施工管理技士を辞める際、退職する理由を波音立てずに伝える方法はないか知りたい人はいるのではないでしょうか。また、円満な退職を模索している人も多いはずです。
施工管理技士を辞める際には、理由を上手に伝える方法やポイントがあります。ポイントを意識すると、会社を円満退職できる可能性が高くなるでしょう。
本記事では、施工管理技士の人が退職理由をうまく伝えるステップ、円満退職するためのポイントならびに例文などを紹介しています。ぜひ、最後まで読んでみてください。
施工管理技士のよくある7つの退職理由
施工管理技士のよくある7つの退職理由は、以下のようなものがあります。
- 仕事量が多い
- 勤務時間が長い
- 給料が見合わない
- 人間関係にストレスを感じる
- 労働環境が厳しい
- 家庭の事情
- キャリアアップのため
これらは、施工管理技士にとってよくある退職理由となります。
関連記事:建築施工管理技士の転職理由11選。オススメの転職先とは?
施工管理技士が退職理由をうまく伝える3ステップ
会社を辞める際は、理由を述べる必要があります。一方、伝え方によっては、会社との関係が悪くなったり、円満退職ができなかったりするケースもあるようです。
施工管理技士として働く人が、退職理由をうまく伝えるステップは次の3つです。
- 退職意志を伝える
- 退職希望時期を明確にする
- 具体的な退職理由を伝える
それぞれについて解説します。
退職意志を伝える
まず、上司や人事担当者に対して、会社を辞めたい意志を伝えましょう。「自己都合で退職したい」と要望で伝えるのが無難です。「退職する」と一方的に伝えると、印象が悪くなるので避けましょう。
たとえば、「家族の状況が変わり、引っ越す必要が生じました」などと、具体的かつ客観的な内容だと、相手の理解も得やすいでしょう。退職の理由については、後ほど紹介します。
また、「辞めようか悩んでいる」と相談のように切り出すと、引き止めの余地があると判断されて話が進まなくなるかもしれません。
伝える手段については、面と向かっての対話がおすすめです。対話した後に、正式な辞表を提出します。伝える際には、冷静かつ丁寧にコミュニケーションをとり、感謝の気持ちも忘れずに伝えるとよいでしょう。
一方で、電話やメールなど非対面の手段は、会社への敬意がないと受け取られかねません。
退職希望時期を明確にする
退職したい日は、明確にする必要があります。また、会社に迷惑をかけないように、辞めるまでの期間は十分に取っておきましょう。
法律上は、希望を伝えてから2週間以上あれば退職可能です。しかし、通常は1か月前には知らせるのがマナーだと言われています。建設工事の仕事では、1か月以上の期間が必要になることもあります。後任の人事や引き継ぎのために、早めに申し出ましょう。
会社を辞める話の際は、「◯月頃に退職したいと考えていますが、どうでしょうか」と相談するとよいでしょう。
具体的な退職理由を伝える
退職を受け入れてもらえた場合、伝えなくても問題ありません。ただし、理由を聞かれた場合は、具体的に伝えましょう。
施工管理技士が退職を考える際に、伝えて差し支えのない理由の例は、次の通りです。
- キャリアアップを目指したい
- キャリアチェンジしたい
- 健康上の問題
- 家庭の事情
適切かつ具体的に伝えることで、会社から理解してもらいやすいでしょう。ただし、理由は慎重に選び、可能であれば建設的な視点から伝えなければなりません。
また、退職交渉の場で、さまざまな不満を伝えると、会社の反感を買ってトラブルに発展したり、引き止め交渉が始まったりするでしょう。
たとえば、「残業が多い」「休日出勤がある」「給料が低い」「上司と合わない」「仕事がつまらない」などです。
「上司と合わない」と伝えた場合、辞めるまで会社内で居場所が無くなる可能性もあるでしょう。
今の会社では叶わないことを実現するために、転職すると伝えるのが無難です。
参考:第5章 仕事を辞めるとき、辞めさせられるとき|厚生労働省
関連記事:施工管理をなぜ辞めたいのか?続かない理由や辞める際の流れを細かく紹介!
