1級土木施工管理技士は、土木建設業界での専門的な知識と技術を持つプロフェッショナルとして認められる資格です。合格するためには、緻密な計画と効率的な勉強法が求められます。
そこで、本記事では1級土木施工管理技士検定の合格基準・合格率、1級土木施工管理技士検定の勉強法などを解説します。
1級土木施工管理技士とは監理技術者になる資格
まずは、1級土木施工管理技士になるために受験しなければならない、土木施工管理技術検定について解説します。
土木施工管理技術検定とは
土木施工管理技術検定は、土木施工管理技士としてのスキルや専門性を証明する資格であり、日本国内において土木施工現場での技術者の地位向上や、民間企業や官公庁での採用の際に有利とされる試験です。
土木施工管理技術検定は、1級、2級の2つの等級に分かれており、それぞれ試験範囲や難易度が異なります。1級は最も高度な技術と知識が求められる試験であり、広範な土木施工管理業務を遂行できる能力を認定するものとなっています。
試験は学科と実技から構成されており、がkk試験では法規や施工管理技術、設計・施工計画、品質管理や安全管理など、土木施工管理に関わる幅広い知識が問われます。実技試験では、測量やCADを用いた図面作成など、実際の現場で必要とされる技術が試されます。
土木施工管理技術検定を受験し、合格することで、土木施工管理技士としての資格が認定され、土木業界での活躍の幅が広がります。
資格を取得するメリット
一つ目のメリットは、雇用機会を得られることです。土木施工管理技術検定の資格を取得することで、土木施工管理技士としての専門性やスキルを証明できるため、自分自身の市場価値が向上し、雇用機会が増える可能性があります。
二つ目は、民間企業や官公庁での採用の際に有利に働くことです。資格を持っていることで、応募者の中から目立つ存在となり、選考過程でポジティブな印象を与えることができます。
特に大規模なプロジェクトや複雑な施工管理業務に携わる機会が増えることで、経験やスキルをより幅広く磨くことが可能になります。
三つ目は、現場での責任や権限が増すことです。これにより、より重要なプロジェクトに参加し、キャリアアップに繋がる可能性があります。
四つ目は、同業者や関連業界の人々とのネットワークが広がることです。このようなネットワークは新たなビジネスチャンスや情報交換、さらなるスキルアップの機会をもたらすことがあります。
以上のように、土木施工管理技術検定を取得することは、専門性の向上やキャリアアップ、ビジネスチャンスの拡大など、多くのメリットがあると言えます。
受験資格
1級土木施工管理技術検定は誰でも受験できるわけではありません。
例えば、指定学科の大学卒業者の場合は、卒業後3年以上経ってはじめて、受験資格が与えられます。
なお、「指定学科」とは、国土交通省令で定められている学科のことで、土木施工管理技術検定の場合は、「土木工学科」「建築学科」などが該当します。
詳しい条件は、「一般財団法人 全国建設研修センター」のHPを参照してください。
関連記事:人気が高い1級建築施工管理技士とはどんな資格?受験資格や試験内容、難易度から勉強方法まで紹介!
