらず、仕事の幅が広がるだけでなく、将来的に独立・開業することも可能です。
参照元;日本FP協会|FP技能士の取得者数及び試験結果データ
任意売却取扱主任者
任意売却取扱主任者とは、住宅ローンの借入金が返せなくなった際に、不動産等の任意売却を行えます。
主な仕事内容としては、住宅ローンを払えなくなった債務者に対し、任意売却を主導します。
具体的には債務者に対する提案や弁護士との連携、取引の調整などがあり、依頼者に関して深く情報を得なければなりません。
そのため、顧客の心理状況に合わせたコミュニケーションスキルが求められます。
任意売却取扱主任者試験の合格率は公表されていないものの、比較的難易度は低いとされています。
以前はFPや宅建士などの資格保有や業務経験が受験条件としてありましたが、2023年7月時点では撤廃されており、特別な受験条件はありません。
住宅ローンや企業借り入れの滞納問題は今後もなくならない問題であり、今後も安定した重要を見込める資格です。
不動産コンサルティング技能士
不動産コンサルティング技能士は、不動産の購入や売却、管理方法や活用方法といった悩みに対し客観的にアドバイスを行う役割を担っています。
具体的な仕事内容は「事業執行型」と「企画提案型」に分かれています。
【企業提案型】 お客様の相談に対し企画提案書を提出する業務であり、物件の特性や市場動向を調査した上で法的規制や権利関係の調査・分析を行う。
【事業執行型】 事業執行型は解決策の提案はもちろん、実際に提案内容に基づいた業務も行っていく。
不動産コンサルタントと依頼者の間でコンサルティング委託契約を締結してから業務を行う。
不動産コンサルティング技能士は、試験の難易度自体は高くないものの、受験資格として「宅地建物取引士・不動産鑑定士・一級建築士」のいずれかを取得しておく必要があります。
どの資格も非常に難易度が高いので、試験を受けるまでが大変だと言えるでしょう。
また、試験合格後には5年間の実務経験が必要であり、これらの条件をクリアした後に、不動産コンサルティング技能士として登録できます。
測量士・測量士補
測量士とは土地の面積・距離・位置を測量する仕事です。建設工事では、必ず測量を行う必要があるため、建設業界に欠かせない存在と言えます。
測量業者には必ず1名以上の測量士がいなければいけません。測量士補は、測量業務に従事できますが、測量計画の作成はできません。
仕事内容は「外業」と「内業」に分かれています。
【外業】 外業は土木・建設工事の現場などで実際に測量する業務です。 三脚に置かれた「トータルステーション」という機械を使用しながら測量作業を行います。
【内業】 内業では測量計画・製図・予算管理・機器調達などのデスクワーク全般を指します。
測量士と言えば現場での測量をイメージする人が多いのですが、こういった事務作業も大切な業務の一つです。
測量士試験の合格率は、令和4年度の試験で14.4%であり、測量士補は44.1%となっています。
毎年合格率は10%台で推移しており、比較的難易度の高い試験と言えるでしょう。
測量士は、新規建設工事や災害復興、インフラの再整備など、あらゆる工事で需要があります。独占業務でもあるため、将来性の高い資格です。
参照元:国土交通省|国土地理院|令和4年測量士・測量士補試験実施結果
関連記事:不動産業界で働く宅建士の年収は?資格取得のコツも解説
不動産業界で年収アップにつながりやすい法律関連の資格|6選
不動産業界で働く上で、営業職や建築に関する技術職が注目されがちですが、他にもさまざまな専門家が必要となります。
不動産売買では、法律に関する書類作成や申請業務があり、企業として国から許可を得て経営していく上でも同様の業務があります。
また、多くの社員が働く企業では、社会保険や年金、労働問題といった人事を担当する専門家も必要です。
ここでは不動産業界で活躍できる法律関係の資格について、仕事内容や取得するメリット、難易度を解説していきます。
行政書士
行政書士は法人や個人から依頼を受けて、官公署へ提出する書類の作成や申請代理業務を行います。
また、書類作成や申請に関するアドバイスも業務の一つとなります。
行政書士が代行する書類作成や申請代理業務の中には、宅建業や建設業の許可申請が含まれており、不動産業界においても欠かせない存在です。
公共工事を受注する建設業者は、原則として毎年1回経営状況の分析や経営事項の審査を受けなければならず、ここでも行政書士が重宝されます。
行政書士試験の合格率は、令和4年度試験で12.1%であり、毎年10~15%で推移しています。
