運送業界で働いていると「Gマーク」という言葉を聞いたことがあると思います。しかし、Gマークがどんなものなのか、何となくは知っていても、具体的にどんな制度なのかはご存じない方がほとんどだと思います。
今回はGマークとはどういうものなのか。Gマークの取得によってどんなメリット・デメリットがあるのかを解説いたします。
Gマークを取得しようと考えている事業者の方、またGマークによるメリット・デメリットを詳しく知りたい方はぜひ読んでみて下さい。
Gマークとは
Gマークとは、正式名称「貨物自動車運送事業安全性評価事業」と言うものです。Gマークは国土交通省が中心となり、推進している「安全性優良事業所」の認定制度で、かんたんに言うと国が安全性の高いトラック事業者に対して評価・認定して公開するといったものです。
Gマーク認定を受けているトラック事業者は多く、平成29年時点で24482ヶ所の事業所(全事業所の28.9%)、トラック台数にしておよそ63万台(全事業用トラックの46%)ものトラックがGマークの認定を受けています。
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Gマーク取得の流れ
Gマークを取得するためには、国が指定した認定機関である「全日本トラック協会」にてGマーク取得のための申請書と必要書類を提出し、評価を受ける必要があります。
Gマーク取得の大まかな流れとしては、
- 地方の実施機関(都道府県トラック協会)に申請する。
- 全日本トラック協会内部の安全性評価委員会からの評価を受ける。
- 「安全性に対する法令の遵守状況」「事故や違反の状況」「安全性に対する取組の積極性」3つの評価項目で100点中80点以上の評価を受ける。
- 法に基づく認可や社会保険等の加入が適正になされているか審査を受け、「安全性優良事業所」認定を受ける
となります。
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Gマーク取得工程
ここでは、Gマークを取得するための工程を紹介します。
Gマーク取得にかかる費用
Gマーク取得に必要な費用は、インターネットで申し込みの場合は特に必要ありません。複写式の申込用紙に手書きで書いて申し込む場合は、手数料として税込み1000円が掛かります。
メリットを考えると破格の安さですね。ただし、営業所内の設備や帳簿など、Gマーク取得の準備が完璧でない場合、評価で合格点を取るために人件費や設備費を掛けなければいけない点は要注意です。
Gマーク申請から結果発表までにかかる期間
Gマークの申請から結果発表までにかかる期間は、通常およそ5ヶ月間となっています。
基本的には、毎年7月1日から受付が開始され、2週間ほどの間が受付期間として設けられています。締め切り前には大変混み合いますので、余裕を持って申請するようにしましょう。
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Gマーク取得後には表彰も受けられる
Gマークを取得した営業所は、全日本トラック協会のホームページに登録され、公表されます。またGマークの認定期間が連続10年を超え、さらに一定の基準を満たすことで「安全性優良事業所」として認められ、全日本トラック協会から表彰を受けることができます。
更新を重ね、10年以上の間Gマークを保持することは簡単ではありませんが、表彰されることでいっそう安全に対する意識が上がることでしょう。
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Gマーク取得業者と未取得業者の事故発生件数
Gマークを取得している業者と未取得の業者の事故発生件数は大きな差があり、取得を目指すだけでも大きなメリットがあると考えられています。
国土交通省による平成28年の調査では、車両1万台あたりの事故発生件数を比較しています。Gマーク認定を受けた事業所の事故割合は、未取得の事業所と比べてなんと半分以下の事故率というデータが出ています。
Gマークを取得するメリット
ここからは、Gマークを取得するメリットにどんなものがあるのかご紹介します。国が推進している認定事業というだけあって、大きな利点が多くありますので、ぜひ確認しておくことをおすすめします。
保険など経費の削減につながる
事業者向けの損保会社や交通共済の一部では、Gマークを取得している事業者の運送保険や自動車保険などで、独自の割引を受けることができる場合があります。
全日本トラック協会が明記している、インセンティブを受けられる損保会社・交通共済は以下の通りです。
- あいおいニッセイ同和損保 「運送業総合保険」
- 損害保険ジャパン日本興亜「ビジネスマスター・プラス物流業プラン」
- 神奈川県自動車交通共済協同組合
- 四国交通共済協同組合
法人の保険料などは簡単に安くすることのできない固定費なので、割引が受けられるのは大きな利点ですね。
信頼が高まり仕事の依頼を受けやすくなる
Gマークは国土交通省や国の機関が認定するため、Gマークを取得しているというだけでも荷主企業からの安心感や信頼に繋がります。
そのため、Gマークを取得するとより仕事の依頼を受けやすくなり、事務所の利益向上に直結すると言っても過言ではないでしょう。
また、国土交通省で配布されている荷主企業向けのリーフレットにも、Gマーク認定の事業者を積極的に利用するように案内をしています。
IT点呼の導入が可能
Gマークを取得することで、通常対面でしか認められていない点呼をTV電話やPCカメラを使用した疑似対面での点呼、通称「IT点呼」に変更することが可能になります。