施工管理技士が退職理由をうまく伝えるポイント|5選
施工管理技士は、建設プロジェクトの品質や安全、進捗などを管理する重要な役割を担っています。しかし、長時間労働や過酷な現場環境、キャリアアップの難しさなどから、転職を考える人も少なくありません。
施工管理技士として働く人が、退職をうまく伝えるポイントは次の5つです。
- 在職中に転職活動を進めておく
- 直属の上司に相談しておく
- プロジェクトが落ち着いているときに伝える
- 引き継ぎの準備はしっかりしておく
- 会社への不満ばかりを伝えない
辞め方によっては、会社やプロジェクトに迷惑をかけたり、円満に退職できなかったりするかもしれません。
在職中に転職活動を進めておく
退職をする場合、次の仕事が必要です。辞めてから転職活動をする場合、国民健康保険や国民年金への加入が求められます。
在職中に転職活動を進めておくことで、退職翌日に転職先へ入社できる可能性があり、国民健康保険や国民年金に加入せずに済むかもしれません。
また、会社を辞めた後の転職は、収入が途絶える可能性もあります。
会社を辞めてから転職活動を始めると、毎月の生活費や転職活動にかかる経費を貯金や失業保険で賄わなければなりません。
転職活動が長引けば、経済的に苦しくなることもあるでしょう。
他にも、自分に合った求人を見つけたり、選考に通過したりするまでに時間がかかることがあります。
また、離職期間が長くなると、転職候補先の採用担当者に不利な印象を与えたり、スキルや知識が陳腐化したりする恐れもあるでしょう。
収入や離職期間の不安から焦りやストレスを感じないためにも、早めの転職活動がおすすめです。
転職活動で、まず始めることは、履歴書や職務経歴書の作成、ならびに求人の情報収集です。
転職活動は、休日や就業後に行うのが一般的ですが、忙しい施工管理技士の場合は時間を確保しにくいかもしれません。
その際は、転職エージェントや転職サイトを利用すれば、効率的に求人情報を収集したり、面接の調整をしたりできます。
直属の上司に相談しておく
転職を検討する際は、事前に直属の上長に耳打ちしておきましょう。上司は部下のキャリアや成長に理解を示してくれる可能性があります。
直属の上長に根回ししておけば、円滑な退職プロセスや引き継ぎの計画が立てやすくなるでしょう。
最初に他部署の上司などへ転職の意向を伝えると、不誠実や非常識と思われたり、上司の立場を損ねかねません。
また、退職日を延期させられたり、引き継ぎに取り合ってくれなかったりと不都合を被る可能性もあります。
直属の上司には、感謝の気持ちを伝えるとともに、退職の理由や時期を明確に伝えましょう。また、退職理由は、できるだけポジティブな内容が望ましいです。
たとえば、「自分のスキルや経験を活かしたい」「新しいチャレンジをしたい」などは、会社の批判にはならず、汎用的です。
プロジェクトが落ち着いているときに伝える
退職の意向を伝えるタイミングも重要です。プロジェクトが落ち着いている時期に伝えることで、会社は円滑な引き継ぎを行いやすくなります。
プロジェクトの繁忙期や中途半端な段階での退職は、会社やプロジェクトにとっても不都合が生じやすく円満退職が難しくなると言われています。
また、会社や同僚からの信頼や評価が下がるかもしれません。忙しいときに辞めると、仕事に対する責任感や誠意がないと思われたり、人手不足による迷惑をかけたりするでしょう。
他にも、忙しい時期の退職は、会社や上司から引き留めの対象になりがちです。
法律上では、2週間前までに退職の意向を伝えるように決められていますが、一般的には1か月前までに伝えるのがよいでしょう。
加えて、施工管理の仕事は複雑かつ多岐にわたるため、3か月前が理想と言われているようです。
引き継ぎの準備はしっかりしておく
引き継ぎは入念に行いましょう。引き継ぎの例として、現場の進捗や品質、安全管理、書類や図面、関係者との連絡先など、多くの情報が含まれます。