合格率だけを見るとかなり難関資格と言えますが、法律系の国家資格の中では比較的取得が簡単とされており、しっかり対策して勉強すれば十分取得可能です。
行政書士を取得すれば、建設工事関連の申請書類作成や各種申請といった業務を担当できるため、さまざまな建設会社や不動産会社への転職もしやすくなるでしょう。
参照元:一般財団法人 行政書士試験研究センター|令和4年度行政書士試験実施結果の概要
司法書士
司法書士も行政書士と同じく書類作成や手続代行業務を行うほか、簡易裁判所に置ける訴訟代理人業務や成年後見人としての業務や相談を受けます。
書類作成や手続き代行業務は登記にまつわる内容が専門であり、不動産の権利関係に関連する業務も含まれます。
建物や土地に関する不動産登記は、多額のお金が動くこともあり、名義を移すために必要な手続きを安心に行うために、司法書士へ依頼する企業がほとんどです。
司法書士試験の合格率は5.2%で、毎年3~5%で推移しており、かなり難易度の高い資格と言えるでしょう。
司法書士は不動産関連の資格の中でも人気資格であり、取得できれば不動産会社や建設会社などへキャリアアップを目的とした転職が可能です。
中には、宅建士の資格もあわせて取得した上で不動産屋を開業する人もいます。
参照元:法務省|司法書士試験|令和4年度司法書士試験の最終結果について
通関士
通関士は貿易に関する国家資格で、通関手続きを代理したり、書類作成の代行業務を行ったりします。
輸出入に関わる業務に欠かせない存在で、貿易業界の行政書士のような立ち位置と言えるでしょう。
不動産業界では、海外から建材やインテリア家具の輸入を行うことも珍しくなく、海外の物件へ投資する企業もあります。
この中で輸入手続きや通関関連の手続きを熟知した人材が必要であり、通関士の資格を持っていれば重宝されるでしょう。
通関士試験の合格率は第56回通関士試験(令和4年度)で15.8%で、毎年10~15%で推移しています。
法律や貿易に関する専門的な知識が求められ、専門用語が頻出するため全くの未経験から挑戦するのであれば、難易度は高めとなります。
しかし、実務経験といった特別な受験条件はなく、テキストや通信講座で対策しながら勉強すれば十分取得可能です。
社労士
社労士は正式には「社会保険労務士」と言い、社会保険や労働関連の法律の専門家となります。
あらゆる会社に欠かせない「雇用・労働問題・公的年金・社会保険」の分野で、唯一の国家資格であり、とても需要の高い資格と言えるでしょう。
企業において、社員の採用から退職までに生じる社会保険や労働問題、年金の相談に応じられる人事のスペシャリストとなります。
社労士には以下のような独占業務があります。
・1号業務:申請書の作成と提出の手続き代行および、事務的作業の代理
・2号業務:各種帳簿の作成
・3号業務:コンサルティングや相談指導に関する業務
これらの業務は知識や経験の有無に関係なく、社労士しか携われないため、資格取得すればさまざまな不動産関連の会社で活躍できるでしょう。
社労士試験の合格率は令和4年度試験で5.3%であり、毎年6~7%で推移している難関資格となります。
試験範囲が膨大であり、専門的な内容であることが難易度の高い要因となります。
また、受験資格では「学歴・実務経験・指定資格の試験合格」のいずれかを満たしておかなければなりません。
弁理士
弁理士とは、特許法や知的財産法を専門とした法律家です。知的財産から生み出されるアイデアなどは、取り扱いに高度な専門性が必要とされています。
弁理士は以下のような業務を担当します。
・産業財産権の取得(独占業務)
・産業財産権の紛争解決
・取引関連業務やコンサルティング業務
大手建設企業であるゼネコンやサブコンでは、建設技術に関する研究・開発が行われており、これらの技術は企業の利権に関わるものとなります。
特に最近では、エネルギー事業の開発に各企業が積極的に取り組んでおり、特許に関する保護やサポートを担当する専門家が必要です。
この他では不動産ブランドの商標管理も重要な業務であり、弁理士の資格があれば、このような仕事で活躍できます。
弁理士試験の合格率は令和4年度試験で6.1%であり、毎年6~7%で推移しています。
学習範囲が広く専門的な内容が多く、合格するまでの平均受験回数は3~4回と言われるほどです。
必要な勉強時間の目安は約3,000時間となります。
参照元:特許庁|弁理士試験|令和4年度弁理士試験の結果について
弁護士