IT点呼を導入することで、営業所間や車庫間での点呼において、運行管理者の負担が減ったり、車両の運行が効率的になるといったメリットがあります。
また、点呼がITを利用してより効率的になったことにより、点呼自体の質が高まったという声もあるようです。
IT点呼の導入には、国土交通省認定の機器を使用しなければいけない点や、点呼に使用するソフトの機能にいくつか条件があります。実際に導入する際は全日本トラック協会公式のガイドを参考にしてください。
中小トラック運送事業者のためのIT機器・システム導入ガイド「IT点呼」
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違反点数の短縮
Gマーク認定を受けていると、違反に関しても優遇措置を受けられます。
本来、交通違反は当然あってはならないもので、交通規則は遵守するべきものです。しかし、毎日多忙な業務を抱えて運転していると、ミスや過失はどうしても発生してしまうものでもあります。
Gマーク取得のメリットとして、そういった違反点数の短縮も受けることができます。
具体的には、違反点数が消去されるまでの期間が、通常3年のところを2年に短縮されます。
Gマークを取得しておくことは、違反による損失を抑えるための大きな利点になりますね。
CNGトラックを導入しやすくなる
環境に関して厳しくなってきている昨今、ハイブリッドの自動車やトラックの導入を進めている企業も多いかと思います。
Gマークを取得していると、天然ガスを燃料とした通称「CNGトラック」導入の補助条件が緩和されます。具体的に言うと、全日本トラック協会が行っている低公害車導入促進補助金と呼ばれる制度で、最低導入台数の条件が3台から1台に減少されます。
環境対策と同時に補助金も受けやすくなるため、これはかなり大きなメリットですね。
Gマークを取得している場合、CNGトラックの導入も同時にできないか検討しておくと良いですね。
様々な助成金の優遇が受けられる
CNGトラック導入の補助金以外にも、Gマーク認定を受けることで、様々な助成金の優遇を受けることができます。
全日本トラック協会が予算範囲内で行っている助成事業は、以下の通りです。
・ドライバー等安全教育訓練促進助成制度
全日本トラック協会が指定する研修(特別研修と言われます)を受講する際、通常の会員は受講料7割の助成を受けることができますが、Gマーク認定により全額の助成を受けられます。
・安全装置等導入促進助成事業
遠隔地でのIT点呼を行う際、対応したIT機器が必要になりますが、その中でも点呼に利用する携帯型アルコール検知器1台2万円分の助成を受けることができます。
・経営診断受診促進助成事業
全日本トラック協会が、会員の運送企業事業者に対して行う経営支援として、経営診断の受診(ステップ1)とその後の経営改善相談(ステップ2)があります。
Gマーク認定を受けていると、経営診断を受ける際の助成金が通常8万円から10万円に引き上げられ、また経営改善相談の助成金も通常2万円から3万円へと増額されます。
Gマーク取得による助成金の詳細は、全日本トラック協会「Gマーク認定によるインセンティブ」にも掲載されています。気になった方はチェックしてみてください。
Gマークを取得するデメリット
Gマークを取得する上で発生するデメリットとして、次のようなものがあります。
・取得のための申請や必要書類の準備・管理が大変
Gマークを取得するためには、認定審査を受けなければいけません。その審査のクリアのために、帳簿などの管理体制をしっかりと整える必要があります。そのため、帳簿の管理者や事務の負担が増大してしまうことがデメリットとして挙げられます。
・更新や再評価のために、日頃から安全性のために取組みを行っていなければいけない
Gマーク認定には有効期限があり、更新するためには再評価として再び審査を受ける必要があります。事故や違反を繰り返してしまった場合、再評価で引っかかってGマーク取り消しとなってしまいますので、日頃から安全に十分配慮した改善を行う費用や人員を確保しておく点がデメリットと考えられます。
Gマーク取得の際は、しっかりと体制を整えて申請しましょう。
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営業所が複数ある場合のGマーク取得について
Gマーク取得は営業所ごとの認定となります。そのため、同じ会社でも営業所が違う場合、それぞれの営業所がその地域管轄の都道府県トラック協会に申請し、評価を受ける必要があります。
1つの営業所でGマークが取れたからと言って、全部の営業所に適用されるわけではありませんのでご注意下さい。
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Gマーク更新について
Gマークには有効期間が設定されています。
新規で取得した営業所の場合は2年、1回目の更新後は3年、そして2回目以降では4年ごとが有効期間となっています。
有効期間が切れると前述した優遇措置や補助金などのメリットを受けられなくなってしまいますので、忘れずに更新しておくようにしましょう。
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Gマークについてまとめ
今回はGマークがどういうものなのか、取得によってどんなメリット・デメリットがあるのかご紹介しました。
Gマーク取得への道は簡単ではありませんが、国が主導で行っている制度のため取得後のメリットは数多くあります。
ぜひGマーク認定を目指してみてください。
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