1級土木施工管理技士の合格率は約35〜60%
国土交通省の発表によると、令和3年度の1級土木施工管理技術検定の合格率は、第一次検定が60.6%、第二次検定が36.6%となっています。
また、合格基準に関しては、学科と実技、それぞれ60%以上の正答率が必要となっています。
出典:国土交通省「令和3年度1級土木施工管理技術検定「第二次検定」の合格者の発表」
関連記事:施工管理技士の資格難易度は?全業種の合格率や勉強方法のコツを紹介
1級土木施工管理技士の学科試験について
では、実際の1級土木施工管理技士の試験は、どのような内容となっているのでしょうか。まずは、学科試験の内容から解説します。
1級土木施工管理技士の学科試験の内容
1級土木施工管理技士の学科試験は、「土木一般」「専門土木」「法規」「共通工学」「施工管理法」の5科目に分かれており、全部で96問出題されます。
そして、96問から65問を選択して回答する、という形式のため、96問すべてに回答する必要はありません。
ただし、各科目ごとに「必要回答数」が設けられているため、必ずすべての科目を回答しなければならないように定められています。
1級土木施工管理技士の学科試験の勉強方法
1級土木施工管理技士の学科試験は、独学と専門学校への通学で、勉強法は若干異なります。
独学を選択する場合、専門書や過去問題集を使って自分で学習計画を立て、計画通りに進めていくことがポイントです。また、インターネット上の無料資料や動画講座も活用しましょう。
独学での学習が難しい場合や効率的に学びたい方は、専門学校や通信講座を利用するのも良い選択です。講師から直接指導を受けられるため、疑問点をすぐに解消できます。
両者に共通している勉強方法としては過去問を解くことがあげられます。過去問題を繰り返し解くことで、出題傾向や重要ポイントを把握することができます。また、問題を解く際に間違えた箇所や理解が曖昧な部分を見つけ、それらの弱点を克服することが重要です。
さらに、実際の施工管理の現場での経験や、先輩土木施工管理技士からのアドバイスを参考にすることも役立ちます。現場での経験を通じて、学科試験で学んだ知識が実際の仕事にどのように活かされるかを理解することができます。
最後に、試験勉強は長期間続くため、自分に合った学習環境やリズムを作り、無理なく継続して学習できるように心がけましょう。定期的に学習の進捗を確認し、適宜見直しや調整を行うことも大切です。
これらの勉強方法を組み合わせて、効率的に1級土木施工管理技士の学科試験に備えましょう。
1級土木施工管理技士の実地試験について
続いては、1級土木施工管理技士の実地試験の内容について解説します。1級土木施工管理技士の実地試験は「経験記述」と「学科記述」の2つに分かれています。
経験記述
経験記述は、受験者がこれまでの土木施工管理の実務経験をもとに、具体的なプロジェクトや業務で遭遇した問題や課題、その対処方法や改善策を詳細に記述することが求められる試験です。
経験記述の目的は、受験者が実際の現場でどのように問題解決や意思決定を行ってきたかを評価することです。
そのため、記述内容は具体的で事実に基づいたものであることが重要です。また、受験者がどのような役割を担ってプロジェクトに貢献したか、自身の技術や知識をどのように活用したかを明確に述べることが求められます。
経験記述の試験対策としては、まず過去のプロジェクトや業務を振り返り、自分が関わった具体的な事例や課題を抽出します。
次に、それらの事例や課題に対する対処方法や改善策を明確にし、自身の役割や活用した技術・知識を整理します。そして、事前に複数の事例を用意し、試験当日に適切な事例を選んで記述できるように準備しておくことが重要です。
学科記述
学科記述は、土木施工管理に関連する知識や技術を問う試験で、受験者が具体的な現場状況や問題に対して、適切な判断や対応ができるかを評価することを目的としています。
学科記述では、土木施工管理に関する幅広い分野から出題されるため、施工管理の基本的な知識や技術だけでなく、関連法規や安全管理、環境対策など、様々な分野に精通しておくことが求められます。
具体的な問題に対して適切な解決策を提案する力が試されるため、実践的な知識や技術が重要となります。
対策としては、まずは土木施工管理に関する基本的な知識を学び、関連法規や安全管理、環境対策などの分野にも触れることが重要です。
また、過去問題を解くことで、試験で出題される傾向や内容を把握し、自分の弱点を見つけることができます。弱点を克服するために、繰り返し問題を解いたり、専門書や資料を参考に学習を進めていくことが望ましいです。
最後に、実際の現場経験を生かして具体的な事例を想定し、自分なりの解決策や対策を考える練習を行うことで、学科記述試験に対する対策をより実践的なものにすることができます。
1級土木施工管理技士の実地試験の勉強方法
まず、現場での経験を活かしながら、法令や規格に基づく施工方法や安全管理手法を習得しましょう。次に、事前に過去問の傾向や内容を把握しましょう。過去問に目を通しておくことで、実地試験で求められるスキルを効率的に習得できます。
さらに、模擬試験や実技講習会に参加することもおすすめです。これらのイベントでは、試験に出題される可能性のある問題を解く練習ができ、実際の試験に近い状況で自分の実力を試すことができます。講師から直接アドバイスを受けることもできるため、自分の弱点を克服する助けとなります。
最後に、仲間や先輩土木施工管理技士と情報交換や勉強会を開催することも有益です。他の人の知識や経験を学び、自分の知識やスキルを向上させることができます。
これらの勉強方法を組み合わせることで、1級土木施工管理技士の実地試験に自信を持って臨むことができるでしょう。
1級土木施工管理技士:2つの勉強方法