弁護士は法律のスペシャリストで、法律関連の資格で最難関とも言える資格です。あらゆる法律に関する相談を受けたり、書面の作成や裁判の手続きを行ったりします。
新規事業の開始や、既にある事業のトラブル回避など、健全な企業経営を維持する上で法律に関する対策は欠かせません。
弁護士事務所に所属するのが一般的ではありますが、不動産関連に特化した弁護士として不動産関連企業に所属する弁護士もいます。
所属はしないものの、顧問弁護士として不動産関連企業から依頼を受けることも可能です。弁護士資格取得の難易度は非常に高く、必要な勉強時間は最低でも3,000時間と言われています。
1年~2年で簡単に取得できるレベルではないため、計画を立てた上で勉強に着手するようにしましょう。
関連記事:【2024年最新】宅建資格の難易度は?合格するための3つの勉強法と合格率を合わせて紹介
不動産業界で年収アップにつながりやすいその他資格|8選
不動産業界ではさまざまな業種・職種があり、業務内容は多岐に渡ります。
そのため、ここまでに紹介してきた資格以外でも、各業務で役に立つ検定や資格があります。
比較的取得のしやすい資格ですので、これから資格取得に挑戦しようと考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。
ビル経営管理士
ビル経営管理士は、ビル経営に関する企画・立案や賃貸営業の管理・運営を行う上で役立つ公的資格です。
具体的に以下のようなビル管理業務で活かせます。
・ビル建設における計画の立案
・ビルの管理と運営業務
・ビルメンテナンスの手配
・共用施設の掃除
・テナント募集
・警備、防犯整備の整備
似た資格に「ビル管理士」がありますが、ビル管理士は厚生労働省管轄の国家資格です。
法律で面積が3,000㎡以上の特定建築物においては、ビル管理士を必ず専任する必要があり、ビル経営管理士の上位資格と言えるでしょう。
不動産知識検定試験
不動産知識検定試験とは、不動産に関する基本的な知識を一通り身に付けたい方向けの資格です。
民間試験であり、これから不動産業界に挑戦する方におすすめの資格と言えるでしょう。
専門的な知識を証明するものではないため、資格手当がついたり転職で有利になったりするわけではありません。
合格率は公表されていないものの難易度は低めで、不動産業界未経験者でも気軽に挑戦できる資格です。
不動産知識検定試験は、試験問題用紙が代引きで送られてきますので、自宅での受験となります。
土地区画整理士
土地区画整理士とは、土地区画整理事業をスムーズに進められるように、公的な立場で土地提供者間の利害を調整する役割を担います。担当するのは宅地や公園、道路の区画整理事業です。
国土交通大臣が認定する国家資格で、土地区画整理士試験を受験するには学歴または実務経験のいずれかで定められた条件を満たす必要があります。
土地区画整理士試験の難易度はそこまで高いものではなく、学科と実地試験で60%以上正解すれば合格となります。
土地区画整理事務所や建設コンサルタント会社、不動産会社へ転職しようとしている方におすすめの資格です。
不動産仲介士
不動産仲介士とは、不動産の購入や売却、賃貸に関する相談を受けた上で適切なアドバイスを行う役割を担っています。
相談自体は無資格で行えますが、顧客の悩みや不安を解決するために必要な知識を証明できる民間資格です。
宅建士や不動産鑑定士と比べると難易度は低く、これから不動産会社で賃貸物件の営業職で働きたい方におすすめの資格です。
競売不動産取扱主任者
競売不動産取扱主任者とは、競売による不動産の購入をサポートするための資格です。
2011年に設立された比較的新しい資格であり、一般社団法人不動産競売流通協会(FKR)が認定する民間資格です。
競売物件は不動産会社や投資家が取り扱うことがほとんどでしたが、平成10年の民事執行法の改正により、競売物件でも住宅ローンが組めるようになりました。
そのため、競売不動産の需要は今後伸びていくと予想されており、競売不動産取扱主任者も今後更に必要とされる資格になるでしょう。
競売不動産取扱主任者の合格率は2022年度で30.4%であり、毎年30~35%で推移しています。
合格率自体は高くありませんが、合格に必要な学習時間は20~25時間とされており、比較的簡単に取得できる資格と言えます。
参照元:一般社団法人不動産競売流通協会(FKR)|競売不動産取扱主任者試験 合格者発表
知的財産管理技能検定
知的財産管理技能検定は、ビジネスにおいて知的財産を適切に管理・活用するための知識を証明する国家資格です。
