さまざまな建築現場、工事現場において施工管理技士はとても重要な役割を担っている有資格者です。今回は施工管理技士の資格について紹介します。
この記事でわかることは以下の通りです。
・施工管理技士の仕事内容
・施工管理技士の資格の種類
・施工管理技士の受験資格
・施工管理技士の試験詳細
施工管理技士を目指す人やキャリアアップを目指す人は必見の内容です。資格について学びたい人は最後まで一読してください。
施工管理技士の受験資格
施工管理技士の資格を取得するために必要な受験資格を紹介しましょう。学歴は7種類ある施工管理技士の共通項となります。資格によっては他の関連する資格によって受験資格を与えられるものがあります。詳しくはその資格紹介サイトをご覧ください。
2級施工管理技士
学科試験のみの場合は「17歳以上」であれば誰でも受験することが可能です。
学科・実地試験両方を受験する場合の受験資格は以下の通りです。
最終学歴 | 実務経験年数(指定学科を卒業) | 実務経験年数(指定学科以外を卒業) |
大学専門学校の高度専門士 | 1年以上 | 1年6ヶ月以上 |
短期大学5年生高等専門学校専門学校の専門士 | 2年以上 | 3年 |
高等学校専門学校の専門課程 | 3年以上 | 4年6ヶ月以上 |
その他(学歴を問わず) | 8年以上 | 8年以上 |
関連記事:施工管理技士2級をまるごと解説!資格の種類や仕事内容、受験資格などを紹介
1級施工管理技士
1級の場合、上記以外で2級施工管理技士の資格を取得後、実務経験を積むと1級の施工管理技士の受験資格が与えられます。
最終学歴 | 実務経験年数(指定学科を卒業後) | 実務経験年数(指定学科以外を卒業) |
大学専門学校の高度専門士 | 3年以上 | 4年6ヶ月以上 |
短期大学5年生高等専門学校専門学校の専門士 | 5年以上 | 7年6か月以上 |
高等学校専門学校の専門課程 | 10年以上 | 11年6ヶ月以上 |
その他(学歴を問わず) | 15年以上 | 15年以上 |
施工管理技士の試験の流れ
施工管理技士の試験については、それぞれの資格でおおよそは共通しています。試験の内容について紹介していきましょう。
第一次検定
第一次検定とは筆記試験を指しています。それぞれの資格の施工技術の基礎知識や能力を測る問題が出題されます。
問題形式は4者択一のマークシート方式でとなります。1級・2級ともに同じ範囲から出題されますが、求められる知識や能力は1級の方が高いため、より深い部分から問題が出される傾向があります。
第二次検定
第二次検定は実地試験とも呼ばれるものです。実地試験というと何か作業を行う実技試験を思い浮かべる方がいますが、実技ではなく記述式のペーパーテストとなります。ただし、建設機械施工管理技士のみ建設機械を操作する試験があります。
第二次検定では、施工管理において実務経験に基づいた技術上の管理および指導監督に関する知識と能力を測る問題が出題されます。
合格基準
第一次・第二次検定ともに合格の基準が6割以上の正答率を出せばいいとされています。約半分弱のため、難易度は高くないように思えますが、問題の出題範囲が広くテキストから覚えることがたくさんあるので、簡単とは言えないでしょう。
ただし、合格者が絞られているような場合だと点数を取らないと合格できませんが、あらかじめ合格基準が定まっているため、目標を定めやすいといったメリットがあります。
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・電気工事施工管理技士の1級と2級は何が違う?仕事内容や資格試験、難易度などの違いを詳しく解説します
施工管理技士検定の受験資格の変更点
施工管理技士の受験資格は直近で変更があったため、受験予定の方はしっかり押さえておきましょう。
令和6年度以降の受検資格の変更点
令和6年度から、1級施工管理技士の第一次検定は、19歳以上であれば受験可能になりました(年度末時点での年齢)。2級については、従来通り17歳以上が対象です。
さらに、1級と2級の第二次検定は、第一次検定に合格後、実務経験を積んだ後に受験できるようになりました。この改正により、学歴に関係なく早期に受験できる可能性が広がります。
旧受験資格と新受験資格の選択が可能
新制度導入後、令和10年度までの間は、旧制度による受験資格も選択可能です。この期間に受験する方は、以前の受験要件を活用して受検もできます。
新受検資格に応じて必要な実務経験
原則として、実務経験に該当する工事は受験する検定種目(資格)に対応した建設業の業種に関連した工事でなければなりません。
また、複数の検定種目に対応する業種の工事経験は、それぞれの検定で実務経験として認められる場合があります。