このように、学ぶべきことが多い1級土木施工管理技士検定ですが、どのように勉強すれば、合格に近づくことができるのでしょうか。ここでは、「独学」と「専門学校」への通学の2パターンに分けて説明します。
独学をする
1級土木施工管理技士の勉強方法の1つ目は、独学をすることです。
独学で勉強する場合、まずは試験の概要や出題範囲を把握し、自分に合った教材を選びましょう。教材選びには過去問集やテキスト、専門書などがありますが、複数の教材を組み合わせることで、理解の幅を広げることができます。
独学の利点は自分のペースで勉強ができることです。しかし、自己管理が難しい場合は、スケジュールを立てることで、効率的に学習を進めることができます。
また、インターネット上には、1級土木施工管理技士を目指す人たちが交流するコミュニティも存在します。こうしたコミュニティに参加することで、独学でも情報交換や質問、相談ができ、助け合いながら学ぶことができます。
最後に、独学での勉強では過去問題を繰り返し解くことが重要です。過去問題を解くことで、実際の試験でどのような問題が出題されるのかを把握し、自分の理解度を確認することができます。
専門学校で学ぶ
1級土木施工管理技士の勉強方法の2つ目は、専門学校で学ぶことです。
専門学校では、経験豊富な講師陣が指導し、試験に必要な知識や技術を効率的に学ぶことができます。また、カリキュラムが充実しており、一貫した学習プログラムが組まれているため、短期間で試験に対応する力を身につけることが可能です。
専門学校では、クラスメートや講師とのコミュニケーションが活発に行われるため、疑問点や課題に対して素早く対応し、理解を深めることができます。また、実際の現場で役立つ技術や知識も学ぶことができるため、試験対策だけでなく実務にも役立つスキルが身につきます。
さらに、専門学校では定期的に模擬試験が実施されることが一般的であり、試験本番に向けた練習の機会も提供されます。これにより、試験に慣れることができ、自分の弱点を克服することができます。
専門学校で学ぶメリットは、学習環境が整っていることや、質の高い指導が受けられることです。費用面や通学に関することも考慮する必要がありますが、しっかりとしたサポート体制のもとで学びたい場合は、専門学校での学習がおすすめです。
1級土木施工管理技士に合格するには約400〜600時間
1級土木施工管理技士を取得するために必要な勉強時間は、個人の経験や知識、学習スタイルによって大きく異なりますが、一般的には数百時間の勉強が必要とされています。
学科試験は試験範囲が広く、多岐にわたる知識が求められるため、網羅的な勉強が必要です。独学の場合、概ね400〜600時間程度の学習が必要とされていますが、専門学校や通信講座を利用すれば、もう少し短縮できる可能性があります。
実地試験に関しては、実務経験が大きく影響します。現場での経験が豊富な方は実地試験に必要なスキルをすでに持っている場合があり、短期間で対策を行うことができます。
一方で、経験が少ない方は実務経験を積むことや過去問題の練習を重ねることで、実地試験に対応できる力を身につける必要があります。
1級土木施工管理技士の勉強スケジュールの立て方
続いては、1級土木施工管理技検定の勉強スケジュールの立て方について解説します。
基礎を固めて出題傾向を掴む
1級土木施工管理技士の勉強をする際には、まずは基礎を固めて出題傾向を掴みましょう。
1級土木施工管理技士検定では、受験に必要な土木施工管理に関する基本的な知識や技術をしっかり身につけることが重要です。基礎的な部分が理解できていれば、より高度な問題にも対応できる力が身につくため、合格に近づくことができます。
そして、基礎を固めた上で、出題傾向を把握することは、時間管理や学習計画の立て方にも役立ちます。例えば、重要度が高いとされる分野や、自分の苦手な分野に時間を割くことができるため、効果的な学習が実現できるでしょう。
得意分野と不得意分野を把握する
次に、自分の得意分野と不得意分野を把握します。自分の得意分野と不得意分野を明確にし、それに基づいて効果的な学習計画を立てることが重要です。
まずは、過去問題を解いたり、練習問題に取り組んだりして、自分の得意分野と不得意分野をリストアップしましょう。
得意分野は、すでに理解がある程度できているため、維持や定着を目的とした学習が適切です。一方、不得意分野は、基本からしっかり学び直すことが求められます。
次に、学習計画を立てる際に、得意分野と不得意分野の勉強の時間配分を考えましょう。不得意分野には、より多くの時間を割くことで理解を深めることができます。また、得意分野には継続的に取り組むことで、知識や技術を維持し、さらに高めることが可能です。
さらに、定期的に得意分野と不得意分野のリストを見直すことで、学習の進捗や自分の成長を確認することができます。これにより、モチベーションを保ちながら、効果的な学習を継続することができるでしょう。
ひたすら問題を解く
最後は、ひたすら問題を解きます。問題演習は試験対策として非常に効果的であり、理解力や応用力を鍛えることができます。
過去問題や練習問題を大量に解くことで、試験で出題される可能性が高い内容や、出題傾向を把握することができます。また、問題を解く過程で自分の理解が甘い部分や、間違えやすいポイントに気づくことができ、効果的に学習を進めることができます。
次に、問題を解く際には、ただ答えを見つけるだけでなく、解答の過程や理由を理解し、適切な解法を身につけることが大切です。これにより、試験本番で似たような問題が出題された際に、自分で解決策を考える力が身につきます。
さらに、試験では限られた時間内で問題を解かなければならないため、「ひたすら問題を解く」ことで、時間管理能力や集中力も鍛えられます。
関連記事:施工管理の試験の流れは?願書の取得方法や受験資格、試験難易度も紹介!