商標権や著作権といった知的財産を守る上で必要な法律を理解し、未然に知的財産運用で起こりうるトラブルを防ぐ立場となります。
知的財産管理技能検定はレベル別で1級・2級・3級と分けられています。
不動産関連企業で知的財産を扱う部署で働きたい方や、将来的に弁理士を目指したい方におすすめの資格です。
個人情報保護士
個人情報保護士とは、個人情報の保護に関する専門知識を有し、個人情報と適切に管理・運用するスキルを証明する資格です。
近年ではリモートワークや在宅ワークを導入する企業が増えてきており、個人情報の取扱に関するトラブルも増加傾向にあります。
こういったトラブルを防ぐ上で、個人情報保護士の知識は大いに役立つでしょう。
個人情報保護士の合格率は37.3%であり、難易度はそこまで高いわけではありません。
参照元:一般財団法人 全日本情報学習復興協会|個人情報保護士認定試験 TOP
ビジネスコンプライアンス検定
ビジネスコンプライアンス検定とは、業務に必要なコンプライアンスに関する知識を証明する資格です。
近年は粉飾決算や社員アカウントのSNS炎上を通じて、企業内のコンプライアンス強化が重要視されています。
そのため、不動産業界に就職する上で資格を保有していれば、アピールポイントの1つになるでしょう。
ビジネスコンプライアンス検定はこれまでに約35,000人(2023年3月31日時点)が受験しており、2022年度の合格率は49.88%となっています。
参照元:株式会社サーティファイ|ビジネスコンプライアンス検定とは
不動産業界で年収アップにつながる資格取得できるスクール
不動産業界で役立つ資格の中には、専門性が高く難易度が高い資格もあります。
テキストを用いて独学で学ぶ方法もありますが、効率良く資格を取得するには、分からないことを質問できる通信講座がおすすめです。
ここでは、宅建士と社労士を目指す上でおすすめのスクールを紹介していきます。
宅建士を目指す場合
宅建士の取得を目指す上でおすすめするのが、以下のスクールです。
・大栄のオンライン講座
・資格講座メダリストクラブ
大栄の宅建講座は「スキのない新学習法」が特徴で、スマホを利用していつでもどこでも、ちょっとした空き時間も学習に活用できます。
普段の学習で分からなかった点があれば、専門講師からのサポートで解決可能です。
専門のキャリアナビゲーターも在籍しており、不安なく自分に合ったペースで宅建士を目指せます。
メダリストクラブの宅建士講座は、試験直前まで徹底サポートが受けられます。
熟練講師がカスタマイズしたオリジナル教材での学習や、現役大学職員と弁護士による授業で宅建に関する知識を効率良く身に付けていけるでしょう。
メダリストの宅建士講座は、通学型とオンライン型から選べます。
社労士を目指す場合
社労士の取得を目指す上でおすすめするのが「ヒューマンアカデミー」です。
ヒューマンアカデミーは、過去20年間の試験問題を徹底的に解説した上で、勉強でやるべき内容とやるべきではない内容が明確になっています。
そのため短期間で確実に知識を習得できて、効率良く社労士試験の合格を目指せます。
教材は社労士受験会の第一人者である北村講師と斎藤講師がプロデュースしたものです。
スマホで気軽にWebテストも受けられるので、外出先でのちょっとした空き時間でも学習を進められます。
関連記事:宅建資格を活かして就職できる業界は?活かせる仕事内容とできることを解説
不動産業界で年収アップするなら資格の組み合わせが必要
不動産業界では、不動産に関する知識はもちろん取引に関する法律など、さまざまな知識が求められます。
そのため、複数の資格を取得すれば、より仕事の範囲を広げて活躍できます。
ダブルライセンスを目指す上で、特に相性の良い組み合わせは以下の通りです。
【宅建士と相性が良い資格】
- 税理士
- 不動産鑑定士
- マンション管理士
- 行政書士
- FP(ファイナンシャルプランナー)
【社労士と相性が良い資格】
- FP(ファイナンシャルプランナー)
- 行政書士
【行政書士と相性が良い資格】
- 社労士
- 司法書士
- 税理士
- 宅建士
所属する企業の規模や事業内容にもよりますが、複数の資格取得を目指す場合には、上記組み合わせを参考にしてみることをおすすめします。
不動産業界の資格に関係するよくある質問
最後は不動産業界の資格に関してよくある3つの質問に答えていきます。
不動産で最も有利な資格や難易度について解説していますので、参考にしてみてください。
不動産の最高資格は何ですか?