例えば、「とび・土工」の業種に該当する土木構造物の杭工事の経験は、土木だけでなく、建築や建設機械の検定種目でも実務経験として申請可能です。
なお、令和6年度から、実務経験の証明は原則として工事ごとに行う必要があります。
受検者の勤務先の代表者、またはその工事の監理技術者が証明をおこないます。ただし、令和6年3月31日を含む工事の経験については、従来の方法である会社の代表者による証明でも問題ありません。
参照元:令和6年度より施工管理技術検定の受検資格が変わります|国土交通省
施工管理技士の仕事内容
施工管理技士の仕事は多岐に渡りますが、大枠として4つの管理(工程・安全・品質・原価)に分類されています。ここでは施工管理技士とはどのような仕事なのか、資格の階級や仕事内容について解説します。
施工管理技士は1級・2級・技士補に分類される
施工管理技士は1級と2級に分けられています。これらは管理できる工事の規模が異なったり、仕事の幅が違ったりします。1級の資格を得るためには必要経験年数が2級よりも長く設定されています。
法改正が行われ、令和3年より施工管理技術検定の制度が変更されました。いくつかある変更点の中の1つに“技士補”という新たな資格が登場しました。
これまで1級施工管理技士・2級施工管理技士の資格を得るまでの手順として、学科試験に合格し、その後の実地試験に合格しなければいけませんでした。
しかしながら、令和3年度から第一次検定である学科試験に合格すれば技士補の資格を得ることができます。その後の第二次検定である実地試験に合格すれば1級・2級施工管理技士の資格を得ることができます。
この技士補は1級の場合は1級施工管理技士の補佐業務を行うことができます。一方2級技士補の場合は特に役割を与えられていません。しかし、2級の場合は17歳より資格試験を受験することができるといったメリットがあります。
2級施工管理技士の資格を得るためには実務経験が必要なため、先に技士補の資格を取得し、現場で働くといった選択肢ができるようになりました。実際求人の必須資格欄に技士補の取得が追加されたりしているので、今後施工管理技士として働きたいという方にはおすすめの資格となります。
関連記事:
・施工管理技士の難易度はどれくらい?全業種の合格率や合格のコツを紹介!
工程管理
工程管理とは、工事が順調に進んでいるか、遅れはないかなどの管理を行う仕事です。作業員や機械の確保から工事の指示なども行います。工事は納期までに終わらせないと罰金が発生する決まりがあるため、工程管理を行うことは重要な仕事となります。
安全管理
安全管理とは、作業員が工事中に事故に遭わないように現場の設備や環境を整える仕事です。工事現場は危険であるため、消火栓や手すり、建設機械や足場の安全確認を行うことは重要です。
品質管理
品質管理とは、建設や工事で使用する材料の寸法や質が設計書や仕様書の規格にあっているかを点検・確認する仕事です。品質管理をすることは、完成したものが長期的に高品質であることを保証しないといけないので重要な仕事です。
また、完成した建物の強度や密度が規定をクリアしているかを確認することも仕事の中の1つです。
原価管理
原価管理とは、工事にかかる人件費や材料費が決められた予算内に収まっているかを計算する仕事です。予算は限られているので、それを超えないように管理することが必要です。トラブルが起きた際などの対応策や予算に差異が発生した時の原因究明などを行うことも原価管理の仕事となります。
施工管理の求人を検索する(無料)施工管理技士の資格の種類
施工管理技士といっても行う建築、電気、土木など工事の種類はさまざま。その工事によって必要となる資格がそれぞれあります。施工管理技士の資格は全部で7種類あります。それぞれどういったものなのか、紹介していきましょう。
建築施工管理技士
建築施工管理技士とは、マンションや一軒家などの住宅や商業施設やスポーツ施設などの大きな施設の建設現場において施工管理を行うための資格となります。依頼主や設計者との打ち合わせから工事の進捗具合の確認、作業員の安全管理などさまざまなことを行います。
建築施工管理技士の1級は超高層マンションや大型の公共施設といった大規模な建設現場を管理することができますが、2級は中小規模な建設現場のみとなります。また、建築、躯体、仕上げと施工管理できる分野にそれぞれ試験があり、全ての分野を管理したいのであればそれぞれの試験に合格しなければいけません。
電気工事施工管理技士
マンションや商業施設などの建設現場において、電気工事の監視・管理を行うために必要な資格です。この電気工事とは、照明や発電設備や変電設備、送配電線設備など。