引き継ぎ方法や残すべき内容は、後任者や上司と確認しながら行いましょう。引き継ぎが不十分だと、現場や会社でトラブル発生に繋がります。
引き継ぎをおろそかにして退職した場合、転職後も前の職場から仕事についての連絡が来るかもしれません。転職後の忙しいタイミングでの前職からの連絡は、ストレスとなるでしょう。
さらに、クレームが発生すると、責任を問われたり、悪い噂をされたりします。
一般的に、引き継ぎは、担当者の責任と能力を示すと言われています。最後まで丁寧な業務を心掛けましょう。
会社への不満ばかりを伝えない
辞める意向を伝える際や引き継ぎの際に、会社や上司、さらには同僚への不満や愚痴を言うのは控えましょう。
会社への不満ばかりを伝えると、会社の反感を買ってトラブルに発展したり、円満退職ができなくなったりしかねません。
会社の不満ばかりを伝えていると、上司とはいえ一人の人間であり、退職を阻害する嫌がらせを受けるかもしれません。交渉が長期化すると、希望時期の退職が難しくなるでしょう。
会社や上司に対する批判は、相手の感情を害したり、嫌がらせで慰留されたりするリスクが高くなるので注意が必要です。
また、最終出社日が近づいてきても、最後まで仕事をきちんとやり遂げましょう。残務処理や引き継ぎ業務はもちろん、お世話になった人に感謝の気持ちを伝えることも忘れないでください。
円満退社は、今後の人生にプラスになる可能性が高いです。
建設業界は人脈が重要な業界だと言われています。今の会社との関係を悪くすると、次の会社で影響が出る可能性もあるようです。
状況によっては、転職活動にも影響するかもしれません。退職時は、会社への感謝の気持ちや今後の活躍を祈るようなポジティブな言葉を送りましょう。
施工管理技士が退職理由をうまく伝えられる例文|5選
施工管理技士で働く人がうまく退職理由を伝えられるように、5つの状況に応じた例文を紹介します。
- 違う業種に転職する場合
- 同業種に転職する場合
- 親の介護が必要になった場合
- 転居が理由の場合
- 体調不良が原因の場合
建設業界では、工事現場で前職の人と仕事したり、力を借りたりするケースもあります。
退職理由の伝え方ひとつで、今後の関係性にも影響するため、例文を参考にして角が立たない退職理由の伝え方をしましょう。
違う業種に転職する場合
退職理由は「建築業界での経験を活かして違う業種に挑戦したいと思い、転職を決めたため」が望ましいです。
ポイントは、違う業種に転職する理由として、口が滑っても「建設業界が嫌だから」「この会社で働いて、施工管理の仕事が嫌いになったから」などとは言わないようにしましょう。
▼例文
- 上司:退職の理由は?
- 自分:かねてから興味のあった、◯◯の業界に転職したいと思い、決断しました。
- 上司:そうか。それは残念だけど、やりたいことがあるのはいいことだね。
- 自分:ありがとうございます。今までお世話になりました。建築業界での経験は、これからの仕事にも役立てたいと思います。
同業種に転職する場合
退職理由は「キャリアアップを目指して、より大規模なプロジェクトに携わりたいと思い、転職を決めたため」が望ましいです。
同業種に転職する場合、なぜ今の会社ではいけないのかと質問が飛びます。ポイントは今の会社では実現できないキャリアビジョンなどを伝えるようにします。
キャリアビジョンを聞いた上司も、納得してくれることでしょう。
▼例文
- 上司:退職の理由は?
- 自分:キャリアアップを目指して、より大規模なプロジェクトに携わりたいと思い、転職を決めました。
- 上司:そうか。君は優秀な施工管理技士だから、もっと大きな舞台で活躍できると思うよ。
- 自分:ありがとうございます。今までお世話になりました。この会社で学んだ知識や経験は、これからの仕事にも活かしたいと思います。
親の介護が必要になった場合
退職理由は「正直に親の介護に専念したく、退職を決めたため」でよいでしょう。
▼例文
- 上司:退職の理由は?