不動産の最高資格は何を基準で決定するかによって変わりますが、取得に必要な勉強時間の観点から順位付けした場合、以下の通りです。
- 1位:不動産鑑定士・3,000~4,000時間
- 2位:一級建築士・1,000~2,000時間
- 3位:土地家屋調査士・1,000~1,500時間
- 4位:マンション管理士・500時間
- 5位:競売不動産取扱主任者・約450時間
あくまでも試験に合格する上で必要な勉強時間での順位であり、受験条件や試験合格後の実務経験の有無は各資格で異なります。
これから目指す業種や職種も踏まえた上で、取得を目指す資格を決めてみましょう。
宅建士の試験はどのくらい難しいですか?
宅建士の試験合格率は毎年15~18%で推移しており、難関資格と思われがちですが、前述した最高資格にランクインするほど難しいとは言えません。
どのレベルでどう学ぶのかにもよりますが、宅建士の試験に合格するための勉強時間は400~600時間と言われています。
人気資格で、テキストや通信講座も豊富にあります。
ちなみに宅建士の合格率が低い理由は、内容が難しいのとは別に、特別な受験条件がなく誰でも簡単に挑戦できるといった要因もあるでしょう。
不動産3冠資格とは何ですか?
不動産業界の中でも特に活躍できる、不動産3冠資格は「宅建士(宅地建物取引士)・マンション管理士・管理業務主任者」です。
宅建士は不動産の賃貸や売買に関する業務の中で欠かせない存在であり、重要事項の説明や契約書への記名、押印は独占業務となります。
マンション管理士はマンションの修繕や保全の検討、住民同士のトラブルへのアドバイスや指導を行う重要な立場を担います。
マンションをマイホームとして購入する人は増加傾向にあり、今後も需要の高い状態が続くでしょう。
マンション管理士が管理組合のサポートを行うのに対し、マンション管理会社全体をサポートするのが管理業務主任者です。
管理組合30組合につき、必ず1名の管理業務主任者を配置しなければならず、管理受託契約に関する業務は有資格者でなければ行えません。
マンション管理士と同様に、今後も需要が高く、不動産業界に欠かせない資格の1つと言えるでしょう。
関連記事:宅建資格が必要な仕事とは?資格を活かせる4つの業界を紹介
不動産業界の資格に関係するまとめ
今回は不動産業界で活躍しやすい資格について解説してきました。
不動産業界で働く上で必ず何かしらの資格が必要となるわけではありませんが、専門的な業務や作業を行う場合には、資格が必要となります。
そのため、入社してさまざまな業務を経験する中で、将来的に目指したい職種を決めた上で、取得する資格を決めると良いでしょう。
今回「その他の不動産業界で活躍しやすい資格一覧」で紹介した資格の中には、未経験でも比較的簡単に取得できるものもあります。
業種や職種に関係なく、活かせる内容の資格もありますので、余裕がある場合には入社前であっても挑戦してみてもいいでしょう。
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