電気工事施工管理技士の2級は一般建設業における専任技術者、主任技術者として従事でき、1級は2級に追加して特定建設業における専任技術者、管理技術者として従事することができます。
仕事自体は同じようなものですが、管理できる建物の規模が異なります。
土木施工管理技士
土木施工管理技士とは、河川の堤防やダム、橋や道路などのインフラ設備の土木工事現場において施工管理するために必要な資格となります。
土木施工管理技士の1級は大規模な土木工事の施工管理ができますが、2級は小規模な土木工事の施工管理しかできません。
管工事施工管理技士
管工事施工管理技士とは、管工事を行う現場で施工管理を行うために必要な資格です。管工事とは、冷暖房設備や空調設備、水道工事やガス管といった配管工事となります。
管工事施工管理技士の1級は主任技術者、管理技術者、専任技術者となれますが、2級は専任技術者と主任技術者のみとなります。
電気通信施工管理技士
電気通信施工管理技士はインターネットの普及によって作られた施工管理技士の中では新しい資格となります。
有線/無線LANの設置工事や防犯カメラの設置工事、テレビやモバイル通信用の設置工事の管理を行うために必要な資格となります。
電気通信施工管理技士2級は、一般建設業の営業所において専任技術者、現場ごとに配置される主任技術者として従事できます。1級は、2級の範囲に加えて特例建設業の営業所において専任技術者、現場ごとに配置される監理技術者として従事できます。
造園施工管理技士
造園施工管理技士とは、行政や企業が発注する公園や庭園、遊園地などの造園工事の施工管理を行うために必要な資格です。現在国をあげて緑地化計画が進んでいるため、需要が伸びている資格となります。
造園施工管理技士の2級は工事現場に主任技術者として従事でき、1級は主任技術者に加えて管理技術者として従事できます。1級は特定建設業許可が必要な工事現場でも従事できるため、大規模な現場を管理することができるようになります。
建設機械施工管理技士
建築機械施工技士は、ユンボやクレーン車などの建設機械を使った工事現場において施工管理に行うために必要な資格です。一定金額以上が発生した工事では、建築機械施工技士の資格を持ったものが常駐する必要があります。
建設機械施工管理技士2級では扱える機械の制約がありますが、1級では全ての機械を操ることができ、さらに2級では扱えない金額の工事も対応できます。
施工管理技士の受験資格に関してよくある質問
最後に施工管理技士の受験資格に関してよくある質問に回答します。
施工管理技士は資格がなくても携わることができる?
実は施工管理技士の仕事は資格がなくても携わることができます。ただし、資格を持っていないと専任技術者や主任技術者といったポジションで働くことができないため、やりがいや給料もあまり高くありません。
また、1級の資格を得ると大きな現場の管理ができるため、資格があるのとないのとでは経験できる範囲が大きく異なります。
また、資格があることで資格手当をいただくことができますし、求人も自分の理想とするところを見つけやすくなるので、資格の取得を目指すことをおすすめします。
令和7年の3月に19歳の誕生日を迎えるのですが、令和6年度の試験は受けられますか?
はい、令和6年度の試験は受けられます。令和6年度中に19歳(2025年3月31日時点で満19歳以上)になれば受験資格を満たすため、問題なく受験が可能です。
令和10年度までに合格できなかったら、また実務経験が必要になる?
令和10年度までに合格できなかった場合、第一次検定合格後に5年(場合によっては3年)の実務経験がないと二次試験は受験できなくなるのかということですね。
令和10年度までは旧受験資格が並行して利用できるため、その期間に実務経験を満たし、合格を目指すことが賢明です。
令和11年度以降は新受験資格のみとなるため、できるだけこの5年間で受験・合格することをおすすめします。
関連記事:施工管理の新たな資格、技士補とはどんな資格なのか?できることや取得方法、取得難易度などを紹介!
施工管理技士の受験資格についてのまとめ
今回記事内で紹介したように、施工管理技士の受験資格は、受験時期によって変更がくわられていることがあります。
受験の準備を進める前に、資格を満たしているかどうかしっかり確認しましょう。
建設業界においては慢性的な人手不足でどこも人材を欲している状態です。施工管理技士の資格を取得するということは、企業にとって貴重な人材確保となります。
建設業界は今後も需要があるので、ぜひ施工管理技士の資格取得を目指してみてください。
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