- 自分:親の介護に専念したく、退職を決めました。
- 上司:そうか。家族を大切にしないとね。大変だと思うけど、頑張ってね。
- 自分:ありがとうございます。今までお世話になりました。この会社で働いていた経験は、私の財産です。
親の介護のために退職する場合は、上司に正直に介護の必要な状況を伝えることで、別の働き方を検討してくれるかもしれません。
会社が新たに出した条件と転職候補先の条件を比較して、転職するかどうか決めるのもひとつの選択肢です。
転居が理由の場合
退職理由は「家庭の都合で◯◯に引っ越さなければいけず、退職を決めたため」でよいでしょう。
▼例文
- 上司:退職の理由は?
- 自分:家庭の都合で◯◯に引っ越す用事ができ、退職を決めました。
- 上司:そうか。引っ越しは大変だけど、新しい環境で楽しく暮らせるといいね。
- 自分:ありがとうございます。今までお世話になりました。この会社で働いていた経験は、私の宝物です。
施工管理技士の仕事では、在宅勤務などのリモートワークは難しいでしょう。
ただ、大手企業の場合、全国の建設工事を担当している場合があり、転居先でも退職せずに勤務できるかもしれません。
体調不良が原因の場合
退職理由は「◯か月ほど体調を崩しており、しっかりと療養したいため」と正直に伝えましょう。
▼例文
- 上司:退職の理由は?
- 自分:◯か月ほど体調を崩しており、しっかりと療養したいと思い退職を決意しました。
- 上司:そうか。体が一番だから、無理しないでね。早く元気になるといいね。
- 自分:ありがとうございます。今までお世話になりました。この会社で働いていた経験は、私の誇りです。
体調不良の場合も、体調を上司に正直に伝えると、退職せずとも別の働き方でオファーしてくれるかもしれません。
関連記事:施工管理技士から別の職種へ転職を検討する8つの理由
施工管理技士の退職理由に関するよくある質問
施工管理技士の退職理由に関するよくある質問は次の3つです。
- 転職先の会社名は伝えないといけないですか?
- 施工管理を辞めたい理由は何が多いですか?
- 施工管理職の離職率はどのくらいですか?
それぞれについて解説します。
転職先の会社名は伝えないといけないですか?
転職先の会社名を伝えるかどうかは、一般的に個人の裁量に委ねられているため、伝える必要はありません。
退職理由として、キャリアアップやスキルアップを目的に新しい挑戦をしたいとなどと伝えれば十分です。
もし、何かを伝えざるを得ない場合は、「転職活動を進めており、○○業界(○○職種)で働くことに決めた」などと濁すのが無難でしょう。
施工管理を辞めたい理由は何が多いですか?
施工管理を辞めたい理由で特に多いのは、特に次の通りです。
- 仕事量の多さ・給料が見合わない
- 長勤務時間
- 休日の少なさ
- 現場環境・人間関係
- 責任の重さ
特に、残業時間や休日出勤などの労働条件に対する不満は、多くあります。施工管理は、工期や品質、安全管理などの責任が重く、業務量も多いので、時間外労働が多くなりがちです。
結果的に、心身の健康を壊したり、プライベートや家族との時間を取れなかったりすると、退職に繋がります。
施工管理職の離職率はどのくらいですか?
令和5年上半期雇用動向調査の結果、建設業の離職率は5.1%と全体の8.7%より抑えられています。
一方、建設業の入職率5.8%は全体の9.1%と比べて極めて低位であり、建設業界へ入職する人の少なさが顕著です。
施工管理職経験者が同じ施工管理の職種に転職する際は、重宝される傾向にあります。
参考:2 産業別の入職と離職の状況 令和5年上半期の労働移動者を主要な産業別にみると|厚生労働省
施工管理技士の退職理由に関するまとめ
今回は、施工管理技士として働く人がうまく退職理由を伝える方法や円満退職するためのポイントならびに例文について解説しました。
施工管理技士として働く人が退職理由を伝えるために、3つのステップに沿った準備が必要です。また、退職をうまく伝えるために、次のポイントを意識して準備をしましょう。
- 在職中に転職活動を進めておく
- 直属の上司に相談しておく
- プロジェクトが落ち着いているときに伝える
- 引き継ぎの準備はしっかりしておく
- 会社への不満ばかりを伝えない
ポイントを意識して退職まで取り組むと、会社を円満退職できるでしょう。
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