1級土木施工管理技士:勉強方法は4つのポイントに注意
1級土木施工管理技士の勉強をする上で、覚えておくべき注意点を4つ紹介します。
暗記だけでは乗り切れない
1級土木施工管理技士の試験では、実際の現場で遭遇する可能性がある状況や問題に対処する能力が求められるため、単に頭に詰め込むだけの暗記だけでは十分な対策とは言えません。
具体的には、法規制や基準、設計図の読み方などの基本的な知識を習得するだけでなく、実際の施工計画や品質管理、安全管理に関する問題に対しても適切な対応ができるようになることが求められます。
暗記に頼らず、実践的な知識を習得するためには、過去問や実例を用いて繰り返し問題演習を行うことが効果的です。また、現場での実務経験や他の専門家との交流を通じて、理論だけでは得られない知見やノウハウを学ぶことも重要です。
合格基準は正解率が60%以上
1級土木施工管理技士の試験は、合格するためには正解率60%以上が求められると言われています。
正解率60%以上という基準をクリアするためには、試験範囲全体に対する理解と、各項目ごとの得意・不得意を把握し、効率的な学習計画を立てることが必要です。弱点を克服し、得意分野をさらに強化することで、全体的な正解率を向上させることができます。
また、正解率60%以上であっても、各試験科目ごとに最低基準点を満たすことが求められるため、一部の科目に偏った学習では合格が難しくなります。各科目をバランスよく学習し、一定の水準以上の知識と技術を身につけることが大切です。
独学の人は進捗度合いを把握する
独学の場合は学習環境や進め方に自由度があるため、自分自身で学習計画を立て、適切な進捗管理が求められます。
進捗度合いを把握するためには定期的な自己評価や模擬試験を活用し、理解度や得意・不得意な項目を明確にしておくことが効果的です。また、勉強計画を立てる際には、試験範囲全体に対する理解を深め、弱点を克服するための学習時間を確保することが大切です。
さらに、独学で学んでいるとモチベーションの維持が難しいことがありますが、進捗度合いを把握することで、自分自身の成長や目標達成に向けた努力を可視化し、モチベーションを維持することができます。
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1級土木施工管理技士の勉強方法に関するよくある質問
ここからは、1級土木施工管理技士に関してよくある質問に回答します。
施工管理技士に関して制度改正があったと聞きましたが、何が変わったのですか?
現在、施工管理技術検定は「学科試験」と「実地試験」により行われています。
これが令和3年度より、両試験を独立した 「第一次検定」及び 「第二次検定」として実施し、 第一次検定合格者の称号を「技士補」、 第二次検定合格者の称号を「技士」とすることが定められました。
また、受検資格の見直しや検定基準(試験内容)の再編も行われました。
詳細は「一般財団法人 全国建設研修センター」のHPを参照してください。
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1級土木施工管理技士の勉強方法のまとめ
今回は、1級土木施工管理技士検定の勉強法について解説しました。
1級土木施工管理技士の資格取得は容易ではありませんが、本記事を参考にして、ぜひ資格取得を目指してみてください。
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